このページについて

MRチェアは、ミース・ファン・デル・ローエが1927年に設計した椅子である。ノルが製造する。後ろ脚を持たない片持ちの構造による。座面は籐と革から選ぶ。肘掛けの有無で2つの型式に分かれる。

このページでは、片持ちの構造と撓み、座面の素材、ライセンスを受けていない製品との違い、手入れ、購入できる場所を扱う。設計の成り立ちについては紹介ページを参照されたい。

正規品の基本情報:仕様・サイズ・素材

MRチェアの正規品は、1948年にミース・ファン・デル・ローエ自身がKnoll社に独占的な製造ライセンスを付与して以来、同社が唯一の正規製造者として生産を続けている。各脚のフレームにはKnollStudioのロゴとミース・ファン・デル・ローエのサインが刻印され、正規品であることの証明となっている。以下に、購入検討時に把握すべき基本仕様をまとめる。

正式名称 MRチェア。肘掛けのない型と肘掛けのある型がある
製造ブランド ノル
フレーム素材 直径約25mmの継ぎ目のない鋼管
フレーム仕上げ めっきの仕上げが標準。粉体塗装の仕上げも選べる
座面・背もたれ 手で編んだ籐に塗装を施したもの、または牛の革から選ぶ
革の仕様 革の仕様は3色から選ぶ。革の帯で枠に結びつける
サイズ(肘掛けなし) 肘掛けのない型は幅490 × 奥行690 × 高さ790mm。座面の高さ460mm
サイズ(肘掛けあり) 肘掛けのある型は幅530 × 奥行825 × 高さ790mm。座面の高さ460mm、肘掛けの高さ685mm
重量 約7.7kg。肘掛けのない型で籐の仕様の場合
床に接する部材 床に接する箇所に樹脂の部材が4個付く
価格 ノルは公式サイトで製品情報を公開している(2026年8月19日確認)。日本国内の価格は輸入代理店と取扱店により異なる。型式と座面の素材で価格が変わる
収蔵 MoMA MR アームチェア(1927年) 収蔵番号 20.1949。メトロポリタン美術館と V&A も収蔵している
スタッキング 不可
組立 完成品での納品(組立不要)

片持ちの構造と撓み

後ろ脚を持たない。前方に曲げた鋼管が座面を支える片持ちの構造による。

座ると枠が撓む。座り心地に関わる。

撓む構造のため、枠の材質と直径が座り心地と耐久を決める。直径は約25mm。

床に接する箇所は前方の曲線部にあたる。樹脂の部材が付く。

選び分けの目安

座り心地で選ぶ場合
座ると枠が撓む。実際に座って確かめられるとよい。
床材を確かめる場合
前方の曲線部が床に接する。樹脂の部材が付く。
長く使う前提の場合
撓む構造にあたる。枠の状態を定期的に確かめる。

座面の素材

手で編んだ籐と、牛の革から選ぶ。

比較項目
構成 手で編み、塗装を施す 革の帯で枠に結びつける
経年 乾燥すると割れる 色と質感が変わる
手入れ 編み目の埃を払う 乾いた布で拭く
補修 編み直しになる 交換による

籐は乾燥に弱い。湿度の低い環境では割れる場合がある。

革は枠に結びつける構成のため、結び目の状態も確かめる。

選び分けの目安

手入れの手間を考える場合
籐は編み目の埃を払う。革は拭く。
置き場所を確かめる場合
籐は乾燥に弱い。暖房の風が当たる場所を避ける。
長く使う前提の場合
籐は編み直し、革は交換になる。対応を確かめる。

ライセンスを受けていない製品との違い

本製品には、ライセンスを受けていない類似の製品が流通する。

比較項目 正規品 ライセンスを受けていない製品
製造 ノルによる 製造元は個々に異なる
継ぎ目のない鋼管。直径約25mm 公表されない場合がある
座面 手で編んだ籐または革 個々に確認が要る
表示 枠に製造元の表示と署名が刻まれる 刻まれない
部品の供給 取扱店を通じて相談できる 個々に異なる

片持ちの構造で荷重を支えるため、枠の材質と直径、継ぎ目の有無は強度と座り心地に関わる。確認する事項になる。

選び分けの目安

強度を確かめる場合
枠の材質と直径を確認する。片持ちで荷重を支える構成にあたる。
正規品を確かめる場合
枠に製造元の表示と署名が刻まれる。
座り心地を確かめる場合
枠の仕様が撓み方を決める。実際に座って確かめる。

