ミングレン・テーブルは、二十世紀アメリカを代表する家具デザイナー、ジョージ・ナカシマ(1905-1990)が1960年代に展開した、一枚板を用いるテーブルのシリーズである。厚い一枚板の天板を、同じく重厚な木の脚部で支える構成を基本とし、ダイニングテーブルからローテーブル(コーヒーテーブル)まで複数の形式がある。木材そのものの量感と存在感を主役に据えた、ナカシマの成熟期を代表する作品群である。
「ミングレン」という名称は、彫刻家の流政之(ながれ まさゆき)らが1963年に香川県で設立した職人集団「讃岐民具連(さぬきみんぐれん)」に由来する。ナカシマは1964年にこの集団に加わり、日本での協働を記念してこのシリーズを名付けた。この縁は、東京での複数回にわたる個展や、ナカシマデザインの製造ライセンスを持つ桜製作所との長年の関係へとつながっていった。
特徴・コンセプト
一枚板の構造美
ミングレン・テーブルの最大の特徴は、天板とベース(脚部)の両方に一枚板を用いる大胆な構成にある。巨大な一枚板を天板とし、同様に重厚な板をベースに配することで、木材の力強さと存在感が引き出される。サイズによって複数のバリエーションがあり、ミングレン Iは長さ5フィート(約1.5メートル)以下の、一本脚的なベースによる親密な印象のテーブル、ミングレン IIは6フィート(約1.8メートル)以上の天板に対応する汎用性の高いベースを持つ。直線的なフォルムのミングレン IIIなどの展開もある。
フリーエッジと自然な表情
ナカシマが「フリーエッジ」(後に「ライブエッジ」として広く知られる概念)と呼んだ、木の自然な縁を残す手法がミングレン・テーブルでも用いられている。樹皮直下の辺材、樹脂の溜まり、節、割れなど、従来の家具製作では欠点とされた要素を、木の個性として積極的に取り入れる。日本の侘び寂びの美意識にも通じる、自然な木の表情を尊重する姿勢があらわれている。
バタフライジョイントの機能美
ミングレン・テーブルには、ナカシマを象徴するバタフライジョイント(蝶つぎ)が効果的に配される。古くからヨーロッパや日本で用いられてきた技法だが、ナカシマはこれを隠さず、デザインの視覚的な要素として見せた。多くの場合、ウォルナットの天板にローズウッドのバタフライジョイントを嵌め込み、木目と色彩のコントラストを生む。これは装飾であると同時に、木材の割れを防ぎ複数の板を接合する構造上の役割も担っている。
評価と現在の製造
ミングレン・テーブルは、ナカシマの成熟期を代表する作品群として、デザイン史において高く評価されている。今日広く普及している「ライブエッジ」スタイルの家具は、ナカシマの「フリーエッジ」の概念をひとつの源流としており、一枚板テーブルの人気や自然素材への回帰といった現代の傾向は、ナカシマが半世紀以上前に示した価値観に連なるものである。
ナカシマの家具は、現在ペンシルベニア州ニューホープのジョージ・ナカシマ・ウッドワーカーズ(娘のミラ・ナカシマが継承)と、日本の桜製作所の二つの工房でのみ製作されている。ミングレン・テーブルは、いずれの工房でも注文製作が可能な定番シリーズであり、顧客が一枚板を選び、その木目や自然の表情を活かして一台ずつ仕上げられる。
基本情報
| デザイナー | ジョージ・ナカシマ(George Nakashima, 1905-1990) |
|---|---|
| デザイン年 | 1960年代(讃岐民具連の設立は1963年) |
| 分類 | ダイニングテーブル/ローテーブルほか |
| 製造元 | ジョージ・ナカシマ・ウッドワーカーズ(米国ペンシルベニア州ニューホープ)、桜製作所(日本・香川県高松市) |
| 主な材料 | アメリカンブラックウォルナット、ローズウッド、ブビンガ、イングリッシュオーク、チェリーなど各種無垢材 |
| バリエーション | ミングレン I(5フィート以下)、ミングレン II(6フィート以上)、ミングレン III |
| 特徴的な技法 | 一枚板使用、フリーエッジ(ライブエッジ)、バタフライジョイント、オイル仕上げ |
| 製作地 | ニューホープ(ペンシルベニア州、米国)、高松(香川県、日本) |