このページについて
モデル45チェア(FJ 4500)は、フィン・ユールが1945年に発表したラウンジチェアである。座面と背もたれをひとつの単位とし、それを木製フレームが下から支える構成をとる。2003年に復刻され、現在は House of Finn Juhl がデンマークで製造している。
このページでは、正規品の仕様と選べる素材、正規品とライセンスを受けていない製品との差、座り心地と設置に必要な寸法、手入れと張り替え、購入できる場所を扱う。設計の成り立ちについては紹介ページを参照されたい。
フィン・ユールの設計思想や経歴について詳しくはフィン・ユール プロフィールページをご覧ください。
モデル45チェアのデザインストーリーについて詳しくはモデル45チェア紹介ページをご覧ください。
正規品の基本情報:仕様・サイズ・素材
モデル45チェアの正規品は、House of Finn Juhl社がデンマークの工房において、熟練した職人による手作業の張り込みを含む厳格な品質管理のもとに製造している。木部の加工にはコンピュータ制御の工作機械を用い、張り込みは手作業による。以下に、購入検討時に把握すべき基本仕様をまとめる。
| 正式名称 | 45 Chair / モデル45チェア(No.45 / FJ4500) |
|---|---|
| オリジナル製造 | ニールス・ヴォッダー(Niels Vodder) |
| 現行メーカー | House of Finn Juhl(ハウス・オブ・フィンユール、旧Onecollection)/ デンマーク製 |
| フレーム素材 | オーク材またはウォールナット材の無垢材から選択可能。オリジナルはチーク材で製作された |
| 張り地 | ファブリックまたはレザー。デンマークにて手作業で張り込み。座面クッションは本体と同素材が標準仕様(コントラスト張り分けも可) |
| レザー選択肢 | Elegance(エレガンス)レザー、Vegetal(ヴェジタル)レザーほか各種カラー対応 |
| サイズ | 幅665mm × 奥行730mm × 高さ850mm / 座面高440mm(メーカー公表値) |
| 重量 | 約15kg |
| 参考価格帯 | メーカーは価格を公表していない(2026年8月19日確認)。正規取扱店への問い合わせによる。フレームの木種、張り地の種別とグレードで価格が変わり、輸入品のため為替の影響も受ける |
| 関連製品 | 45 Sofa(モデル45ソファ / 2人掛け)、46 Chair(モデル46チェア)、46 Sofa(モデル46ソファ) |
| スタッキング | 不可 |
| スウィベル機能 | なし |
正規品とライセンスを受けていない製品の違い
日本国内では、権利者のライセンスを受けていない同型の製品が流通している。両者の差のうち、公表されている情報から確認できるものを整理する。仕様が公表されていない項目については「公表なし」と記し、推測では埋めていない。
公表されている仕様
House of Finn Juhl は、フレームの樹種(オークまたはウォルナットの無垢材)、張り地の種別と品番、寸法、デンマークでの手張りによる製造を製品ページと製品シートで公表している。張り地は複数のテキスタイルとレザーから選べ、本体とクッションで別の素材を組み合わせることもできる。
ライセンスを受けていない製品では、これらの仕様が製造者ごとに異なり、樹種、張り地の素材、製造地のいずれも公表されていない場合が多い。比較の前提が揃わないため、同じ項目で並べられるのは公表の有無そのものになる。
保証・修理・部材の供給
正規品はメーカーの保証の対象となり、張り替えや修理を正規取扱店経由で依頼できる。同社は張り地の品番を公表しているため、後年に同じ生地で張り替えることもできる。
ライセンスを受けていない製品は、これらの対象にならない。張り替え自体は一般の張り工房で行えるが、当初と同じ生地を特定する手がかりがない。
| 比較項目 | 正規品(House of Finn Juhl) | ライセンスを受けていない製品 |
|---|---|---|
| フレームの樹種 | オークまたはウォルナットの無垢材(公表) | 公表なし(製造者により異なる) |
| 張り地 | テキスタイルまたはレザー。品番まで公表 | 公表なし |
| 製造地 | デンマーク。手作業による張り込み(公表) | 公表なし |
| 寸法 | 幅665×奥行730×高さ850mm/座面高440mm(公表) | 公表なし |
| メーカー保証 | 対象 | 対象外 |
| 張り替え・修理 | 正規取扱店経由で依頼できる | 対象外(一般の張り工房での対応は可能) |
| 張り地の再指定 | 品番が公表されているため同じ生地を選べる | 当初の生地を特定する手がかりがない |
類似商品・競合との比較
同じ北欧のラウンジチェアと並べると、寸法と支持の方式が異なる。置ける場所と座る姿勢が変わるため、そこから選び分けられる。
