ユルヨ・クッカプーロ:エルゴノミクスと芸術性の融合
バイオグラフィー
1933年4月6日、フィンランド・ヴィーボルグ(現ロシア領ヴィボルグ)生まれ。建築家・画家であった父と、仕立師であった母のもとで育ち、幼少期から父とともに船や自転車を作り、母から裁縫を学ぶという創造的な環境で成長した。この実践的な技能の習得が、後に彼をヘルシンキの美術学校で唯一プロトタイプを制作できる学生へと育てることとなる。
1951年から1952年にかけてイマトラ・ドラフト・スクールで美術を学び、1955年から1958年にかけてヘルシンキ産業美術学校(現アアルト大学芸術デザイン建築学部)でインテリア建築を専攻、1958年にインテリアアーキテクトとして資格を取得した。学生時代にグラフィックアーティストのイルメリ・サルミネンと出会い、1954年に結婚。1956年に正式に入籍し、以後52年間、ともに創造活動を続けるパートナーとなった。
1959年、スタジオ・クッカプーロを設立。卒業後すぐに「モデルノ」と名付けた工房を立ち上げ、典型的な北欧スタイルのソファ、ベッド、家具シリーズの制作を開始した。建築家からの委託を受けてヘルシンキの新しい靴店のために椅子とフットスツールをデザインしたことが、後に彼の出世作となるモデルノ・シリーズへと発展していく。
1960年のミラノ・トリエンナーレのフィンランド館での出展は、彼のキャリアにおける重要な転機となった。キュレーターのアンティ・ヌルメスニエミの招待により参加したこの展覧会と、その後の旅行奨学金、ミランでの滞在期間が、クッカプーロを広い世界へと開いた。ハイミ社との新たな協働により、1964年に彼の最も有名で永続的なデザインであるアトリエ・シリーズとカルーセリチェアが誕生する。
1960年代から1973年まで続いた「プラスチック期」では、ポップアートの色彩を取り入れた鮮やかなファイバーグラス家具を制作。1968年にはエンジニアのエーロ・パロヘイモとの協働により、カウニアイネンに波打つコンクリート屋根を持つ自宅兼スタジオを設計・建設した。この建物は2026年に美術館として開館予定である。
1973年のオイルショックを契機に、環境に配慮した思考へと転換し、30年にわたる成形合板家具の時代が始まる。1970年代から1980年代にかけて産業美術学校(後のヘルシンキ芸術デザイン大学、現アアルト大学)で教授として教鞭を執り、1978年から1980年までの2年間は学長を務めた。また、中国の江南大学(無錫)や南京大学など複数の大学で名誉教授の称号を授与され、ヘルシンキ芸術デザイン大学からは名誉博士号を授与された。
1978年、新しい製造会社アヴァルテの主要株主兼チーフ・クリエイティブ・ディレクターとなる。1980年代から1990年代にかけて、プラーノ、フュシオ、シルクス、フンクトゥスなどのオフィスチェアシリーズをデザインし、世界中の銀行、空港、講堂で採用された。1982年にデザインされたエクスペリメント・チェアは、機能主義に芸術性を加えた革新的なポストモダン家具として高く評価され、2021年にヘム社により復刻された。
1990年代には廃材利用の観点からハンノキやナナカマド、後にはカバ材など地元の木材産業の廃材を活用したアルヌス・コレクションなどを制作し、エコロジカルな思考をデザイン哲学の永続的な要素とした。また、ギャラリーという新たなプラットフォームを通じて、ホッケースティックから作られたタイタンや、スクリーンプリントアートを施したタトゥーなど、遊び心のある一点ものの作品を探求した。
1998年に初めて中国を訪れ、以後、複数の大学で教鞭を執り、現地の職人とともにデザイン・制作を行うなど、長期的な関係を築いた。アヴァルテは中国市場向けの工場も設立している。2000年代にはCNC加工技術を駆使した絵画的な芸術シリーズを制作するなど、90歳を超えても精力的に創作活動を続けた。
妻イルメリは2022年に逝去。クッカプーロ自身は、2025年2月8日、ヘルシンキ郊外カウニアイネンの自宅で91歳で逝去した。娘イサ・クッカプーロ=エンボムの証言によれば、彼は亡くなる1週間前まで新しい椅子のデザインについてアシスタントと議論しており、設計図はほぼ完成していたが、最終的な図面を引く時間はなかったという。
デザイン思想とアプローチ
クッカプーロのデザイン哲学の中核を成すのは、**エルゴノミクス(人間工学)、エステティクス(美学)、エコロジー(生態学)**という「3つのE」である。彼の最も有名な格言「座り心地の悪い椅子をデザインすることに何の意味があるだろうか?」は、この人間工学への深い愛情を完璧に表現している。