同種の椅子との比較

椅子は枠の構造と座面の素材で性格が分かれる。

比較項目 MRチェア LC1 バスキュラントチェア J39 ピープルズチェア
鋼管(片持ち) 鋼管(4本脚) 無垢材
座面 籐または革 革または毛皮を張る 紙紐または布
撓み 座ると枠が撓む 背もたれが回転する 該当しない
座面の高さ 460mm 400mm 445〜465mm
補修 編み直しまたは交換 業者による作業 編み直しになる

選び分けの目安

座り心地で選ぶ場合
枠が撓む。固定された枠の椅子とは異なる。
机と組み合わせる場合
座面の高さ460mm。食卓と組み合わせる高さにあたる。
手入れの手間を考える場合
籐は編み目の埃を払う。他の素材とは条件が異なる。

使用感と設置条件

2つの型式

肘掛けのない型と肘掛けのある型がある。幅と奥行が異なる。

肘掛けのある型では、机の下に収まるかを確かめる。肘掛けの高さは685mm。

寸法

座面の高さはいずれも460mm。食卓と組み合わせる高さにあたる。

奥行は690mmまたは825mm。片持ちの構造のため後方に張り出す。置き場所を確かめる。

床との関係

前方の曲線部が床に接する。樹脂の部材が4個付く。

経年で摩耗する。定期的に確かめる。

経年変化とメンテナンス

素材ごとに起きること

籐は乾燥すると割れる。日光でも色が変わる。

革は使用によって色と質感が変わる。乾燥すると硬くなる。結び目も緩む場合がある。

めっきの枠は湿気の多い環境で曇る。塗装の枠は擦れると下地が現れる。

撓む構造のため、枠には繰り返しの力がかかる。

日常の手入れ

籐の座面
柔らかい刷毛で編み目の埃を払う。乾燥を避ける。
革の座面
乾いた柔らかい布で拭く。結び目の状態も確かめる。
柔らかい布で拭く。研磨剤は仕上げを損なう。
床に接する部材
摩耗を定期的に確かめる。交換できる。

修理と部品

籐の編み直しと革の交換については、取扱店を通じて相談する。

床に接する部材の交換もあわせて確認する。

どこで買うか

取扱店の調べ方

ノルは公式サイトで製品情報を公開している。日本国内の正規取扱については、輸入代理店の案内を確認するのが確実である。

型式、座面の素材、枠の仕上げから選ぶ。納期も確かめる。

実物を確認する

座った際の撓み方は、実際に座って確かめられるとよい。

籐と革では座り心地が異なる。現物で分かる。

中古の流通

製造の時期によって仕様が異なる場合がある。年式を確かめる。

確認箇所は、籐の割れまたは革の乾燥、枠の仕上げと変形、床に接する部材、枠の表示である。

購入前チェックリスト

  • 片持ちの構造(座ると枠が撓む)
  • 座面の素材(籐は乾燥に弱い)
  • 型式の選択(肘掛けの有無で幅と奥行が異なる)
  • 肘掛けのある型では机の下に収まるか
  • 座面の高さ460mmと組み合わせる机
  • 後方に張り出す形状(置き場所を確かめる)
  • 枠の表示と署名
  • 床に接する部材の摩耗

よくある質問

価格はどのくらいですか?
ノルは公式サイトで製品情報を公開しています(2026年8月19日確認)。日本国内の価格は輸入代理店と取扱店により異なります。型式と座面の素材で価格が変わります。
どこで購入できますか?
ノルの公式サイトで製品情報を確認できます。日本国内の正規取扱については輸入代理店の案内をご確認ください。
座ると揺れますか?
後ろ脚を持たない片持ちの構造のため、座ると枠が撓みます。枠の材質と直径が座り心地と耐久を決めます。実際に座ってお確かめください。
座面はどう選べばよいですか?
手で編んだ籐と牛の革から選べます。籐は乾燥すると割れ編み直しになり、革は使用によって色と質感が変わり交換になります。手入れの条件も異なります。
籐の座面で気をつけることはありますか?
乾燥に弱く、湿度の低い環境では割れる場合があります。暖房の風が当たる場所は避けてください。手入れは柔らかい刷毛で編み目の埃を払います。
設置に必要な寸法を教えてください。
肘掛けのない型は幅490×奥行690mm、肘掛けのある型は幅530×奥行825mmで、座面の高さはいずれも460mmです。片持ちの構造のため後方に張り出します。
収蔵されている美術館はありますか?
ニューヨーク近代美術館が収蔵しています(MR アームチェア、1927年、収蔵番号20.1949)。メトロポリタン美術館とヴィクトリア・アンド・アルバート博物館も収蔵しています。
正規品かどうかはどう見分けますか?
枠に製造元の表示と設計者の署名が刻まれます。また片持ちの構造で荷重を支えるため、枠の材質と直径、継ぎ目の有無が強度と座り心地に関わります。仕様が公表されるかをご確認ください。