概要

ユルヨ・クッカプーロ(1933-2025)は、フィンランドの家具デザイナーである。身体を石膏で型取り、その形から座面の曲面を決めるという方法をとった。1964年のカルセリは、ファイバーグラスの殻を回転する台座に載せた安楽椅子で、この方法から生まれている。ハイミやアヴァルテのために設計を行った。

バイオグラフィー

1933年4月6日、フィンランドのヴィープリ(現ロシア領ヴィボルグ)に生まれた。ヘルシンキの中央工芸学校で家具の設計を学び、1958年に修了している。

1959年にヘルシンキ近郊のカウニアイネンで自身の事務所を開いた。

1964年、ハイミのためにカルセリを設計した。ファイバーグラスの殻を回転する台座に載せた安楽椅子で、以後の代表作となる。

1980年代からはアヴァルテのために事務用の椅子を設計した。ヘルシンキ芸術デザイン大学でも教えている。2025年に没した。

デザインの思想と方法

クッカプーロが用いたのは、身体の形を実測して座面の曲面を決めるという方法である。図面上で曲線を引くのではなく、実際に座った身体を石膏で型取り、その形をもとに殻を成形する。座り心地が形の根拠になる。

身体を型取って曲面を決める

金網の上に座り、そこに石膏を流して身体の形を写す。この型から座面と背の曲面が決まる。造形の判断ではなく、実測の結果として形が現れる。

殻と支持を分ける

カルセリは、ファイバーグラスの殻と、回転する金属の台座からなる。殻が身体の形を担い、台座が高さと回転を担う。役割を分けることで、それぞれを別に設計できる。

透明な材料で体積を消す

1970年代の一部の椅子では、透明のアクリルを座面に用いた。形は変えずに材料だけを替えることで、部屋での体積の印象が変わる。

事務用の椅子で条件を変える

1980年代からのアヴァルテのための椅子では、長時間の使用と姿勢の変化が条件になる。カルセリの方法をそのまま適用できないため、調整の機構を含む構成をとった。

代表作にみる方法

アテリエ 3121(1963年、ハイミ)

ファイバーグラスの殻を用いた椅子である。カルセリに先立つ設計にあたる。V&Aが収蔵している(収蔵番号CIRC.376-1970)。

カルセリ 412(1964年、ハイミ)

身体を石膏で型取って決めた曲面を、ファイバーグラスの殻として成形し、回転する金属の台座に載せた安楽椅子である。殻が身体の形を担い、台座が高さと回転を担う。座り心地が形の根拠になっている。V&Aが収蔵している(収蔵番号CIRC.375-1970)。

414K(1966年、ハイミ)

カルセリと同じ構成の考え方による椅子である。V&Aが収蔵している(収蔵番号CIRC.392-1970)。

透明アクリルの椅子(1970年代)

座面に透明のアクリルを用いた椅子である。形は変えずに材料だけを替えることで、部屋での体積の印象が変わる。

アヴァルテのための事務用椅子(1980年代〜)

長時間の使用と姿勢の変化を条件とする椅子である。調整の機構を含む構成をとり、カルセリとは異なる方向になる。

評価と影響

クッカプーロは一般に、20世紀フィンランドの家具設計を代表する人物の一人と評価されている。身体を実測して曲面を決めるという方法が、その特徴にあたる。

カルセリは1964年の発表以来、同国を代表する椅子として扱われている。殻と台座を分ける構成は、以後の安楽椅子にも見られる。

1980年代からの事務用の椅子では、条件が異なるため別の方向をとった。ヘルシンキ芸術デザイン大学での教育にも携わっている。

収蔵

以下の収蔵が確認できる(V&A=ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館)。

  • V&A アテリエ 3121(1963-64年) 収蔵番号 CIRC.376-1970
  • V&A カルセリ 412(1965年) 収蔵番号 CIRC.375-1970
  • V&A 414K(1966年) 収蔵番号 CIRC.392-1970

MoMA、Met、AIC では該当する収蔵は確認できなかった。フィンランド国内の館については照合手段がない。

作品一覧

発表年 区分 作品名 ブランド
1963年 椅子 アテリエ 3121 Haimi
1964年 椅子 カルセリ 412 Haimi / Artek
1966年 椅子 414K Haimi
1970年代 椅子 透明アクリルの椅子 Haimi
1980年代〜 オフィスチェア アヴァルテのための事務用椅子 Avarte

プロフィール

生没年 1933年4月6日〜2025年
出身地 フィンランド・ヴィープリ
国籍 フィンランド
活動拠点 カウニアイネン
分野 家具、オフィスチェア
主な協働ブランド Artek、Asko、Haimi、Avarte

Reference

Yrjö Kukkapuro | Artek
https://www.artek.fi/en/company/designers
Designmuseo Helsinki
https://www.designmuseum.fi/en/
Victoria and Albert Museum Collections
https://collections.vam.ac.uk/