学生時代、オッリ・ボルグによる椅子の生理学に関する講義を受け、形態が血液循環、負担、姿勢に与える影響を学んだことが、彼のエルゴノミックな実践の精神的支柱となった。彼にとって家具制作は生理学的かつ科学的な次元を持つものであり、この観点は以後彼が手がけたすべての作品に組み込まれている。姿勢、快適性、人体への執念は、一つの椅子を完成させるまでに数年を要することも厭わないほどであった。
カルーセリチェアの制作過程は、この姿勢へのこだわりを象徴的に示している。クッカプーロは自身の身体を針金で包み、くつろいだ姿勢でのプラスター型を取り、その形に満足するまで複数の合板バージョンで試作を重ね、最終的にガラス繊維でプロトタイプを制作した。4年間の実験の結果生まれたこの椅子は、1964年に生産開始されると即座に成功を収めた。故テレンス・コンランは「これまで座った中で最も快適な椅子」と評している。
クッカプーロの作品は、機能主義へのコミットメントによって定義されているが、効率性、人間工学、構造への献身と並行して、彼は家具デザインに表現と芸術性をもたらした。素材性や構造プロセスが提供する異なる視覚言語を大胆に受け入れ、詩的であると同時に深遠なデザインを生み出している。
彼の実験的な形態処理のアプローチは、ファイバーグラス、フォームラバー、ポリウレタンといった多様な素材への尊重と組み合わされている。また、素材の本来持つ特性、人間工学的価値、生態学的価値への敬意を特徴としている。彼がデザインする家具は、修理可能で、更新可能であり、世代を超えて使用できることを理念としていた。
建築に触発された構造デザインと、別々の構成要素からなるモジュール的思考が彼の作品の基盤であった。1960年代初頭のアトリエ・コレクション以降、このシリアルでコンポーネント・ベースの思考が彼の制作を支配し続けた。クッカプーロの長いキャリアは、芸術的ビジョン、機能性、人間工学の例外的な組み合わせであった。
時代の変化と技術革新に対する開かれた姿勢も、彼の重要な特徴である。1950年代のフィンランドデザインの黄金期に資格を取得し、1960年代のプラスチック革命、1980年代のポストモダンの反乱、1990年代のCNC切断技術の台頭を目撃し、そのすべてを受け入れた。1990年代には生産拠点を中国に移し、2000年代以降はデジタル革命とグローバリゼーションの恩恵を享受して中国で名声を得た。新しい10年ごとに彼の評価はさらに高まり、モダンデザインの巨匠としての遺産が確固たるものとなっていった。
作品の特徴
クッカプーロの作品は、時代ごとに明確な特徴を持ちながらも、一貫して人間工学と美学のバランスを追求している。
形態的特徴
彼の椅子は、人体を包み込むような彫刻的で有機的な形状を特徴とする。カルーセリチェアの流れるような曲線、サトゥルヌスチェアのモダニスティックなファイバーグラス製シェル、エクスペリメント・チェアの波打つカラフルなアームレストなど、形態そのものが機能と美を統合している。特に、身体の姿勢に合わせて設計された座面と背もたれの角度は、長時間の使用でも疲労を感じさせない設計となっている。
素材の革新
クッカプーロのキャリアは、素材の革新の歴史でもある。1960年代から1973年までの「プラスチック期」では、ファイバーグラスを用いた宇宙時代的なデザインで1960年代の先駆的精神を完璧に体現した。1973年のオイルショック後は、管状スチールと合板という入手しやすい素材に移行し、合板の成形技術の革新により、著名なフュシオチェアを含む新たな椅子のカタログを生み出した。1990年代には、ハンノキやナナカマド、後にはカバ材など、地元の木材産業からの廃材を活用し、環境的視点から生産を考えるエコロジカル思考を確立した。
色彩とディテール
1960年代のプラスチック期には、ポップアート的な鮮やかな色彩を大胆に採用し、スペースエイジの楽観主義を表現した。1970年代の公共空間向けデザインでは、ミニマルな美学と抑制された色彩パレットを用いて「必要のためのデザイン」への真摯な姿勢を反映した。1980年代のエクスペリメント・コレクションでは、モンドリアン的な原色を用いたカバ合板とスチールの椅子、テーブル、ソファを制作し、「装飾的機能主義」の探求として1970年代の機能的なワークスペーストレンドからの喜ばしい脱却を歓迎した。
生産効率と普遍性
彼の多くの椅子は、日常的な使用を意図的に想定しており、待合室、ロビー、図書館、オフィスなど公共空間での利用を前提として設計されている。モジュール式の構造設計により、効率的な生産と長期的な使用、修理可能性を実現している。「ほぼすべてのフィンランド人が彼のデザインした椅子に座ったことがある――地下鉄駅、銀行、学校、図書館で」という言葉が示すように、彼の作品は普遍的で親しみやすいものでありながら、革新的なデザインを保持している。
