ストリングライトは、キプロス出身の照明デザイナー、マイケル・アナスタシアデスが2013年にイタリアの名門照明メーカーFlosとの最初のコラボレーションとして発表した革新的なペンダントライトシステムである。空中に鉛筆で線を引くように空間を描くこの照明は、ミニマルでありながら詩的な存在感を放ち、従来の照明デザインの概念を根本から覆した。

送電線や電柱を結ぶ電線からインスピレーションを得たこの作品は、12メートルまたは22メートルという極端に長いケブラー強化同軸ケーブルと、コーンまたはスフィア(球体)型のシンプルな照明器具によって構成される。その本質は、ユーザーに創造性を委ねることにあり、使用者が自由にケーブルを空間に張り巡らせることで、無限の配置パターンを生み出すことができる。

特徴・コンセプト

日常風景から生まれた詩的ビジョン

アナスタシアデスは、列車の窓から見える送電線の風景に着想を得た。「列車に乗るとき、私はいつも窓の外を見て、高速で移動する中で、送電線が電柱を完璧に平行につなぐ様子を見ています。それらが風景を分割する方法がとても美しく詩的なのです。球体が不規則な間隔でワイヤーに通されている様子も愛おしい。私はそれを室内建築に翻訳したかったのです」と、デザイナーは語る。

同時に、地中海文化における村の広場で、夜のパーティーのために柱の間に照明を吊るす伝統的な習慣も、このデザインに影響を与えている。実用的なインフラストラクチャーが持つ幾何学的美しさと、文化的な祝祭の温かみが融合したコンセプトが、ストリングライトの核心を成している。

実用的問題への詩的解答

このデザインには、美的探求だけでなく実用的な問題解決の側面も含まれている。「住宅に引っ越すと、電気のコンセントが決して望む場所にはありません。フロアランプを置く柔軟性がない場合、どうやってその問題を解決するのか」というアナスタシアデスの問いかけに対し、ストリングライトは興味深い詩的な解決策を提示する。

長いケーブルシステムは、不便な位置にある電気接続点から部屋全体に光を届けることを可能にし、建築的制約を創造的機会へと転換する。空間を分割し、領域を定義し、視覚的な流れを生み出すこの照明は、機能性と芸術性の境界を曖昧にする。

引き算の美学

アナスタシアデスのデザイン哲学の核心は「引き算」にある。「私の作品は引き算のアイデアから生まれます。裸の状態に戻された物体こそが、美の究極的で決定的な表現だからです」と、デザイナーは述べる。ストリングライトは、形態と素材の原初的で本質的な次元を追求し、対象物を純粋な存在の状態まで剥ぎ取る彼の姿勢を体現している。

ダイキャストアルミニウムのマットな質感、オパールポリカーボネートの柔らかな光の拡散、そして極細のケーブルが描く幾何学的ラインは、いずれも必要最小限の要素のみで構成されている。この一見単純な形態は、深い思索と精緻な工芸技術の結晶であり、予期せぬ生命力を宿している。

柔軟な構成システム

ストリングライトは、照明器具というよりも建築的介入のためのツールキットとして機能する。コーン型は下方照明として、スフィア型は全方位照明として使用され、それぞれが空間に異なる性格を与える。ブラック、ホワイト、ブルーの3色展開により、さまざまな空間との調和が可能である。

壁や天井に取り付けられたフックを使用して、ケーブルを水平方向、垂直方向に自由に配置できる。この柔軟性により、キッチンアイランドの上に直線的に配置したり、階段に沿ってジグザグに構成したり、寝室の壁に幾何学的パターンを描いたりと、空間ごとに独自のインスタレーションを創出できる。

デザインプロセス

ストリングライトの開発において、アナスタシアデスはスケールモデルを用いた実験的アプローチを採用した。長い糸とボールを使用し、ポールからポールへと結びつけながら、さまざまな配置パターンを探求した。「私たちはこの箱のあらゆるスケールを撮影し、それを使って今日見られるストリングライトを開発しました」と、デザイナーは制作過程を振り返る。

これらの写真とスケッチは製作過程全体を通じて参照され、最終製品は驚くほどモデルと同じ姿を保っている。このプロセスは、アナスタシアデスがFlosのために手がけた他のコレクション、特に最新作の「コーディネイツ」においても踏襲され、無限の可能性を許容するコンセプトとして発展している。

評価

2014年のEuroluceでの発表以来、ストリングライトは国際的なデザインコミュニティから高い評価を受けている。デザイン批評家たちは、その概念的な大胆さとミニマリズムの調和、実用性と芸術性の両立を称賛している。電報線や欧州の街路照明を連想させる細い黒いコードが空中に幾何学的形状を描く様は、インフラストラクチャーの美学を室内空間に翻訳した画期的な試みとして認識されている。

特筆すべきは、この照明が単なる光源ではなく、空間を定義し、建築と対話する要素として機能する点である。展示会やインスタレーションを通じて、ブロエルトーレン、ケストナー・ゲゼルシャフト、122ローワーマーシュなど、世界各地で発表されたストリングライトは、その都度異なる表情を見せながら、デザインの普遍的な力を証明している。

アナスタシアデス自身にとって、ストリングライトは「創造性をユーザーに手渡す最初のジェスチャー」として特別な意味を持つ。使用者が個々の建築空間に応じて独自の配置を創造できるこの照明は、デザイナーと使用者の協働による美的体験を可能にする、新しい照明デザインのパラダイムを提示している。

受賞歴

ストリングライトは、2014年のEDIDA(エル・デコ・インターナショナル・デザイン・アワード)において照明部門の栄誉を獲得した。この受賞は、照明デザインにおける革新性と芸術性の両面での卓越性を認められたものである。同作品は、アナスタシアデスとFlosの長期的なコラボレーションの始まりを飾る記念碑的な作品となり、その後のICライトやコピーキャットといったカルト的人気を誇るデザインへと続く道を開いた。

基本情報

デザイナー マイケル・アナスタシアデス
ブランド Flos(フロス)
発表年 2013年(初発表)、2014年(Euroluceで正式ローンチ)
分類 ペンダントライト・照明システム
シェード形状 コーン型(下方照明用)、スフィア型(全方位照明用)
素材 ダイキャストアルミニウム(マット仕上げ)、オパールポリカーボネート(光学拡散板)、ケブラー強化同軸ケーブル
カラー ブラック、ホワイト、ブルー
ケーブル長 12メートル(約40フィート)または22メートル(約72フィート)
光源 LED 21W、色温度2700K、調光可能
調光方式 ソフトタッチ方式(ケーブル上部を押す)、またはBluetoothアプリ制御
生産国 イタリア