サターン(Saturne)は、フランスの照明デザイナー、セルジュ・ムーユが1957年に発表した照明である。半円弧を描くシェードが土星の輪を思わせることから、この名が与えられた。ウォールランプとテーブルランプの二型があり、ムーユの代表的シリーズ「フォルム・ノワール(Formes Noires)」に連なる一作として知られる。
特徴・コンセプト
シェードは中央のリフレクターを包み込むように弧を描く。アルミニウム製のリフレクターは内側を光沢のある白で仕上げてあり、光を拡散させながら前方へ送り出す。シェードは真鍮製のボールジョイントで支持され、270度の回転と55度の傾斜調整に対応する。
テーブルランプのベースは、V字型に組んだ2本のスチール材を太いチューブで連結した構造をとる。このチューブが電源コードを内部に収め、脚元をすっきりと保つ。黒または白に塗装されたスチールに対し、真鍮のジョイントは無垢のまま残される。
ウォールランプは壁付けのハウジングから短いアームが伸び、テーブルランプと同じボールジョイントでリフレクターの向きを変えられる。もとはベッドサイドの読書灯として構想された型である。
エピソード
サロン・デ・ザール・メナジェでの発表
サターンは1957年のサロン・デ・ザール・メナジェ(Salon des Arts Ménagers)において、ベッドサイド用のウォールランプとして公開された。同じ年に、同一のシェードをテーブルランプへ展開した型も生まれている。
ステフ・シモン・ギャラリーでの展示
パリ・サンジェルマン大通りのステフ・シモン・ギャラリーでは、開廊を記念する展示で、高さ4メートルの支柱に沿ってサターンのウォールランプを螺旋状に配した構成が組まれた。同ギャラリーはジャン・プルーヴェ、シャルロット・ペリアン、イサム・ノグチらの作品も扱っていた。
評価
サターンはムーユの照明のなかでは小型に属する。シェードが曲面だけで構成されるため、見る角度によって輪郭が変わる。
ムーユは1988年に没したが、1999年に妻ジン・ムーユらがエディション・セルジュ・ムーユを立ち上げ、当時の製法にもとづく正規の復刻生産を開始した。現行品はフランスで製造され、刻印されたシリアルナンバーと保証書が付される。ヴィンテージのオリジナルも市場に流通しており、リフレクター内側の白い塗装が経年で黄味を帯びる点が、年代を見分ける手がかりのひとつとされている。
基本情報
| デザイナー | セルジュ・ムーユ(Serge Mouille) |
|---|---|
| 発表年 | 1957年 |
| メーカー | エディション・セルジュ・ムーユ(Éditions Serge Mouille) |
| デザイン国 | フランス |
| 素材 | スチール(本体)、アルミニウム(リフレクター)、真鍮(ボールジョイント) |
| カラー | ブラック、ホワイト |
| サイズ(テーブルランプ) | 幅41cm × 奥行39cm × 高さ40cm |
| サイズ(ウォールランプ) | 高さ30cm × 奥行26cm |
| 可動域 | 回転270度、傾斜55度 |
| シリーズ | フォルム・ノワール(Formes Noires) |