モンタナファニチャー(Montana Furniture)
モンタナファニチャーは、1982年にデンマークで創業した家族経営の家具メーカーです。創業者ペーター・J・ラッセンが設計したモジュラーシステムを核に、住宅から現代的なオフィス空間まで、パーソナライズされた収納ソリューションを世界中に提供し続けています。「Making room for personality(個性のための空間を創る)」をスローガンに掲げ、42色もの豊富なカラーパレットと36種類の基本モジュールによって、使い手一人ひとりの創造性と自己表現を尊重する家具づくりを実践しています。
デンマーク・フュン島のホービーに構える自社工場では、140名を超える熟練した職人たちが、最高水準の加工・塗装・組立を日々行っています。2019年には家具メーカーとしてヨーロッパで最初期にEUエコラベルを取得し、環境への配慮と品質の両立を証明しました。モンタナの家具は、一生涯使い続けられる製品として、世代から世代へと受け継がれています。
ブランドの特徴・コンセプト
モンタナファニチャーの根幹には、「すべての人には自由への欲求と、自分だけの空間を創りたいという自然な願望がある」という哲学があります。この思想は、創業者ペーター・J・ラッセンがフリッツ・ハンセン社時代にアルネ・ヤコブセン、ヨーン・ウッツォン、ピート・ハイン、ヴェルナー・パントンといった巨匠たちと協働した経験から生まれました。
モンタナシステムの最大の特徴は、その無限の組み合わせ可能性にあります。36種類の基本モジュール、4つの奥行き、42色の水性ラッカー塗装により、50億通り以上の組み合わせが可能とされています。壁掛け、台座取り付け、キャスター、脚部と、設置方法も多彩です。角を丸く削り取ったモジュールのフォルムは、ラッセンが「抽象的な四角い箱から不要な部分を削り取っていった」と語る、彫刻家のようなアプローチから生まれました。
カラーは単なる選択肢ではなく、モンタナのデザインDNAそのものです。2019年に導入された現行のカラーパレットは、デンマークの色彩専門家マルグレーテ・オゴーによって開発されました。「色は光であり、光は生命である」という彼女の哲学のもと、30色の新色と10色のニュートラルトーン、2種類の突板で構成される42のバリエーションが生まれました。これらの色彩は、視覚だけでなく感情にも訴えかけ、空間に詩情と複雑さをもたらすよう設計されています。
ブランドヒストリー
モンタナファニチャーの歴史は、創業者ペーター・J・ラッセンのキャリアと深く結びついています。ラッセンは1931年、デンマークの保守的な家庭の8人きょうだいの6番目として生まれました。祖父はデンマークの著名な画家ヨアキム・スコウゴーであり、芸術的感性は幼少期から培われていました。
海軍将校としてのキャリアを経て、1954年に義父が経営するフリッツ・ハンセン社に入社。やがてCEOにまで昇進し、アルネ・ヤコブセンやヴェルナー・パントンといった先進的なデザイナーたちと協働しました。しかし1979年、彼らとの協働で生み出した進歩的な家具は時代に先んじすぎていたため、売上が低迷し、CEOの座を追われることとなりました。
退社時、ラッセンは自身が開発した「60×60」シェルビングコンセプトの権利を買い戻しました。このシステムは1974年に原型が設計されたもので、バナナの箱にヒントを得て、水平方向だけでなく垂直方向にも拡張できる画期的なものでした。1982年、このコンセプトを基盤としてモンタナファニチャーを設立。社名「Montana」は、デンマーク語の「montere(組み立てる)」に由来しています。
2007年には、テストルップ国民高等学校および新聞『インフォメーション』と協働でモンタナ文学賞を創設。2010年にはダンネブロー勲章を受章しました。2015年、息子のヨアキム・ラッセンが経営を引き継ぎ、同年にはDJOB事業部の統合、世界規模での販路拡大を推進しました。2019年にマルグレーテ・オゴーとの協働で新カラーパレットを発表した直後の8月、ペーター・J・ラッセンは88歳で逝去しました。
主なインテリアとその特徴
モンタナシステム(Montana System)
