概要

deepdesign(ディープデザイン)は、イタリア・ミラノを拠点とするデザインスタジオである。マッテオ・バッツィカルーポとラファエッラ・マンジャロッティが1995年に設立した。家電、日用品、包装、店舗の内装まで幅広く手がけ、なかでもSMEGの小型家電シリーズ「50's Style」の設計で知られる。二人はミラノ工科大学で建築を修めた後、同大学で教鞭も執っている。

バイオグラフィー

マッテオ・バッツィカルーポは1966年、ラファエッラ・マンジャロッティは1965年にイタリアで生まれた。二人ともミラノ工科大学の建築課程を修了している。

マンジャロッティは、マルコ・ザヌーゾとフランチェスコ・トラブッコのもとでの仕事から経歴を始めた。ザヌーゾは工業製品の設計を建築の延長として扱った世代にあたり、量産を前提に形を決める手順はこの時期に身につけたものとされる。

1995年、二人はミラノで deepdesign を設立した。家電、食品、衛生用品、包装など、いわゆる家具の外側にある領域からの依頼が多く、扱う対象は椅子や照明に限られない。両名はミラノ工科大学のほか複数の教育機関で教えており、実務と教育を並行させている。

スタジオは設立以降120件を超える製品を手がけ、45件の特許を取得している。2008年にはダンデライオン ランプがニューヨーク近代美術館の収蔵候補として取り上げられた。マンジャロッティは2017年から2024年まで、イタリア政府によるイタリアデザインの広報を担う役職を務めている。

デザインの思想と方法

二人の仕事に共通するのは、製品の外形を決める前に、それが使われる場面の動作を観察するという手順である。器具をどう持ち、どちらの手で支え、どの向きに力を加えるのか。その観察から必要な条件を洗い出し、形はその後で決まる。

2007年の試作にあたるヘアドライヤーは、この手順がそのまま形に出た例である。美容師が腕を動かす軌跡を調べたうえで、送風口を本体の下面に組み込んだ。吹き出し口が下にあれば、腕を水平に保ったまま持てる。通常のドライヤーが先端から風を出すのは、送風機の軸をそのまま延ばす構造上の都合によるもので、使う側の姿勢から決まった配置ではない。

もうひとつの特徴は、古い形式を引用するときの扱いにある。過去の意匠をそのまま写すのではなく、当時の製法では成立しなかった部分を現在の技術で置き換える。SMEGの一連の小型家電では、1950年代の家電に見られた丸みのある輪郭を採りながら、内部には現行の加熱機構や制御を収めている。外形は引用であっても、中身は同時代の製品として設計される。

スタジオは色と素材の組み合わせを独立した検討対象として扱う。同じ形状に対して複数の配色を用意し、置かれる場所に応じて選べるようにする方針は、SMEGの製品群に共通している。形を変えずに選択肢を増やせるため、金型を作り直さずに展開できる。

代表作にみる方法

50's Style シリーズ(2014年〜、SMEG)

トースター、ケトル、ブレンダー、エスプレッソマシンなど、SMEGの小型家電を束ねるシリーズである。1950年代の家電に見られた丸みのある輪郭と、クロームの部材、多数の色による展開を共通の要素とする。

この構成が成立するのは、シリーズ全体で同じ造形の規則を共有しているからである。角を丸め、操作部を金属の部材でまとめ、本体を単色で塗る。個々の製品の機能は異なるが、並べたときに同じ系統として読める。台所に複数の家電を置く場面を前提とした設計にあたる。

SMEG 50's Style トースターでは、パンを入れる開口と操作レバーが本体の前面と上面に分かれて配される。SMEG ECF02 エスプレッソマシンも同じ規則のもとにあり、加熱機構を刷新しながら外形の系統は保たれている。

SMEG ミラノ ショールーム(内装)

ミラノ・ブレラ地区に開いたSMEGの店舗の内装を、二人が手がけた。トラバーチンの中央部材、オークの縦材による壁面、垂直の緑化面で構成される。

三層にわたる床の関係を見通せるように、内部の構造を隠さず残す構成をとった。製品の設計と同じく、既存の条件を覆い隠すのではなく、そのまま扱う方針が採られている。この店舗は以降の各国の店舗の指針とされた。

調理器具コレクション(2019年、SMEG)

SMEGにとって最初の調理器具のシリーズである。フライパン、鍋、ウォックなど8種で構成され、直径の異なる複数の寸法が用意された。

加熱する器具であるため、小型家電とは条件が異なる。取っ手は熱源から離れた位置に置かれ、本体の色は食卓へそのまま出せる色調が選ばれている。調理から配膳までを一つの器具でまかなう前提が、形と色の両方を規定している。

評価と影響

SMEGの小型家電シリーズは、家電の外形を選択の対象として扱う流れを広げた製品群として受け止められている。それまで台所の小型家電は白か銀の単色が中心で、置く場所に合わせて色を選ぶという発想は限られていた。同シリーズ以降、複数の色を標準で用意する家電が増えている。

スタジオは設立から30年にわたり、家具ではなく家電と日用品を主戦場としてきた。イタリアのデザインが椅子と照明を通して語られることが多いなかで、量産される日用品の側から継続的に発表を続けている点に特徴がある。

受賞

  • グッドデザイン賞(The Chicago Athenaeum)2020年 — SMEG 調理器具3点
  • グッドデザイン賞(The Chicago Athenaeum)2022年 — SMEG PBF01 パーソナルブレンダー

作品一覧

発表年 区分 作品名 ブランド
2005年 家電 フレキシカ(電気ほうき) Imetec
2014年 家電 50's Style トースター SMEG
2019年 調理器具 コックウェア コレクション SMEG
2020年 家電 A Modo Mio Lavazza コーヒーマシン SMEG/Lavazza
2022年 家電 PBF01 パーソナルブレンダー SMEG
2024年 家電 ECF02 エスプレッソマシン SMEG

プロフィール

設立 1995年
設立者 マッテオ・バッツィカルーポ(1966年生まれ)、ラファエッラ・マンジャロッティ(1965年生まれ)
出身 イタリア
活動拠点 イタリア・ミラノ
分野 家電、調理器具、日用品、包装、店舗内装
主な協働ブランド SMEG、Lavazza、Imetec、Giorgetti、Guzzini、Mandarina Duck

Reference

deepdesign(公式)
https://www.deepdesign.it/
Interview with Deepdesign, Matteo Bazzicalupo and Raffaella Mangiarotti(Domus)
https://www.domusweb.it/en/design/2010/01/20/interview-with-deepdesign-matteo-bazzicalupo-and-raffaella-mangiarotti.html
Raffaella Mangiarotti(De Padova)
https://www.depadova.com/designer/raffaella-mangiarotti/
Smeg Milan Showroom(deepdesign)
https://www.deepdesign.it/en/smeg-milan-showroom/