アスコ(ASKO)

アスコは、北欧スカンジナビアの精神を体現するプレミアム家電ブランドです。 1918年にフィンランドで家具メーカーとして創業し、1950年にスウェーデンで家電製品の製造を開始して以来、 洗濯機、食器洗い機、オーブン、冷蔵庫など、キッチンとランドリーに関わるあらゆる製品において、 卓越した品質と革新的な技術、そして時代を超越するデザインを追求し続けてきました。 「Inspired by Scandinavia(スカンジナビアにインスパイアされて)」をブランドタグラインに掲げ、 機能主義とミニマリズムを融合させた製品は、世界50カ国以上で愛用されています。

アスコの製品は、20年間の使用を想定した耐久性と、環境負荷を最小限に抑える省エネ性能を両立させています。 Red Dot Award、iF Design Awardをはじめとする数々の国際的なデザイン賞を受賞し、 プレミアム家電の分野において確固たる地位を築いています。

ブランドの特徴・コンセプト

アスコのブランド哲学は、スカンジナビアの価値観に深く根ざしています。 健康的な暮らし、公正さ、人への思いやり、機能的かつミニマルなデザイン、 卓越した職人技、そして環境への責任という理念が、すべての製品開発の基盤となっています。

製品設計においては、「日常の機能主義」「環境への配慮」「心地よいクリーンなライン」という スカンジナビアンデザインの三原則を忠実に守り、人々の生活の質を高める製品づくりを実践しています。 マットステンレススチール仕上げや控えめなガラス要素を特徴とする外観は、 視覚的な静謐さを醸し出し、現代のキッチン空間に自然に溶け込むよう設計されています。

スカンジナビアの二つの伝統の融合

アスコの独自性は、フィンランドの家具デザインの伝統とスウェーデンの精密機械工学という、 二つの卓越した北欧の伝統が融合している点にあります。 1918年に始まったフィンランドの家具製造は、イルマリ・タピオヴァーラやエーロ・アールニオといった 著名デザイナーとの協働を通じて、フィンランドモダニズムの形成に貢献しました。 一方、1950年にスウェーデンで誕生した家電部門は、堅牢な構造と革新的な技術を追求してきました。 1988年にこの両者が統合されたことで、技術的信頼性と洗練された美学を兼ね備えた、 唯一無二のブランドアイデンティティが確立されました。

環境への取り組み

スウェーデンの豊かな自然環境に隣接して発展してきたアスコにとって、 環境保全は創業当初からの使命です。 1999年以来、ISO14001環境マネジメントシステムの認証を取得し、 製造から使用、廃棄に至るすべての段階で環境負荷の低減に努めています。 さらに、欧州で最も信頼性の高い環境マネジメント認証であるEMAS認証を取得し、 50グラム以上のすべての部品にリサイクル用のラベルを付与しています。 また、Hisense Europeグループの一員として、サステナビリティ評価のグローバルスタンダードである EcoVadisのプラチナメダルを獲得しており、これは世界上位1%の企業にのみ与えられる最高位の評価です。

ブランドヒストリー

アスコの歴史は、1918年にフィンランド・ラハティで始まりました。 家具職人アウクスティ・アスコ=アヴォニウスが設立した「ラハティ木工工場」は、 当時としては画期的な量産体制と直営店舗網の構築により、急速に成長を遂げました。 1930年代にはフィンランド国外への販売網を拡大し、ミニマルなデザインの家具で国際的な評価を獲得しています。

家電事業の起源は1950年、スウェーデン・ヴァーラに遡ります。 農家の青年カール=エリク・アンデルソンが、重労働に追われる母親のために洗濯機を発明したことが始まりでした。 息子が母を思う心から生まれたこの一台の洗濯機が、アスコ家電の原点となりました。 この「人々の暮らしをより良くしたい」という創業の精神は、今日に至るまでブランドのDNAとして受け継がれています。