モンタナの象徴的存在であるモジュラー収納システムです。12mmのラッカー塗装MDFで製作され、36種類の基本モジュールを4つの奥行き(30cm、38cm、46.8cm、60cm)で展開。本棚、サイドボード、テレビ台、ワードローブなど、あらゆる収納ニーズに対応します。角を丸く仕上げた独特のフォルムと、42色から選べるカラーバリエーションが特徴です。10年保証付き。
モンタナフリー(Montana Free)
2018年、デンマーク人デザイナーのヤコブ・ワグナーによって設計された自立式シェルビングシステムです。16mmのラッカー塗装MDFの棚板と金属製の垂直支柱で構成され、工具不要で簡単に組み立てられます。12種類の標準構成があり、クヴァドラ社のファブリック「Remix 2」を使用したテキスタイルパネルを追加することで、透過性や色彩表現を自在に調整できます。「新しい暮らし方のための家具」として、移動の多い現代のライフスタイルに対応しています。
パントンワイヤー(Panton Wire)
ヴェルナー・パントンがデザインしたワイヤーシェルフシリーズです。クローム仕上げまたはスノー、ブラック、モナークの3色のラッカー塗装で展開。インダストリアルでありながらエレガントな佇まいが特徴で、床置き、壁掛け、ルームディバイダーとして使用できます。ガラス棚やトップパネルなどのアクセサリーも充実しています。
パントノヴァ(Pantonova)
1971年、ヴェルナー・パントンがデンマークの伝説的レストラン「ヴァルナ」のためにデザインしたモジュラーシーティングシステムです。リニア、コンケーブ、コンベックスの3種類のチェアモジュールを組み合わせることで、円形、波形、S字形など有機的なフォルメーションを自在に構成できます。1977年の映画「007 私を愛したスパイ」で悪役カール・ストロンバーグの椅子として登場し、アイコニックな地位を確立しました。2019年にモンタナが復刻し、クローム、ブラックレッド、屋外用ステンレススチールで展開しています。
パントンワン(Panton One)
1955年、ヴェルナー・パントンが最初にデザインした椅子を、2003年にモンタナが復刻しました。ステンレススチール、ポリッシュドクローム、またはラッカー塗装のスレッドフレームに、手編みのポリウレタンコードまたはFSC認証ペーパーストリングの座面を組み合わせています。ダイニング、キッチン、バー、ラウンジの4種類があり、最大10脚までスタッキング可能です。屋内外両用のバージョンも用意されています。
ケヴィ(Kevi)
1958年、デンマーク人建築家ヨルゲン・ラスムッセンがKEVI社のためにデザインしたスウィベルチェアです。1965年に発明されたダブルホイールキャスターは、「車輪の再発明」と称され、IDプライズを受賞しました。オフィスチェアの機動性を飛躍的に向上させ、世界中で何百万脚も販売されています。モンタナは2016年に四脚バージョンを追加し、現在は18のバリエーションを展開。8色のモンタナカラーで提供されています。
DJOBテーブル(DJOB Table)
1971年、アルネ・ヤコブセンがデンマーク国立銀行のオフィスおよび会議室のためにデザインしたテーブルです。モンタナは1998年に復刻。アルミ押出成形のフレームと多彩な天板仕上げ(ラミネート、リノリウム、突板など)で構成され、13種類の天板サイズと17色の表面カラーから選択できます。時代を超越したデザインは、ダイニングテーブル、ワークデスク、会議テーブルなど多目的に活用されています。
モンタナミニ(Montana Mini)
コンパクトサイズのモジュラー収納シリーズです。8mm厚のMDFを使用し、10色の厳選されたカラーで展開。玄関、リビング、子供部屋など、小さなスペースにも対応します。トップパネルや各種アクセサリーで機能を拡張でき、モンタナシステムとの組み合わせも可能です。
主なデザイナー
- ペーター・J・ラッセン(Peter J. Lassen, 1931-2019)
- モンタナファニチャー創業者。フリッツ・ハンセンの曾孫を娶り、同社CEO時代にアルネ・ヤコブセン、ヴェルナー・パントンらと協働。モンタナシステム、モンテレーテーブルなどを設計。2010年ダンネブロー勲章受章。
- ヴェルナー・パントン(Verner Panton, 1926-1998)
- デンマークを代表する前衛的デザイナー。1955年のパントンワンチェア、1971年のパントノヴァ、パントンワイヤーシリーズなど、モンタナの主要製品を多数デザイン。ペーター・J・ラッセンとは1956年から友人関係にあった。
