概要
ポタンスは、ジャン・プルーヴェが1940年代に自邸のために考案したウォールランプである。壁付けのブラケット、水平に伸びるアーム、光源という最小限の要素で構成され、アームは180度の範囲で回転する。1950年代のプレハブ住宅「メゾン・トロピカル」でも用いられた。現在はヴィトラが復刻生産している。
特徴・コンセプト
床を占有しない
フロアランプは、光を置きたい位置に台座も置くことになる。ポタンスは支持を壁側に移し、そこから2メートル前後のアームを水平に伸ばす。床には何も置かれないため、限られた面積の住居でも家具の配置が制約されない。アームが回転するので、テーブルの上、ソファの脇、作業机の上へと、必要に応じて光の位置を移せる。
ワイヤーで吊る
長く張り出したアームは、そのままでは付け根に大きな曲げの力がかかる。ポタンスは、ブラケット上部からアームへテンションワイヤーを渡し、引張でアームを吊る。曲げを引張に置き換えることで、アーム自体は細い鋼管のままで済む。構造の力の流れが、そのまま外から見える形になっている。
素材と操作
アームとブラケットは粉体塗装の鋼管である。アームの先端付近には木製のハンドルが付き、位置を変えるときに手で握る。金属だけで構成せず、手が触れる箇所に木を置くという扱いである。コード上のスイッチで調光ができる。色は限られた数にとどめられている。
エピソード
プルーヴェは自らを建築家ではなくコンストラクター(構築者)と称し、製造できないものは設計しないという姿勢をとった。ポタンスの構成も、加工と組み立てが工場の工程に載ることを前提に決められている。
1950年代、プルーヴェは西アフリカのフランス領向けに「メゾン・トロピカル」を設計した。航空機で輸送できる軽量な部材で構成し、現地で組み立てるプレハブ住宅である。ポタンスもこの条件に合わせ、分解と組み立てが容易な構造にまとめられた。
メゾン・トロピカルは広く普及するには至らなかったが、2000年代に現地で残存する実物が再発見され、プルーヴェの再評価につながっている。
評価と影響
構造の力の流れを隠さずに見せる構成は、後の建築や工業デザインに影響を与えたとされる。ヴィトラは2002年から復刻生産を行っており、標準寸法のほか、アームを短くしたプティ・ポタンスも展開されている。2019年には、ヴィトラの企画展「TWENTYTHIRTYFIVE」でプルーヴェの作品群とともに取り上げられた。
美術館コレクション
ニューヨーク近代美術館は、エナメル塗装のスチールと真鍮による1947年頃のポタンスを収蔵番号843.2005で登録している(ユルク・ツムトーベル購入基金による取得。寸法30.5×154.9cm)。
ジャン・プルーヴェの設計思想や経歴について詳しくはジャン・プルーヴェプロフィールページをご覧ください。
ヴィトラの歴史や他の製品について詳しくはヴィトラブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | ポタンス / Potence |
|---|---|
| デザイナー | ジャン・プルーヴェ(Jean Prouvé) |
| ブランド | ヴィトラ(Vitra/2002年より復刻) |
| 発表年 | 1940年代(美術館の記録では1947年頃) |
| デザインの成立国 | フランス |
| 分類 | ウォールランプ |
| 主要素材 | 粉体塗装の鋼管、木製ハンドル、テキスタイルケーブル |
| 構造 | テンションワイヤーでアームを吊る。180度回転可 |
| 展開 | スタンダード、プティ・ポタンス |
| 収蔵 | ニューヨーク近代美術館(843.2005) |
Reference
- "Potence" Bracket Lamp | MoMA
- https://www.moma.org/collection/works/98828
- Potence | Vitra
- https://www.vitra.com/en-us/product/details/potence