主な代表作とその特徴
カルーセリチェア(1964年)
クッカプーロの最も有名な作品であり、おそらく彼を国際的に認知されたデザイナーへと押し上げた椅子。1965年のケルン家具見本市で発表されると即座に成功を収め、世界中の30の業界誌で特集された。当時28歳だったクッカプーロは、「カルーセリをデザインする際、外観については考えず、座り心地と人間工学だけを考えていたので、すべての注目に正直困惑した」と後に語っている。
全身をサポートする椅子を設計するという数年にわたる探求の結果として生まれたカルーセリは、深い座面で身体を包み込むことでこれを実現している。回転機能を持つファイバーグラスのシェルと革張りのクッションの組み合わせにより、使用者は自由に角度を調整しながら究極のリラクゼーションを得ることができる。
1966年にはジオ・ポンティが『ドムス』誌の表紙に採用し、1974年にニューヨーク・タイムズ紙が「世界で最も快適な椅子」と評価した。現在もアルテック社により生産されており、ニューヨーク近代美術館、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館、ヴィトラ・デザイン・ミュージアムなど世界の主要デザイン美術館の永久コレクションに収蔵されている。
アトリエ・シリーズ(1963-1964年)
ハイミ社の製造業者グンナル・ハイミに奨励されたゆるやかなアイデアから生まれた。枕を詰めた木箱を見て着想を得たクッカプーロは、シンプルなパネル構造のフレームに柔らかな張り地を取り付けたモジュール式シーティングシステムを考案した。下部構造は戦後フィンランドで遍在していたヘテカ製の金属ベッドに着想を得ている。
このタイムレスでカジュアルでエレガントなシリーズは、現在も生産が続いており、ヘルシンキのカイサ図書館をはじめフィンランド各地の公共空間で使用されている。シンプルながら洗練された構造は、快適さと耐久性を両立させた傑作として評価されている。
エクスペリメント・チェア(1982年)
1984年に初めて発表された際には真に前衛的だったこのデザインは、クッカプーロの方向性における明確な転換点であり、より広い世界の楽観的なポストモダンの未来への転換をも示していた。鮮やかな色彩の装飾的で波打つアームレスト、張り地の背もたれと座面、そしてフレームは地面に対して平らであるにもかかわらず座面が傾いているという特徴的なデザインを持つ。
「エクスペリメント・チェアにおいて、クッカプーロは機能主義に芸術性を加え、本質的なニーズを満たすと同時にロマンティックな嗜好も満足させようとした」と評され、その結果は「驚異的で、本物で、20世紀デザインの英雄」である。1990年代に一旦生産終了となったが、2021年にヨーロッパの家具デザインブランドであるヘム社がクッカプーロの許可を得て、スケールと構造に若干の調整を加えて復刻した。
レンミ・シリーズ(1969年)
1969年に創作されたレンミは、クッカプーロの最も人気のある製品の一つである。革張りと洗練されたスチールフレームを特徴とし、首と腰をサポートする人間工学的デザインを備えている。ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館とデザインミュージアムのコレクションに選定され、音楽鑑賞に最適な椅子として投票されたこともある。
新しいレンミ・コレクションは、透明で追跡可能な生産チェーンを持ち、フィンランドのキーフラッグ証明書を授与されている。クッカプーロのデザイン哲学である人間工学、美学、生態学という3つの礎石を体現しており、修理可能で、更新可能であり、世代を超えて使用できるという理念を実現している。現在、フィンランドで環境に配慮した方法で地元生産されており、クッカプーロへの敬意として原点回帰を果たしている。
サトゥルヌス・シリーズ(1960年代-1970年代)
ファイバーグラスと革を用いたモダニスティックなラウンジチェアとテーブルのシリーズ。強化ファイバーグラスで作られた彫刻的なシェルと、鮮やかな色彩(明るい緑、赤珊瑚ピンクなど)の張り地の組み合わせが特徴的で、スペースエイジスタイルを完璧に体現している。回転機能を持ち、取り外し可能な革張りのクッションは別々に洗濯が可能という実用性も備えている。
モデルノ・シリーズ(1956年-)
クッカプーロの出世作であり、ブレイクスルーとなったコレクション。卒業後に立ち上げた工房を「モデルノ」と名付け、典型的な北欧スタイルのソファ、ベッド、家具シリーズの制作を開始した。建築家からの委託でヘルシンキの靴店のために椅子とフットスツールをデザインしたことがきっかけとなり、長年にわたり6つのピースへと拡大した。現在もフィンランドのレポ・プロダクト社と中国のアヴァルテ社により生産されている。
