クララ・フォン・ツヴァイベルク

クララ・フォン・ツヴァイベルク(Clara von Zweigbergk)は、スウェーデン・ストックホルムを拠点とするグラフィックデザイナー/アートディレクターである。紙・色彩・タイポグラフィ・手仕事への関心を出発点に、グラフィックの領域からプロダクトへと仕事の幅を広げてきた。デンマークのブランド、ヘイ(HAY)のトレイ「カレイド」や、ルイスポールセンのペンダントライト「サーク」などで広く知られる。

バイオグラフィー

1970年9月16日、スウェーデン・ストックホルム生まれ。ストックホルムのベックマンス・デザイン大学(Beckmans School of Design)と、アメリカ・カリフォルニア州パサデナのアートセンター・カレッジ・オブ・デザイン(Art Center College of Design)で、グラフィックデザインとイラストレーションを学んだ。

1997年、二人のパートナーとともにストックホルムで学際的なデザインスタジオ「リヴィエラン(Rivieran)」を共同設立し、ファッション、イラストレーション、建築、家具、プロダクト、グラフィックにまたがる仕事を手がけた。その後ロサンゼルスで1年を過ごしたのち、ミラノのリッソーニ・アソチアーティ(Lissoni Associati、ピエロ・リッソーニのスタジオ)でシニアグラフィックデザイナーとして4年間勤め、ボッフィ、アルマーニ、アレッシィなどのクライアントを担当した。

2006年にストックホルムへ戻り、自身の名を冠したスタジオを設立。ビジュアルアイデンティティやアートディレクションに加え、プロダクトへと制作の対象を広げていった。2010年からはヘイ(HAY)と密接に協働し、ブランドのビジュアルアイデンティティづくりと幅広いプロダクトの開発に携わっている。母校であるベックマンス・デザイン大学で教鞭をとった経歴ももつ。

デザインの思想とアプローチ

ツヴァイベルクの仕事は、紙を折り、切るという手作業から出発する点に大きな特徴がある。色紙を折って生まれた幾何学的なかたちが、そのままトレイやモビール、照明といったプロダクトの原型となる。多面体(ポリヘドラ)などの立体幾何学への関心と、対照的な色を組み合わせる感覚が、作品の骨格を形づくっている。

色彩の扱いは彼女の仕事の核をなす。鮮やかな蛍光色から落ち着いたくすみ色まで、直感的に選ばれた色が隣り合い、互いに引き立て合うように配置される。全体として、シンプルさ・バランス・色という三点に貫かれた作風が国際的に評価されている。

主な代表作

「テミス・モビール(Themis Mobile)」は、2010年にアメリカのブランド、アルテクニカ(Artecnica)から発表された紙製のモビールである。多面体の幾何学から着想した複数のオーナメントを、細いワイヤーで吊るした作品で、面ごとに異なる色が配される。2012年には「モノ(Mono)」「プリズム(Prism)」「トリオ(Trio)」といったバリエーションが加わった。この一連のモビールは、スパイク・ジョーンズ監督の映画にも登場したことで知られる。

「カレイド(Kaleido)」は、2012年にヘイから発表されたトレイのシリーズである。ひし形をはじめとする幾何学形状の粉体塗装スチール製トレイで、単体で色のアクセントとして使うことも、大小を入れ子にして自在な構成をつくることもできる。9色・5形状という組み合わせは、紙を折る作業から生まれたかたちを、鮮やかな色をまとった日常の道具へと落とし込んだものである。丸みを帯びた姉妹シリーズ「エリプス(Ellipse)」も展開されている。

「サーク(Cirque)」は、2016年にルイスポールセンと共同で開発したペンダントライトである。コペンハーゲンのチボリ公園に着想を得ており、回転する物体の色が水平の帯として知覚される現象を、色構成に取り入れている。スピニングされたアルミニウム製のシェードは3つのサイズと複数の配色で展開され、2018年にはグレーの色調を加えたバージョンも発表された。

このほか、アレアウェア(Areaware)の「カラーパズル(Color Puzzle)」や「スネークブロックス(Snake Blocks)」、プラダ、ホルツワイラー、ナイキ、ガン・ラグス、ロロス・ツイード、TID Watches、ムスタッシュ、コスタボダなど、幅広いブランドとのプロダクトや協働を手がけている。

受賞歴と評価

ツヴァイベルクの仕事は国際的に高く評価され、数々のデザイン賞を受けている。2012年にはウォールペーパー・デザイン・アワードとスウェーデン・デザイン・アワードを受賞。トレイ「カレイド」は2014年のヨーロピアン・コンシューマーズ・アワードに選ばれた。2016年にはRUM誌のデザイナー・オブ・ザ・イヤーに選出されたほか、同年、デザイナーのシェーン・シュネック(Shane Schneck)とともにブルーノ・マットソン賞を受賞している。

グラフィックデザインの出自を保ちながら、紙と幾何学、そして色彩を起点にプロダクトの領域へと表現を広げた点が、彼女の仕事を特徴づけている。

年月区分作品名ブランド
2010年モビールThemis MobileArtecnica
2012年モビールThemis Mono / Prism / TrioArtecnica
2012年トレイKaleido TrayHAY
2016年ペンダントライトCirqueLouis Poulsen

Reference