概要

モノ-A カトラリーは、ペーター・ラーケが設計し、1959年に発売されたフラットウェアである。装飾を持たず、幅と厚みの変化だけで形が決まる。ステンレス鋼による。発売当時は市場に受け入れられなかったが、現在もモノ社が生産を続けている。

特徴・コンセプト

断面の変化だけで形をつくる

ハンドルからボウルへ、ハンドルからブレードへと、幅と厚みが連続的に変わる。曲面はあるが、模様も段差もない。装飾を施すには型打ちや彫りの工程が要るが、断面の変化だけなら圧延と研磨で処理できる。

模様がないため、手に持ったときの当たりは断面の丸みだけで決まる。厚みを変える箇所が、そのまま持つ位置を示している。

素材と仕上げ

18/10ステンレス鋼を用い、ナイフのブレードには硬化ブレード鋼を使う。仕上げはサテンブラッシュが標準で、鏡面も選べる。ナイフのブレードは、当初設計された短いものと後年加えられた長いものがある。

製造

ドイツ・メットマンのモノ社の工場で製造される。バリ取り、研磨、サンディング、ブラッシングの工程を経る。テーブルカトラリーのほか、サラダサーバー、ケーキサーバーなどのサービングピースも揃う。

エピソード

1950年代末、モノ社の三代目ヘルベルト・ザイベルは、父が続けてきた中低価格帯のカトラリー製造とは別の方向を探していた。依頼を受けたのは、カッセルの造形大学で工業デザインを教えていたペーター・ラーケである。

戦後の買い換え需要のなか、当時のドイツの食卓では装飾のあるカトラリーが好まれていた。角張った輪郭、工業用ステンレスの質感、装飾の不在という選択は、その好みの逆を行くものだった。発売直後、この簡素さは小売業者にも消費者にも受け入れられず、「カトラリーになりたがっている板金」と評された。ラーケとザイベルは、自分たちの設計が市場より先に出すぎたことを認めている。

それでも生産は続けられ、発売から14年後の1973年に連邦優良デザイン賞を受けた。パッケージとロゴは、同じくカッセルの造形大学で教えていたカール・オスカー・ブラーゼが手がけている。

評価と影響

1973年の連邦優良デザイン賞のほか、1997年のiFエコロジーデザイン賞、2016年のアイコニック・インテリア・アワード、2019年のジャーマン・デザイン・アワードを受けている。

装飾を持たないカトラリーという方向では、AJ カトラリーが同時期のデンマークで、幾何形態を基礎に構成している。モノ-Aは断面の変化だけで形を決める点が異なる。同じドイツではユンハンス マックス・ビル テーブルクロックにも、要素を絞る方向が見られる。

4館の公開データでは、モノ-A自体の収蔵は確認できていない。

基本情報

名称 モノ-A カトラリー / Mono-A Cutlery
デザイナー ペーター・ラーケ(Peter Raacke)
ブランド Mono GmbH(ドイツ・メットマン)
発表年 1959年
デザインの成立国 ドイツ
分類 カトラリー
主要素材 18/10ステンレス鋼、硬化ブレード鋼(ナイフブレード)
構造 幅と厚みの連続的な変化だけで形をつくる。模様と段差を持たない
仕上げ サテンブラッシュ、鏡面
ナイフ ショートブレード(当初設計)/ロングブレード
受賞 1973年 連邦優良デザイン賞/1997年 iFエコロジーデザイン賞/2016年 アイコニック・インテリア・アワード/2019年 ジャーマン・デザイン・アワード

Reference