フュシオ、プラーノ、シルクス、フンクトゥス(1974年-1990年代)
1980年代から1990年代にデザインされた人間工学的なオフィスチェアシリーズ。合板の成形技術の革新により特徴づけられた人間工学と生産効率を兼ね備えた製品群で、公共空間での使用を目的として設計された。世界中の銀行、空港、講堂で何万脚も販売され、フィンランドのほぼすべての学校、病院、オフィスで使用されている。
功績・業績
70年以上にわたるキャリアにおいて、クッカプーロは数多くの国内外の賞を受賞し、フィンランドのモダンデザインを世界に広めた功労者として高く評価されている。
主要な受賞歴
- 1966年
- ルンニング賞(北欧デザイン界で最も権威ある賞の一つ)
- 1972年
- イタリア国際椅子デザインコンペティション 一等賞
- 1983年
- プロ・フィンランディア勲章(フィンランド獅子勲章)
- 1995年
- カイ・フランク・デザイン賞
- 2002年
- 英国王立芸術協会より Royal Designer for Industry(RDI)の称号
また、フィンランド国家デザイン賞、ヴァルティ賞など多数の栄誉を授与されている。
教育者としての貢献
1960年から1990年まで産業美術学校(後のヘルシンキ芸術デザイン大学)で教鞭を執り、1978年から1980年の2年間は学長を務めた。後進の育成に尽力し、フィンランドデザイン教育の発展に大きく貢献した。また、中国の江南大学(無錫)、南京大学などで名誉教授の称号を授与され、国際的なデザイン教育にも関与した。
コレクション収蔵
クッカプーロの作品は、世界の主要なデザイン美術館の永久コレクションに収蔵されている。
- ニューヨーク近代美術館(MoMA)- アトリエ(1965年)、カルーセリ
- ロンドン ヴィクトリア&アルバート博物館 - カルーセリ(1971年)、レンミ(1984年)
- ヘルシンキ デザイン博物館 - カルーセリ、レンミ(1979年、1981年)
- ハンブルク 美術工芸博物館 - フュシオ、アルヌス(1983年、1996年)
- コペンハーゲン 産業美術博物館(1983年、1987年)
- ストックホルム 国立美術館 - エクスペリメント(1989年)
- ヴィトラ・デザイン・ミュージアム - カルーセリ、サトゥルヌス(1991年)
- その他、オスロ、トロンハイム、イェーテボリ、エルサレム、レイキャビク、ヘント、マロ(イタリア)の美術館
展覧会
クッカプーロの作品は、世界中で数十の個展およびグループ展で展示されてきた。
- 1962年 - デザインセンター、ヘルシンキ
- 1985年 - ギャラリー・ヴォグンレミッセン、オスロ
- 1987年 - マジック・ルーム、ガレリー・ビンネン、アムステルダム
- 1990年 - スルルム、レースカ美術館、イェーテボリ
- 1992年 - ダス・ノルディック・ハウス、デュッセルドルフ
- 1995年 - チェアーズ(カイ・フランク・デザイン賞展)、デザインフォーラム、ヘルシンキ
- 2005年 - タトゥード・チェアーズ、フィンランド文化センター、パリ
- 2008年 - 回顧展、デザイン博物館ヘルシンキ
- 2009年 - 回顧展、デザイン博物館ヘント、ベルギー
- 2013年 - 回顧展、エストニア建築博物館
- 2017年 - 個展「エクスペリメント」、ギャラリー・レメッティ、ヘルシンキ
- 2023-2024年 - ユルヨ・クッカプーロ:マジック・ルーム、EMMA現代美術館、エスポー
評価と後世への影響
クッカプーロは「フィンランド家具デザインの偉大なモダニスト」として、フィンランド機能主義の中心的人物と位置づけられている。アルヴァ・アアルト、カイ・フランクといった巨匠たちが活躍した1950年代のフィンランドデザインの黄金期に資格を取得し、独自の道を歩みながらフィンランドデザインの伝統を現代へと継承した。
人間工学デザインのパイオニア
クッカプーロの最も重要な貢献は、人間工学を家具デザインの中核に据えたことである。「座り心地の悪い椅子をデザインすることに何の意味があるだろうか?」という彼の哲学は、単なる美学的追求を超えて、使用者の身体的快適さと健康を第一に考える姿勢を示している。この姿勢は、後の世代のデザイナーたちに大きな影響を与え、現代のオフィスチェアや公共空間の家具デザインにおける人間工学の重要性を確立した。
素材と技術の革新者
1960年代のファイバーグラスによる宇宙時代的デザインから、1970年代の管状スチールと合板、1990年代のCNC加工技術まで、クッカプーロは常に新しい素材と技術を受け入れ、それらの可能性を最大限に引き出した。特に、廃材を活用したエコロジカルなアプローチは、現代のサステナブルデザインの先駆けとして評価されている。
