概要
ジグザグチェア(Zig-Zag Chair)は、オランダの建築家・デザイナーであるヘリット・トーマス・リートフェルトが1934年にデザインした椅子である。4枚の板をZ字に組み、脚を持たない構成をとる。
板は蟻継ぎと補強材で接合される。カッシーナが製造している。
デザインの背景と誕生
1932年から1934年にかけて構想された。百貨店からの量産可能な椅子の依頼が契機となっている。
レッド&ブルーチェアが17点の部材で構成されたのに対し、ジグザグは4枚まで減らしている。部材が減れば接合部も減るが、残る接合部に力が集中する。
構造と素材
板は座面、背もたれ、斜めの支柱、底板の4枚による。脚を設ければ床との接点が4箇所になるが、底板であれば面で接する。荷重は座面から斜材を通って底板へ伝わる。
当初は繊維板、鋼管、積層合板、鋼板が検討された。最終的に木製の棚板を4枚用いる方法が採られている。現行品はアメリカンチェリー材またはアッシュ材の無垢材による。
接合には蟻継ぎを用いる。板を突き合わせてネジで留めれば引き抜く力に弱いが、蟻継ぎは形状そのものが抜けを止める。斜材の両端には三角形の補強材が配され、板が開く方向への変形を抑える。
木で片持ちを成立させる
片持ち構造の椅子は1920年代に金属で試みられていた。金属は曲げても粘りがあり撓んで戻るのに対し、木は限界を超えると割れる。木材で同じ構造を成立させるには、接合部の形状で力を受ける必要がある。
横から見ると、4枚の板が連続した一本の線として現れる。正面から見れば板の幅だけが見え、輪郭が変わる。
製造と流通の歴史
1930年代から1940年代にかけて複数の工房が製造した。この時期に肘掛け付きや背もたれに穴を開けた変種も作られている。
1971年よりカッシーナが製造している。各製品には製造番号と認証マークが刻印される。仕上げは木地のままと原色の塗装から選べる。
評価と影響
板を折り曲げたように見せる構成は、実際には4枚を接合して成立させている。一体で成形するパントンチェアは同じ輪郭を樹脂で実現するが、そちらは型を要する。
収蔵
以下の収蔵が確認できる(MoMA=ニューヨーク近代美術館、Met=メトロポリタン美術館、V&A=ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、AIC=シカゴ美術館)。
- MoMA ジグザグ チェア(1934年) 収蔵番号 405.1988
- Met ジグザグ ストゥール(1937-40年頃) 収蔵番号 2007.11
- V&A ジグザグ チェア(1934年) 収蔵番号 CIRC.368-1970
- AIC ジグザグ チェア(1934年) 収蔵番号 2017.524
ヘリット・リートフェルトの設計思想や経歴について詳しくはヘリット・リートフェルトプロフィールページをご覧ください。
カッシーナの歴史や他の製品について詳しくはカッシーナブランドページをご覧ください。
基本情報
| デザイナー | ヘリット・トーマス・リートフェルト(Gerrit Thomas Rietveld) |
|---|---|
| デザイン年 | 1934年 |
| 現行製造メーカー | カッシーナ(Cassina S.p.A.) |
| 型番 | 280 |
| 製造権取得・再生産開始年 | 1971年 |
| 素材 | アメリカンチェリー無垢材、アッシュ無垢材 |
| 接合方法 | 蟻継ぎ(ダブテールジョイント)、三角補強材 |
| 寸法(カッシーナ版) | 幅370mm × 奥行430mm × 高さ740mm × 座面高430mm |
| 所蔵美術館 | ニューヨーク近代美術館(MoMA)、サンフランシスコ近代美術館(SFMOMA)、RISD美術館、ヒューストン美術館ほか |