| 比較項目 | モデル45チェア | チーフテンチェア | CH25 イージーチェア |
|---|---|---|---|
| 座面と背もたれの支持 | ひと続きの単位をフレームが下から支える | フレームに座面と背をそれぞれ渡す | ペーパーコードを編んで面をつくる |
| 幅×奥行×高さ | 665×730×850mm | 1,000×900×935mm | 710×810×730mm |
| 座面高 | 440mm | 375mm | 370mm |
| 座る姿勢 | 座面が高く、上体を起こして座れる | 座面が低く、体を沈めて座る | 座面が低く、体を沈めて座る |
| 詰め物 | あり(テキスタイルまたはレザーで覆う) | あり(レザーで覆う) | 座面はなし(クッションを別に載せる) |
| メーカー公表価格 | 公表なし(正規取扱店へ問い合わせ) | 公表なし(正規取扱店へ問い合わせ) | 公表なし(正規取扱店へ問い合わせ) |
選び分けの目安
- 置ける面積が限られる場合
- モデル45チェアの幅は665mmで、三者のなかで最も小さい。チーフテンチェアは幅1,000mm、奥行900mmを要する。
- 座ったまま作業や食事をする場合
- 座面高440mmのモデル45チェアは、上体を起こした姿勢を保ちやすい。座面高370〜375mmの二者は体が沈むため、立ち座りの動作も大きくなる。
- 張り地を後から替える前提の場合
- 詰め物を張り地で覆う二者は張り替えができる。CH25は座面が編みのため、傷んだ場合は編み直しになる。
使用感と設置条件
座る姿勢
座面高は440mm。一般的なラウンジチェアが370mm前後であるのに対して高く、上体を起こした姿勢を保ちやすい。座面が低い椅子は体が沈むため立ち座りの動作が大きくなるが、この高さであれば負担が小さい。天板高700〜720mmのテーブルに合わせて使うこともできる。
座面と背もたれはひと続きの単位としてフレームに載る。フレームと座の間に隙間があるため、荷重がかかると単位全体がわずかに動く。座面を フレーム に直接固定した椅子では、この動きは生じない。
座幅は665mmで、ラウンジチェアとしては小さい部類にあたる。体格によっては狭く感じることがあるため、実物で確かめられるとよい。
設置に要する寸法
本体は幅665×奥行730mm。立ち座りのために前方へ600mm程度、背後を通る場合は後方に600mm程度の余裕を見ておく。壁に寄せて置く場合、背もたれがフレームから離れているため、壁との間に50mm程度の空きがあると背面の造形が見える。
肘掛けの高さは座面から上へ伸びる。テーブルに寄せて使う場合、天板の下端に肘掛けが当たらないかを確認する必要がある。
搬入経路
分解しない状態で納品される。最も大きい寸法は奥行730mmで、一般的な住宅の開口部(有効幅700mm前後)では斜めに傾けて通すことになる。玄関、廊下の曲がり角、階段の踊り場、エレベーターの間口と奥行を事前に測っておく。梱包された状態では各辺に数十mmが加わる。
経年変化とメンテナンス
木部フレームの経年変化
オーク材は使用とともに飴色へと深まり、木肌に落ち着いた光沢が増していく。ウォールナット材は濃い茶褐色からやや明るみを帯びた色調に変化し、木目のコントラストがより柔らかくなる傾向がある。いずれの木種においても、時間の経過とともに「育つ」楽しみを味わうことができ、これは天然無垢材を用いた正規品ならではの醍醐味である。
張り地の経年変化
レザー張り地の場合、使用に伴いセミアニリン仕上げの表面にパティナ(艶)が発達し、色味が深まりながら柔らかさを増していく。ファブリック張り地の場合は、適切なメンテナンスにより長期間にわたって良好な状態を維持することが可能である。正規品は張り替えにも対応しているため、将来的に張り地を更新することで、フレームの美しさを末永く楽しむことができる。張り替え後も資産価値が落ちにくい点も正規品の利点である。
日常メンテナンス
- 木部フレームの手入れ
- 日常的には柔らかい乾いた布で埃を拭き取る。汚れが気になる場合は、沸騰させて常温に冷ました水にソープフレークを少量加え、固く絞った布で拭く。頑固な汚れが残る場合は、240番以上の極細目サンドペーパーで木目方向に沿って軽くサンディングし、乾いた布で粉を除去する。
- レザー張り地の手入れ
- 柔らかい吸い口の掃除機か、乾いた柔らかい布で表面の埃を定期的に除去する。液体や油分がレザーに触れないよう注意し、シミが発生した場合は早期にプロフェッショナルクリーニングを依頼することを推奨する。
- ファブリック張り地の手入れ
- 週に1回程度、柔らかいブラシまたは掃除機の弱モードで表面の埃を除去する。汚れが蓄積する前のこまめな手入れが、長期的な美観維持の鍵となる。
専門メンテナンスと修理