主要な歴史的転換点

1918年
アウクスティ・アスコ=アヴォニウスがフィンランド・ラハティにてアスコ家具グループを創業
1950年
カール=エリク・アンデルソンがスウェーデン・ヴァーラにて最初の洗濯機を製造。Junga Verkstäder社設立
1952年
フィンランド初の家電製品として冷蔵庫を製造
1965年
全自動フロントローディング洗濯機およびコンパクト食器洗い機を発売
1966年
エーロ・アールニオデザインのボールチェアをケルン国際家具見本市で発表、世界的センセーションを巻き起こす
1967年
家電製品の輸出を開始
1978年
スウェーデンの電機メーカーASEAが家電部門を買収
1984年
革新的なクワトロ・コンストラクション™およびスチールシール™技術を搭載した洗濯機を発売
1988年
フィンランドの家具部門とスウェーデンの家電部門が統合。スーパークリーニングシステム™を食器洗い機に導入
1992年
世界初の家庭用周波数変換ブラシレスモーター搭載洗濯機を発表
2000年
イタリアのアントニオ・メルローニ・グループが買収
2010年
スロベニアのゴレニエ・グループが買収
2017年
プロホームランドリー・コンセプトがRed Dot Award Best of the Bestを受賞
2018年
中国のハイセンスがゴレニエ・グループの株式95%を取得
2021年
Celsius°Cooking™インダクションホブおよびスマートクックウェアシステムがiF Design Awardを受賞
2025年
創業75周年を記念し、ミラノデザインウィークにてScandiavian Laundry Care 2.0、Nordic Fresh 2.0、NYACRAFTオーブンを発表

主なプロダクトとその特徴

ランドリー製品

ランドリー製品はアスコの原点であり、今日においても同社の中核をなす分野です。 1984年に開発されたクワトロ・コンストラクション™は、 従来の洗濯機で使用されていたバネを排し、4つのショックアブソーバーを採用することで、 高速回転時においても優れた安定性を実現する革新的な技術です。 この堅牢な構造は、鋳鉄製洗濯機の設計思想を現代に継承したものであり、 20年間の使用に耐えうる耐久性を誇ります。

スチールシール™技術は、ドラム開口部にゴム製ベローズを使用せず、 ステンレススチール製のシールを採用することで、微生物の繁殖を95%削減し、 衛生的な洗濯環境を実現しています。 また、バタフライドライングシステム™を搭載した乾燥機は、 ドラムの回転方向を交互に変えることで衣類の絡まりを防ぎ、 均一で優しい乾燥を可能にしています。

食器洗い機

アスコの食器洗い機は、「他のどの食器洗い機よりも多くのスチールが見える」ことを誇りとしています。 ステンレススチールを主材料とした内部構造は、12,500時間(家庭での20年間の使用に相当)の 耐久テストを経ており、その堅牢性は業界随一です。 スーパークリーニングシステム™は、メインサイクルの前にフィルターを徹底的に洗浄し、 常に清潔な水で食器を洗うことを可能にしています。

ターボコンビドライ™技術は、ファンによる送風とドアの自動開放を組み合わせることで、 プラスチック製品やガラス製品においても完璧な乾燥を実現します。 XXLモデルは17人分の食器を収容可能で、9つの独立したスプレーゾーンにより、 隅々まで行き渡る洗浄を実現しています。

Celsius°Cooking™システム

Celsius°Cooking™は、アスコが開発した革新的なスマートクッキングシステムです。 インダクションホブ、専用調理器具(フライパン、シェフズポット)、温度プローブが Bluetooth経由で相互に通信し、精密な温度制御を可能にします。 スウェーデンの科学者アンデルス・セルシウスの名を冠したこのシステムは、 温度管理を技術的課題であると同時に文化的遺産として位置づけています。

調理器具に内蔵された温度センサーとモーションセンサーにより、 食材の内部温度をリアルタイムで監視し、ホブのディスプレイに即座に表示します。 専用のCelsius°Cookingウェブサイトでは、ステップバイステップのガイド付きレシピが 動画形式で提供されており、プロフェッショナルレベルの調理を家庭で再現することができます。 2021年にはiF Design Awardを受賞し、その革新性が高く評価されています。

Elevate™フードインホブ

Elevate™は、インダクションホブと換気システムを一体化した革新的な製品です。 壁面や天井から換気扇を取り除くことで、キッチンに開放的な視界をもたらし、 調理空間の可能性を大きく広げます。 自動抽出タワーは、ホブの使用状況を読み取り、 調理に最適な換気性能を自動的に調整します。 2022年にiF Design Awardを受賞した本製品は、 革新的な技術とユーザーフレンドリーなデザインの融合を体現しています。

