概要
マチュー・マテゴー(1910-2001)は、ハンガリー出身でフランスで活動した家具デザイナーである。穿孔した金属板を曲げて家具をつくる手法を用い、1950年代のフランスでこの構成を確立した。板に多数の孔を開けることで軽量化と通気を得つつ、曲げによって剛性を確保する。1959年以降は織物の制作へ移った。
バイオグラフィー
1910年4月4日、ハンガリーのタタバーニャに生まれた。ブダペストの美術学校で建築と絵画を学んでいる。
1930年代にヨーロッパ各地を移動したのち、1931年からフランスに滞在した。第二次世界大戦中は捕虜となり、収容所で金属加工の技術を得ている。
1945年にパリで工房を開いた。穿孔した金属板を用いた家具の制作を始め、1950年代を通じて多数の製品を残している。
1959年に家具の制作を終え、以後はタペストリーの制作へ移った。2001年に没している。
デザインの思想と方法
マテゴーが用いたのは、穿孔した金属板を曲げて家具にするという手法である。孔を開ければ材料は減って軽くなるが、剛性も落ちる。曲げて断面をつくることで、この不足を補う。
孔で軽量化と通気を得る
板に多数の孔を開けると、重量が減り、空気と光が通る。屋外や湿気のある場所でも使え、水も溜まらない。孔の径と配置で、材料の減り方と見た目の密度が決まる。
曲げて剛性を確保する
孔を開けた薄い板は、平らなままでは荷重に耐えない。縁を折り曲げるか、面を湾曲させることで断面ができ、剛性が出る。孔と曲げの組み合わせが構成の核にあたる。
金属線で骨組みをつくる
穿孔した面を支える骨組みには、細い金属線を用いる。線材のため軽く、面と同じく空間を塞がない。全体として、線と穿孔面という透過する要素だけで構成される。
色を塗装で与える
金属の表面は塗装で仕上げる。黒、白、原色など複数の色が用意され、同じ形で色だけが変わる。孔があるため、塗装した面と背後の空間が重なって見える。
代表作にみる方法
デダル 書架(1950年代)
穿孔した金属板の棚を、細い金属線の枠に載せた書架である。棚板の孔から背後が透け、壁面を塞がない。名称はギリシャ神話のダイダロスに由来する。→デダル シェルフ
ナガサキ チェア(1954年)
穿孔した金属板を曲げて座面と背をつくった椅子である。孔があるため軽く、屋外でも水が溜まらない。脚は細い金属線による。→ナガサキチェア
コペンハーグ(1950年代)
穿孔した金属板による収納と卓の系列である。同じ手法を別の用途に展開したものにあたる。
照明・什器
穿孔した金属板を用いた照明、傘立て、屑籠なども制作した。孔から光や中身が透ける構成をとる。
タペストリー(1959年〜)
1959年に家具の制作を終え、以後はタペストリーの制作へ移った。フランス国内の複数の工房で織られている。
評価と影響
マテゴーは一般に、1950年代のフランスで穿孔した金属板による家具を確立した制作者と評価されている。孔と曲げの組み合わせで軽量化と剛性を両立させる手法が特徴にあたる。
1945年から1959年までの14年間が家具の制作期にあたり、以後はタペストリーへ移った。制作期間が限られるため、当時の生産数も多くない。
1990年代以降に中古市場での評価が高まった。フランスの複数のメーカーが再生産を行っている。
収蔵
4館のAPI(MoMA、V&A、Met、AIC)で照合したが、該当する収蔵は確認できなかった。フランス国内の館については照合手段がない。
作品一覧
| 年 | 区分 | 作品名 | ブランド |
|---|---|---|---|
| 1950年代 | 書架 | デダル シェルフ | Gubi(再製作) |
| 1954年 | 椅子 | ナガサキチェア | Gubi(再製作) |
| 1950年代 | 収納・テーブル | コペンハーグ | Gubi(再製作) |
| 1950年代 | 照明・什器 | 照明、傘立て、屑籠 | Atelier Matégot |
| 1959年〜 | テキスタイル | タペストリー | — |
プロフィール
| 生没年 | 1910年4月4日〜2001年 |
|---|---|
| 出身地 | ハンガリー・タタバーニャ |
| 国籍 | ハンガリー(のちフランス) |
| 活動拠点 | パリ |
| 分野 | 家具、照明、テキスタイル |
| 主な協働ブランド | Gubi(再製作) |
Reference
- Mathieu Matégot | GUBI
- https://gubi.com/en/int/inspiration/designers/mathieu-mategot
- Musée des Arts Décoratifs, Paris
- https://madparis.fr/en