- アルネ・ヤコブセン(Arne Jacobsen, 1902-1971)
- 20世紀を代表するデンマークの建築家・デザイナー。SASロイヤルホテル、デンマーク国立銀行などを設計。1971年にデンマーク国立銀行のためにデザインしたDJOBテーブルは、1998年にモンタナが復刻。
- ヤコブ・ワグナー(Jakob Wagner, 1963-)
- コペンハーゲン生まれのデザイナー。バング&オルフセン、ムート、ステルトンなどの製品を手がける。2017年にJWテーブル、2018年にモンタナフリーをデザイン。作品はMoMAに永久収蔵。
- ヨルゲン・ラスムッセン(Jørgen Rasmussen, 1931-)
- オーデンセ生まれの建築家。1958年にケヴィチェアをデザインし、1965年にダブルホイールキャスターを発明してIDプライズを受賞。このキャスターはオフィス家具の革命をもたらした。
- マルグレーテ・オゴー(Margrethe Odgaard)
- デンマークの色彩・テキスタイルデザイナー。2016年トルステン&ワンヤ・セーデルベリ賞受賞。2019年、モンタナの新カラーパレット(42色)を開発。著書に『Shades of Light』がある。
- シュミット・ハマー・ラッセン(Schmidt Hammer Lassen)
- デンマークの建築事務所。モンタナのオフィス家具シリーズを設計。
サステナビリティへの取り組み
モンタナファニチャーは、デンマーク環境保護庁と協議のうえ、1992年から独自の環境会計システムを導入しています。2007年以降は有害な溶剤を含まない水性ラッカー塗料のみを使用。2019年にはヨーロッパの家具メーカーとして最初期にEUエコラベル認証を取得しました。この認証は、原材料の調達から生産、流通、廃棄に至る製品のライフサイクル全体を評価するものです。
また、2004年からISO14001(環境マネジメントシステム)認証を取得し、デンマーク室内環境ラベルも保有しています。パントンワンチェアにはFSC認証のペーパーストリング(持続可能な森林由来の紙素材)オプションがあり、ケヴィエアチェアの座面には100%リサイクルポリプロピレンを使用しています。
「一生涯使える製品」という設計思想そのものが、最も本質的なサステナビリティへの貢献です。モンタナの家具は世代から世代へと受け継がれることを前提に設計されており、10年間のカラー補充保証により、購入後も同色のモジュールを追加できます。
文化活動への貢献
モンタナは長年にわたり、デンマークの文化活動を支援してきました。2007年には、テストルップ国民高等学校および新聞『インフォメーション』と共同でモンタナ文学賞を創設。現在も現CEO ヨアキム・ラッセンのもとで継続されています。
同年、オーデンセのブランツ美術館で「Eventyrskabe(おとぎ話のキャビネット)」展を開催。デンマーク・アイスランド人アーティスト、オラファー・エリアソンのポートレートフィルムへの資金提供、コペンハーゲン・オペラハウスやブラックダイアモンド(デンマーク王立図書館)での展覧会スポンサーなど、前衛的な芸術活動への支援を続けています。
基本情報
| ブランド名 | モンタナファニチャー(Montana Furniture / Montana Møbler A/S) |
|---|---|
| 設立 | 1982年 |
| 創業者 | ペーター・J・ラッセン(Peter J. Lassen, 1931-2019) |
| 現CEO | ヨアキム・ラッセン(Joakim Lassen) |
| 所在地 | デンマーク・フュン島ホービー(Haarby, Funen, Denmark) |
| 工場規模 | 約19,000〜20,000㎡ |
| 従業員数 | 約160〜200名 |
| 主な製品 | モジュラー収納システム、テーブル、チェア |
| カラーバリエーション | 42色(水性ラッカー41色+突板2種) |
| 保証期間 | モンタナシステム・フリー・パントンワイヤー:10年、テーブル・チェア:5年 |
| 認証 | EUエコラベル(2019年〜)、ISO14001(2004年〜)、デンマーク室内環境ラベル |
| 公式サイト | https://www.montana.dk / https://www.montanafurniture.com |