家具デザインの遺産

アスコの家具部門は、20世紀のフィンランドモダニズムを形成する上で重要な役割を果たしました。 第二次世界大戦後、オッリ・ボルグをチーフデザイナーに迎えたアスコは、 フィンランドを代表するデザイナーたちとの協働を通じて、数々の名作を世に送り出しました。

ボールチェア(1966年)

エーロ・アールニオがデザインしたボールチェアは、アスコの家具部門が残した最も象徴的な作品です。 1963年に構想され、1966年のケルン国際家具見本市でデビューしたこの椅子は、 ファイバーグラス製の球体シェルという革新的な形状で世界を驚かせました。 「偉大なものがアスコから」というスローガンとともに展示された6脚のボールチェアは、 わずか一週間で30カ国からの受注を獲得し、アールニオの国際的な名声を確立しました。

「部屋の中の部屋」とも称されるこの椅子は、着座者を周囲の環境から切り離し、 プライベートな空間を創出します。 フィンランドデザインの最も有名なクラシックの一つとして、 世界中のデザインミュージアムのコレクションに収蔵されているほか、 映画やミュージックビデオ、雑誌の表紙を数多く飾ってきました。 2025年のミラノデザインウィークでは、アスコ創業75周年を記念し、 エーロ・アールニオ・オリジナルズとの協業により、ボールチェアの展示が実現しました。

その他の著名なデザイナーとの協働

アスコは、イルマリ・タピオヴァーラ、マイヤ・ヘイキンヘイモ、タピオ・ヴィルッカラ、 イルマリ・ラッパライネン、ステファン・リンドフォルスなど、 フィンランドを代表するデザイナーたちと協働してきました。 タピオヴァーラによるファネットチェア(1955年)やマドモアゼルロッキングチェア、 ヴィルッカラによる特徴的な葉模様のコーヒーテーブル(1958年)、 ラッパライネンによるプルッカラウンジ(1963年)やライラチェア(1948年)など、 現在もコレクターズアイテムとして高い評価を受けている作品が数多くあります。

受賞歴

アスコは、1950年の創業以来、デザイン、機能性、革新性において数々の国際的な賞を受賞してきました。 以下は主な受賞歴の一部です。

  • 2025年:iF Design Award - Celsius Craft Frameオーブン、Style Seriesランドリー、ビルトイン冷蔵庫Series 5
  • 2024年・2025年:Red Dot Award - Scandinavian Laundry Care 2.0、Celsius NYACRAFTオーブン
  • 2022年:iF Design Award - DW60食器洗い機、Elevate™インダクションホブ
  • 2021年:iF Gold Award - Elementsワインクライメートキャビネット
  • 2021年:iF Design Award - Celsius°Cooking™インダクションホブおよびスマートクックウェアシステム
  • 2019年:Red Dot Award - T600HX乾燥機
  • 2019年:Good Design Award - Elementsオーブン
  • 2018年:Red Dot Award - Elements コーヒーマシン CM8478G、ビルトイン冷蔵庫・冷凍庫
  • 2018年:European Product Design Award - ランドリーケアシステム、食器洗い機DBI1654IG
  • 2017年:Red Dot Award Best of the Best - プロホームランドリー・コンセプト(洗濯機W4086C、乾燥機T408HD)

基本情報

創業 1918年(家具部門:フィンランド・ラハティ)/ 1950年(家電部門:スウェーデン・ヴァーラ)
創業者 アウクスティ・アスコ=アヴォニウス(家具)/ カール=エリク・アンデルソン(家電)
本社所在地 スウェーデン・リドショーピング(経営・開発拠点)
製造拠点 スロベニア・ヴェレニエ
親会社 Hisense Europe(ゴレニエ・グループ)
展開地域 世界50カ国以上
主要製品 洗濯機、乾燥機、食器洗い機、オーブン、インダクションホブ、レンジフード、冷蔵庫、ワインクライメートキャビネット
ブランドタグライン Inspired by Scandinavia
環境認証 ISO14001、EMAS、EcoVadis プラチナメダル
公式サイト https://global.asko.com/