張り地の張り替えはHouse of Finn Juhl社の正規サービスネットワークを通じて対応可能である。正規販売店に依頼すれば、木部のリフィニッシュ(再塗装)についても相談できる。耐用年数は半世紀以上とされており、適切なメンテナンスを施すことで世代を超えて受け継ぐことが可能な家具である。
どこで買うか
取扱店の調べ方
House of Finn Juhl は公式サイトに取扱店の検索ページを設けており、地域から最寄りの正規取扱店を探せる。同社は正規取扱店経由での販売をとっており、価格は公表していない。木種、張り地の種別とグレードで価格が変わるため、仕様を決めたうえで問い合わせることになる。輸入品のため為替の影響も受ける。
公式サイトでは、選べる木種と張り地の一覧、寸法、製品シートのPDFが公開されている。問い合わせの前に仕様を絞り込んでおくと、見積もりの前提が揃う。
実物を確認する
受注生産のため、常設展示は限られる。座面高が440mmと一般的なラウンジチェアより高く、座幅も665mmと小さいため、体格との相性は座ってみないと分からない。展示の有無を事前に取扱店へ確認するとよい。
張り地は光の下で色が変わる。複数の候補から選ぶ場合、生地の見本を取り寄せて設置場所で確かめられると判断しやすい。
中古の流通
ニールス・ヴォッダーが製作した当時のものと、2003年以降の復刻品が流通している。相場は年式と状態で幅があり、一定していない。
中古で選ぶ場合の確認箇所は、フレームの接合部の緩み、木部の割れや反り、張り地の傷みである。とくに肘掛けの先端は薄く削られているため、欠けや補修の跡が出やすい。復刻品であれば、張り替えを正規取扱店に依頼できる。
納期
受注生産のため、注文から納品まで数か月を要する。木種と張り地の在庫状況によって変わるため、取扱店に確認する。
購入前チェックリスト
- 木種の選択(オークまたはウォルナット)
- 張り地の種別・品番・グレード(本体とクッションを別素材にするかどうか)
- 設置場所の寸法(幅665×奥行730mm+立ち座りに前方600mm程度)
- テーブルに寄せる場合、天板の下端に肘掛けが当たらないか
- 搬入経路(最大寸法は奥行730mm。開口部・階段の踊り場・エレベーターの実測)
- 納期(受注生産のため数か月)
- 保証の適用範囲
- 床材との相性(脚裏の保護材の要否)
組み合わせ
同じシリーズには45ソファがあり、寸法体系と張り地の選択肢を共有する。同じフィン・ユールによるニューハウンデスクも、部材を細く保って下に空間を残す構成をとる。
座面高440mmは、天板高700〜720mmのテーブルに合わせられる。低いソファと並べると座面の高さが揃わないため、サイドテーブルの高さを座面に合わせると使いやすい。
よくある質問
- 正規品の価格はどのくらいですか?
- House of Finn Juhl は価格を公表しておらず、正規取扱店への問い合わせによります(2026年8月19日確認)。フレームの木種(オークまたはウォルナット)、張り地の種別とグレードで価格が変わり、輸入品のため為替の影響も受けます。仕様を決めたうえで見積もりを依頼することになります。
- どこで購入できますか?
- House of Finn Juhl の公式サイトに取扱店の検索ページがあり、地域から最寄りの正規取扱店を探せます。同社は正規取扱店経由での販売をとっています。
- 実物を確認できる場所はありますか?
- 受注生産のため常設展示は限られます。展示の有無は取扱店へ事前にご確認ください。座面高440mmは一般的なラウンジチェアより高く、座幅も665mmと小さいため、体格との相性は座って確かめられると判断しやすくなります。
- 納期はどのくらいですか?
- 受注生産のため、注文から納品まで数か月を要します。木種と張り地の在庫状況によって変わるため、取扱店にご確認ください。
- ライセンスを受けていない同型の製品とは何が違いますか?
- House of Finn Juhl は木種、張り地の品番、寸法、デンマークでの手張りによる製造を公表しています。ライセンスを受けていない製品はこれらの仕様が公表されていないことが多く、比較の前提が揃いません。また、メーカー保証や正規取扱店経由の張り替え・修理の対象にもなりません。
- 張り替えはできますか?
- できます。正規取扱店を通じて依頼します。同社は張り地の品番を公表しているため、当初と同じ生地を指定することも、別の生地に替えることもできます。
- 手入れはどうすればよいですか?
- 木部はオイル仕上げのため、乾いた布で拭き、年に一度程度オイルを塗り重ねます。直射日光やエアコンの風が直接当たる場所は、木部の乾燥と張り地の退色が進むため避けてください。レザーは専用のクリームで油分を補います。
- 他に検討すべき製品はありますか?
- 同じ設計者ではチーフテンチェアがありますが、幅1,000×奥行900mmと大きく、座面高も375mmと低くなります。座面が低い椅子は体が沈むため、座る姿勢が変わります。北欧の同時期のラウンジチェアとしては、座面を編んで構成するCH25イージーチェアも比較の対象になります。