概要
ヴェルナー・ザウアー(1950年生まれ)は、ドイツの工業デザイナーである。ウィルクハーンのデザイン部門と、そこから分社した開発会社 wiege に在籍し、クラウス・フランクとともにオフィス用回転椅子FSラインを設計した。1994年に自身の事務所を構え、同年からヒルデスハイム/ホルツミンデン専門大学で教え、のちに学部長を務めている。
バイオグラフィー
1950年、ドイツに生まれた。エッセンのフォルクヴァング芸術大学で工業デザインを、ブラウンシュヴァイクの国立造形芸術大学で環境造形を学んでいる。
はじめは外部の協力者としてウィルクハーンの仕事に加わり、1978年に社員となった。デザイン部門に所属し、1985年に同部門が wiege として分社したのちは1993年まで同社に在籍している。この間、回転椅子、会議用の椅子と机、執務机、ラウンジ用の椅子を手がけたほか、展示の構成、出版物、同社のコーポレートアイデンティティに関わるグラフィックの仕事も担当した。並行して、刃物メーカーの製品設計も請け負っている。
1994年、ハノーファー近郊のシュプリンゲに自身のデザイン事務所を開いた。オフィス向けの椅子と机のほか、工場や作業場で用いる椅子と什器、公共空間の椅子と付属品、住宅用の家具を扱う。
同じ1994年からヒルデスハイム/ホルツミンデン専門大学でプロダクトデザインを教え、のちに教授、2000年に学部長、2003年から常任の学部長を務めた。ドイツ工作連盟の会員でもある。
デザインの思想と方法
二人が取り組んだのは、椅子に機能を足すことではなく、使う前の設定を不要にすることだった。1970年代のオフィス用回転椅子は、座面の傾き、背もたれの角度、反発の強さをレバーやノブで個別に設定する方式が広く採られていた。ウィルクハーンはこの方式について、調整の手間が使用者の側に残るため、実際には初期設定のまま使われてしまう点を課題として挙げている。
解決の方向は、調整の操作そのものを機構の側へ移すことだった。座面と背もたれの傾きを連動させ、背に体重を預けるほど反力が比例して増す構成をとる。体重の違いは機構が吸収するため、使う前に強さを合わせておく必要がない。二人はこの考えを「免許のいらない着座(Sitzen ohne Führerschein)」と表した。
形の側では、座面と背もたれを一続きのシェルとした。別部材にすれば境目で角度の変化が止まるが、一続きであれば姿勢の変化に面全体が追従する。前方の回転軸と、同調して動く二本のスイングアームのあいだにシェルを張り渡す構成は、ハンモックのように材そのものの弾性を使う考え方にあたる。初期の検討ではこの弾性だけで機構を持たない案も試されている。
ザウアーの仕事は、製品そのものにとどまらず、展示、出版物、企業の視覚的な統一にまで及んでいる。椅子を単体の製品としてではなく、それが置かれる場面と、伝えられ方までを含めて扱う姿勢がうかがえる。オフィス以外に工場や作業場で用いる椅子を手がけているのも、使われる条件から設計を起こす方針の延長にある。
代表作にみる方法
FSライン(1980年、ウィルクハーン)
名称は設計を担当した二人の姓の頭文字による。座面と背もたれをひと続きのシェルとし、着座姿勢が変わると機構とシェルの両方がそれに追従する。
回転椅子を中心に、会議・来客用の椅子、カンチレバーチェア、カウンタースツールを含む「21プログラム」として構成された。一社の中の異なる場所を同じ系統の椅子で揃えられるため、執務室と会議室で椅子の性格が食い違わない。
FSラインは発表から現在まで生産が続いている。シェルは二本のねじで外せるため、張り替えて使い続けられる。
Modus(1994年、ウィルクハーン)
連動機構をトーションばねによる方式へ改めた回転椅子である。高さと反力の設定を一本のレバーに集約している。
評価と影響
ザウアーが関わった製品群は、いずれもオフィスという特定の場面を対象としている。使う人が自分で設定しなくても適切な姿勢が得られるという方針は、家具の側が使う人に合わせるという考え方であり、以後のオフィスチェアに広く引き継がれた。
1994年以降は教育の側に軸足を移しており、専門大学で学部長を務めている。実務と教育の双方に関わる経路は、フランクと共通している。
作品一覧
| 発表年 | 区分 | 作品名 | ブランド |
|---|---|---|---|
| 1980年 | オフィスチェア | FSライン(21プログラム) | ウィルクハーン |
| 1990年代 | ラウンジチェア | Cubis | ウィルクハーン |
| 1994年 | オフィスチェア | Modus | ウィルクハーン |
プロフィール
| 生年 | 1950年 |
|---|---|
| 出身 | ドイツ |
| 学歴 | フォルクヴァング芸術大学(エッセン)、国立造形芸術大学(ブラウンシュヴァイク) |
| 主な経歴 | 1978年〜1993年 ウィルクハーン デザイン部門/wiege /1994年 自身の事務所を設立(シュプリンゲ) |
| 教職 | ヒルデスハイム/ホルツミンデン専門大学(1994年〜、2000年より学部長) |
| 分野 | オフィス家具、作業用家具、公共空間の家具、グラフィック |
Reference
- Werner Sauer|Designerprofil(Stylepark)
- https://www.stylepark.com/de/designer/werner-sauer
- Werner Sauer(Architonic)
- https://www.architonic.com/de/microsite/werner-sauer/8100645
- Unternehmen|Wilkhahn 公式
- https://www.wilkhahn.com/de/ueber-uns/unternehmen/