サミ・ルオツァライネン
サミ・ルオツァライネン(Sami Ruotsalainen、1978年生まれ)は、ヘルシンキを拠点とするフィンランドの陶磁器・ガラスデザイナーである。日々の暮らしで使われる器や道具の造形を主な仕事とし、ミリ単位の精確な形状と、素材への繊細な感覚を併せ持つ設計で知られる。マリメッコの陶器「オイヴァ」やアラビアの「マク」など、簡潔で端正なテーブルウェアを手がけてきた。
バイオグラフィー
1978年、フィンランドに生まれる。2005年、ヘルシンキ芸術デザイン大学(現・アアルト大学)で陶磁とガラスの修士号を取得した。学生時代から日用品のデザインに関心を寄せ、2000年代初頭には岐阜県のレジデンス・プログラムに招かれて日本に滞在し、以後、日本の陶磁器メーカーなどとの協働を続けている。2001年からマリメッコの制作陣に加わり、当初はテキスタイルデザイナーのクリスティーナ・イソラのアシスタントを務め、のちに同社のデザインチームの一員となった。アラビア、イッタラ、マリメッコといったフィンランドの各ブランドで、陶磁器・ガラス・テキスタイルの分野にわたって仕事をしている。
デザインの思想とアプローチ
ルオツァライネンの関心は、暮らしの美学にある。毎日手にする器や道具を機能と佇まいの両面から解き、使い手にとって心地よい形へと導くことを設計の中心に据えている。その仕事は、強く明快な輪郭と、静かで簡潔なフォルムに特徴づけられる。着想はしばしば自宅の食卓での手描きスケッチから始まり、必要に応じてCADへと展開される。陶磁器とガラスの教育を受けながらテキスタイルや紙といった素材にも取り組み、工房の職人と組んだ小規模生産や一点物の制作も並行して手がけている。
主な作品
アラビアのために手がけた「マク(Maku=味)」は、料理をつくり家族や友人と食卓を囲む時間に寄り添うキッチン・テーブルウェアのシリーズで、計量カップやボウルなどが揃えられた。
「オイヴァ(Oiva=見事な)」は、2009年にマリメッコから発表された陶器のテーブルウェアである。ルオツァライネンは、単体でも成立し、かつマリメッコ特有のパターンと重ねても映える、簡潔で端正な器の形を担当した。絵柄はマイヤ・ロウカリをはじめとするマリメッコのパターンデザイナーが手がけ、発表時には「シイルトラプータルハ」「ラシィマット」といった図案が添えられた。器そのものの形を絵柄と切り離して設計するこの考え方は、その後のマリメッコの陶器づくりの土台となった。
2011年には、同じくマリメッコから「イン・グッド・カンパニー(In Good Company)」のテーブルウェアを発表している。
評価と影響
オイヴァは発表以来、マリメッコを代表する陶器シリーズのひとつとして定着し、季節ごとに新たな絵柄をのせながら版を重ねてきた。彼が形をつくったマリメッコのテーブルウェアは、フィンランド航空(フィンエアー)の機内でも用いられている。器の形を土台とし、そこに多彩な絵柄を組み合わせるという枠組みは、同ブランドの陶器コレクションを支える設計思想として受け継がれている。
| 年 | 区分 | 作品名 | ブランド |
|---|---|---|---|
| — | テーブルウェア | Maku | Arabia |
| 2009年 | テーブルウェア | Oiva | Marimekko |
| 2011年 | テーブルウェア | In Good Company | Marimekko |
Reference
- Sami Ruotsalainen – Spazio Nobile
- https://spazionobile.com/artists/ruotsalainen-sami/
- Sami Ruotsalainen – Finnish Design Shop
- https://www.finnishdesignshop.com/en-us/designer/sami-ruotsalainen
- Marimekko’s heritage – Marimekko.com
- https://www.marimekko.com/se_en/the-brand/marimekko-story
- Happy tenth birthday, Oiva! – Finnish Design Shop
- https://www.finnishdesignshop.com/design-stories/interview/marimekko-oiva-tableware-10-years