概要
マイヤ・イソラ(1927-2001)は、フィンランドのテキスタイルデザイナーである。1949年からマリメッコの前身にあたる会社で図案の設計を始め、以後38年間で500を超える図案を残した。1964年のウニッコは、花の形を単純な円の組み合わせに置き換えた図案で、同社を代表する製品となっている。
バイオグラフィー
1927年3月15日、フィンランドのリーヒマキに生まれた。ヘルシンキの中央工芸学校で絵画を学び、1949年に修了している。
在学中の1949年、印刷会社プリンテックス(のちマリメッコ)の図案の設計を始めた。同社は1951年にマリメッコとして再編されている。
1950年代から60年代にかけて、植物、幾何学、民芸の図柄など多様な系統の図案を発表した。1964年にウニッコを設計している。
1987年に同社を退いた。以後は絵画の制作を続け、2001年3月3日に没している。娘のクリスティナ・イソラも同社の図案を手がけた。
デザインの思想と方法
イソラが扱ったのは、布に印刷する図案である。捺染では版の数だけ色を重ねられるが、版が増えれば費用も上がる。少ない色数で、面としての強さをどう出すかが条件になる。
形を単純化して大きくする
ウニッコは、花を花弁と芯という2つの要素に還元し、布いっぱいに大きく配する。細部を描かないため版が単純になり、遠くからでも何の図柄か分かる。大きさそのものが図案の主題にあたる。
色の版を減らす
色数を絞ることで、版の数と印刷の工程が減る。少ない色でも、面積の配分と対比で強さが出る。工業の捺染という条件から来る制約である。
系統を切り替える
38年間で500を超える図案を残したが、様式は一つに固定されていない。植物、幾何学、抽象、民芸の図柄と、時期によって系統が変わる。同じ手法を繰り返さないという進め方をとる。
絵画から図案へ
絵画を学んだ経歴が前提にある。面と色の構成という問題は絵画と共通し、そこに版の数と繰り返しという条件が加わる形になる。
マリメッコの歴史や他の製品について詳しくはマリメッコ ブランドページをご覧ください。
代表作にみる方法
初期の図案(1950年代)
「シトラス」「ノルスト」など、1956年の図案がV&Aに収蔵されている。1957年の「ムスタランマス」、1959年の「カスパイッカ」はシカゴ美術館の収蔵にあたる。
ロッキ(1961年)
鴎の形を単純な線で表した図案である。輪郭だけで対象を示し、面を塗り分けない。シカゴ美術館が収蔵している(収蔵番号1980.140)。→マリメッコ ロッキ クッション
カイヴォ(1965年)
同心円状の波形を並べた図案である。幾何学の系統にあたり、植物を扱った図案とは別の方向をとる。シカゴ美術館が収蔵している(収蔵番号1970.107)。
ウニッコ(1964年)
花を花弁と芯という2つの要素に還元し、布いっぱいに大きく配した図案である。細部を描かないため版が単純になり、遠くからでも図柄が分かる。マリメッコを代表する製品となった。→マリメッコ ウニッコ クッション
1960年代後半の図案
「アルバトロッシ」「フサーリ」「ポケリ」(いずれも1967年)、「ラヴラヴラヴ」(1969年)など。シカゴ美術館が複数を収蔵している。
評価と影響
イソラは一般に、20世紀フィンランドのテキスタイルを代表する制作者と評価されている。38年間で500を超える図案を残し、様式を一つに固定しなかった点が挙げられる。
ウニッコは1964年の設計で、マリメッコを代表する図案として現在も生産が続いている。花を2つの要素に還元し、大きく配するという構成が、その持続を支えている。
娘のクリスティナ・イソラも同社の図案を手がけており、母の図案の色違いの版も制作している。
収蔵
4館のAPI(MoMA、V&A、Met、AIC)で照合したところ、計18件が確認できた。いずれもテキスタイルにあたる。
- V&A シトラス(1956年) 収蔵番号 CIRC.659-1956
- V&A ノルスト(1956年) 収蔵番号 CIRC.658-1956
- V&A プトキノトコ(1960年代) 収蔵番号 T.239-1990
- AIC ヒンメリ(1957年) 収蔵番号 1980.135
- AIC ムスタランマス(1957年) 収蔵番号 1980.137
- AIC カスパイッカ(1959年) 収蔵番号 1980.136
- AIC ロッキ(1961年) 収蔵番号 1980.140
- AIC アナナス(1963年) 収蔵番号 2009.210
- AIC カイヴォ(1965年) 収蔵番号 1970.107
- AIC アルバトロッシ(1967年) 収蔵番号 1980.138
- AIC フサーリ(1967年) 収蔵番号 1980.139
- AIC ポケリ(1967年) 収蔵番号 2009.211
- AIC ラヴラヴラヴ(1969年) 収蔵番号 1980.132
MoMA、Met では該当する収蔵は確認できなかった。フィンランド国内の館については照合手段がない。
作品一覧
| 発表年 | 区分 | 作品名 | ブランド |
|---|---|---|---|
| 1956年 | テキスタイル | シトラス、ノルスト | Marimekko |
| 1957年 | テキスタイル | ヒンメリ、ムスタランマス | Marimekko |
| 1961年 | テキスタイル | マリメッコ ロッキ クッション | Marimekko |
| 1964年 | テキスタイル | マリメッコ ウニッコ クッション | Marimekko |
| 1965年 | テキスタイル | カイヴォ | Marimekko |
| 1967年 | テキスタイル | アルバトロッシ、フサーリ、ポケリ | Marimekko |
| 1969年 | テキスタイル | ラヴラヴラヴ | Marimekko |
| 1949-1987年 | テキスタイル | 500を超える図案 | Marimekko |
| 1987年〜 | 絵画 | 絵画の制作 | — |
プロフィール
| 生没年 | 1927年3月15日〜2001年3月3日 |
|---|---|
| 出身地 | フィンランド・リーヒマキ |
| 国籍 | フィンランド |
| 活動拠点 | ヘルシンキ |
| 分野 | テキスタイル、絵画 |
| 主な協働ブランド | Marimekko |
Reference
- Marimekko
- https://www.marimekko.com/
- Designmuseo Helsinki
- https://www.designmuseum.fi/en/
- The Art Institute of Chicago Collection
- https://www.artic.edu/collection
- Victoria and Albert Museum Collections
- https://collections.vam.ac.uk/