ポストモダニズムの先駆者
1982年のエクスペリメント・チェアは、機能主義一辺倒だった北欧デザインに芸術性と遊び心を取り戻した画期的な作品として評価されている。装飾的機能主義の探求は、1970年代の厳格な機能主義から脱却し、喜びと美的快楽を重視する新しいデザイン哲学を提示した。
普遍的デザインの創造者
「ほぼすべてのフィンランド人が彼のデザインした椅子に座ったことがある」という事実が示すように、クッカプーロの作品は特別な美術館のコレクションであると同時に、日常生活の中で親しまれる普遍的な存在である。この「民主的デザイン」の実現こそが、彼の最も重要な遺産の一つと言えるだろう。
現代への継続的影響
クッカプーロの作品は、創作から数十年が経過した現在も生産が続いており、その普遍的な魅力とタイムレスなデザインを証明している。2021年のヘム社によるエクスペリメント・チェアの復刻、アルテック社によるカルーセリチェアの継続生産など、彼の作品は新たな世代にも受け入れられ続けている。
家具デザイン史において、クッカプーロは機能主義と芸術性、人間工学と美学、地域性と国際性を見事に融合させた巨匠として、不動の地位を確立している。彼の「快適な椅子」への飽くなき探求は、デザインとは何かという根本的な問いに対する一つの明確な答えを示し続けている。
作品一覧
| 年代 | 区分 | 作品名 | ブランド |
|---|---|---|---|
| 1956年- | 椅子・ソファ | モデルノ・シリーズ | Lepo Product / Avarte |
| 1960年 | 椅子 | トリエンナーレ・チェア(プロトタイプ) | Summanen Oy |
| 1960年代 | 椅子 | ジュニア・チェア | Haimi |
| 1963-1964年 | 椅子・ソファ | アトリエ・シリーズ | Haimi / Avarte |
| 1964年 | ラウンジチェア | カルーセリ(Model 418) | Haimi / Artek / Vitra |
| 1960年代 | ラウンジチェア | サトゥルヌス(Model B-175-18) | Haimi / Avarte |
| 1960年代 | テーブル | サトゥルヌス・テーブル | Haimi |
| 1969年 | 椅子 | Model 419 | Haimi |
| 1969年 | ラウンジチェア | レンミ | Haimi / Avarte / Yrjö Kukkapuro |
| 1970年代 | ラウンジチェア | Model 417 | Haimi |
| 1970年代 | ラウンジチェア | スカーラ | Avarte |
| 1970年代 | ラウンジチェア | ヴァリアーティオ | Haimi |
| 1970年代 | 照明 | Model 100スポットライト(2点セット) | Haimi |
| 1974年 | オフィスチェア | プラーノ | Avarte |
| 1976年 | チェア | フュシオ | Avarte |
| 1980年代 | 椅子 | ヴィーノ(1983年) | Avarte |
| 1982年 | ラウンジチェア | エクスペリメント | Avarte / Hem(2021年復刻) |
| 1980年代 | テーブル | エクスペリメント・コーヒーテーブル | Avarte |
| 1980年代 | 椅子 | フォー | Avarte |
| 1980年代-1990年代 | オフィスチェア | シルクス | Avarte |
| 1986年 | ロッキングチェア | A-509 | Avarte |
| 1980年代-1990年代 | オフィスチェア | フンクトゥス | Avarte |
| 1990年代 | 椅子 | ネロネン・プロフィール | Studio Kukkapuro |
| 1990年代 | 椅子 | ネロネン・Z | Studio Kukkapuro |
| 1990年代 | 椅子 | ネロネン・タイタン | Studio Kukkapuro |
| 1990年代 | ラウンジチェア | ロング・チェア | Avarte |
| 1990年代 | アームチェア | アルヌス(プロトタイプ、1995年頃) | Korvenrannan Puusepäntehdas / Avarte |
| 1990年代 | 椅子 | ピルヴィ(雲) | Avarte |
| 1990年代-2000年代 | コレクション | イースト・ウェスト・コレクション | Avarte |
