概要

PH スノーボールは、ポール・ヘニングセンが1958年に設計したペンダントライトである。8枚のシェードが重なって、縦に伸びた球に近い輪郭をつくる。1958年にデンマーク装飾美術館(現デザインミュージアム・デンマーク)で開かれた展覧会「Glass, Light and Colour」で、PHアーティチョーク、PH5とともに公開されたが、当時は他の2作の陰に置かれた。ルイスポールセンが製品化したのは1983年である。

特徴・コンセプト

8枚のシェードが囲う

アルミニウム製のシェードは、光源を中心に上下方向へ重ねて配され、3本の支柱で支持される。上側のシェードほど径が小さく、下側は大きい。この重なりによって、真下から見上げても、水平に近い角度から見ても、光源と視線のあいだにはいずれかのシェードが入る。下方へ導かれる光と、シェードの隙間から周囲へ抜ける光が同時に生まれるため、器具の下だけでなく周辺も明るくなる。

3枚シェードの方式から始まったヘニングセンの一連の仕事のなかで、スノーボールは枚数を増やして球に近い輪郭まで進めた例にあたる。同じ考え方は、彼が手がけたコントラストランプやPHルーヴルにも共通する。

上下で変える仕上げ

シェードの上面は光沢、下面はマットに仕上げられる。上面で反射させた光を効率よく次のシェードへ送り、下面では拡散させて眩しさを抑えるためである。点灯すると上部が明るく、下部は落ち着いた影になり、同じ器具でも見る高さによって表情が変わる。

構造と寸法

シェードはスパンアルミニウム、フレームはダイキャストアルミニウムで、ハイラスタークロームメッキまたは真鍮メタライズドの仕上げが選べる。直径400mm、高さ約390mmという寸法は、住宅の一般的な天井高でも扱える大きさである。

エピソード

1958年の展覧会でヘニングセンが公開した3つの照明のうち、PHアーティチョークはコペンハーゲンのレストラン「ランゲリニエ・パヴィリオン」のために設計されたものであり、PH5は後にルイスポールセンで最も広く売れる製品となった。スノーボールはその陰に置かれ、20年以上のあいだ製品化されなかった。1983年に再び取り上げられて生産が始まったとき、ヘニングセンはすでに1967年に世を去っていた。

その後もスノーボールは定番として残り、2025年5月にはソフトホワイト、ダスティグリーン、ダスティブルーの3色が加わった。シェードの塗装はやや艶を抑えた仕上げに改められ、フレームにはハイラスタークロームに加えてポリッシュ仕上げの真鍮メタライズドが通常仕様として用意されている。下面に淡いローズの色みを施し、光沢のある真鍮フレームと組み合わせたアニバーサリー・エディションも展開された。

評価と影響

光源を見せずに下方へ十分な明るさを送るという条件から、この球形は導かれている。天井の高い場所や階段室のように、上下どちらの方向からも見られる位置に向く。ダイニングテーブルやキッチンカウンターの上でも使われる。

PHシリーズ全体の設計原理と各機種の関係については PH ランプ シリーズ にまとめている。

基本情報

名称 PH スノーボール / PH Snowball
デザイナー ポール・ヘニングセン(Poul Henningsen)
ブランド ルイスポールセン(Louis Poulsen)
発表年 1958年(製品化は1983年)
デザインの成立国 デンマーク
分類 ペンダントライト
構成 8枚のシェード、支柱3本
主要素材 シェード:スパンアルミニウム/フレーム:ダイキャストアルミニウム(ハイラスタークロームメッキまたは真鍮メタライズド)
仕上げ シェード上面:光沢/下面:マット
サイズ 直径400mm × 高さ約390mm
カラー ホワイト、ソフトホワイト、ダスティグリーン、ダスティブルー

Reference