| 2000年代 | 椅子 | CNCシリーズ | Avarte |
| 2000年代 | ロッキングチェア | A-500 | Avarte |
| 2000年代 | 椅子 | タトゥー(スクリーンプリントアート) | 限定版 |
| 2000年代 | 椅子 | シンプル(プロトタイプ) | Studio Kukkapuro |
| 2015年- | コレクション | カラー・エクスペリメント・シリーズ | Gallery Lemmetti |
Reference
- Yrjö Kukkapuro - Wikipedia
- https://en.wikipedia.org/wiki/Yrjö_Kukkapuro
- Postmodernist Finnish designer Yrjö Kukkapuro dies aged 91 | Dezeen
- https://www.dezeen.com/2025/02/10/postmodernist-finnish-chair-designer-yrjo-kukkapuro-dies/
- Remembering Finnish Designer Yrjö Kukkapuro | Barnebys Magazine
- https://www.barnebys.com/blog/remembering-finnish-designer-yrjo-kukkapuro
- Designer Yrjö Kukkapuro | Möbeldesignmuseum
- https://www.mobeldesignmuseum.se/designer/yrjo-kukkapuro
- Yrjö Kukkapuro 1933–2025 - Studio Kukkapuro
- https://studiokukkapuro.com/yrjo-kukkapuro-1933-2025/
- Furniture designer Yrjö Kukkapuro - Studio Kukkapuro
- https://studiokukkapuro.com/bio/
- Yrjö Kukkapuro, Finnish postmodernist designer, dies at 91 | The Architect's Newspaper
- https://www.archpaper.com/2025/02/yrjo-kukkapuro-finnish-postmodernist-designer-dies-91/
- Designer: Yrjö Kukkapuro - Hem
- https://hem.com/en-eu/designers/yrjo-kukkapuro
- Remembering Yrjö Kukkapuro, Finnish grand master of design | Wallpaper
- https://www.wallpaper.com/design-interiors/yrjo-kukkapuro-obituary
- Reintroducing Experiment Lounge Chair - Hem
- https://hem.com/en-us/products/experiment
- Yrjö Kukkapuro, visionary Finnish designer of Postmodern chairs, dies at 91 | Euronews
- https://www.euronews.com/culture/2025/02/10/yrjo-kukkapuro-visionary-finnish-designer-of-postmodern-chairs-dies-at-91
- Yrjö Kukkapuro's studio is a source of limitless inspiration | Design Stories
- https://www.finnishdesignshop.com/design-stories/interview/yrjo-kukkapuros-studio-is-a-source-of-limitless-inspiration
- Visiting designer Yrjö Kukkapuro at his house in Finland | Wallpaper
- https://www.wallpaper.com/design/yrjo-kukkapuro-interview
- Remmi - Yrjö Kukkapuro
- https://www.yrjokukkapuro.com/en/product-series/remmi/