マグス ソファは、2002年にコペンハーゲンで創業したデンマークの家具ブランドHAYが手掛けるモジュラーソファシリーズである。HAYのインハウスデザインチームであるHAY Studioによってデザインされ、2000年代に発表されて以来、北欧モダンデザインを代表するソファとして世界中で高い評価を得ている。
「最大限の快適さと最小限のディテール」というデザイン哲学のもと生み出された本作は、クリーンなラインと深い座面、そして卓越したモジュラー機能を兼ね備え、住宅空間からオフィス、ホテルロビーに至るまで、あらゆる環境に適応する汎用性を誇る。北欧デザインの伝統を継承しながらも、現代のライフスタイルに応える民主的なデザインの象徴として、HAYのベストセラーコレクションの一つに数えられている。
特徴・コンセプト
マグス ソファの根底にあるのは、「ソファはリビングルームにおいて視覚的に支配的な存在であるがゆえに、シンプルなデザインでなければならない」という明快な哲学である。しかしながら、シンプルなデザインにはあらゆるディテールにおける完璧さが求められる。HAY Studioはこの信念のもと、見えない部分にこそ品質の真価があると考え、サスペンション、フォームの組成、張地の耐久性という三つの要素に最高の優先度を与えて設計を行った。
モジュラーシステム
マグス ソファ最大の特徴は、その卓越したモジュラー構造にある。幅の異なる複数のユニット、コーナーモジュール、シェーズロングを自由に組み合わせることで、2人掛けのコンパクトなソファから大型のL字型コーナーソファまで、空間とニーズに応じた無限のコンフィギュレーションが可能となる。モジュール同士は隠されたインターロック機構により確実に連結され、安定性と一体感を実現している。
構造と素材
フレームにはFSC認証を受けた上質なパイン材の無垢材とパーティクルボードを採用し、堅牢性と環境への配慮を両立させている。座面にはスプリングシステムと高密度ポリウレタンフォーム(25/32kg)を組み合わせ、長時間の使用においても型崩れしにくい耐久性と心地よいサポートを提供する。背もたれには19kgのスーパーソフトポリエーテルフォームを使用し、包み込まれるような快適さを実現した。脚部にはブラック塗装のビーチ材を採用し、フェルトパッドを備えることで床面を保護する。
デザインバリエーション
マグスコレクションは現在、4つのバリエーションで展開されている。オリジナルのMagsは、シャープなライン、高いアームレスト(幅24cm)、そしてタイトな表情が特徴である。Mags Lowはアームレストの高さを抑え、よりオープンな印象を与える。Mags Softはフォームの上に3cmの羽毛層を追加し、丸みを帯びたエッジと可視ステッチによってより柔らかく上質な外観を実現した。そしてMags Soft Lowは、低いアームレストとソフトな座り心地を組み合わせた最も人気の高いモデルとなっている。
アップホルスタリー
張地にはデンマークのテキスタイルメーカーKvadrat社との協業により、Hallingdal、Steelcut、Divina、Re-Woolなど、最高品質のファブリックコレクションが用意されている。とりわけHallingdalは、70%のバージンウールと30%のビスコースから成り、テキスタイルデザインのアイコンとして名高い。ウールがもたらす耐久性と柔軟性、ビスコースが与える色彩の輝きと深みが見事に調和し、10万マーチンデール以上の耐摩耗性を誇る。レザーオプションも用意され、CA-MOレザーによる上質な仕上げも選択可能である。
エピソード
HAYは2002年、ロルフ・ヘイとメッテ・ヘイ夫妻によってコペンハーゲンで創業された。二人はデンマークの家具ブランドGubiで同僚として出会い、1950年代から60年代の黄金期のデンマークデザインに深いインスピレーションを受けながらも、それを手の届く価格で現代に蘇らせるという志を共有していた。ロルフがデザインの古典を独学で学び情熱を傾ける一方、ファッション業界出身のメッテはアクセサリーと色彩に対する鋭い感性をもたらした。
「優れたデザインは万人の権利である」という創業理念のもと、HAYは世界最高のデザイナーたちと協働しながら、高品質でありながらアクセシブルな製品を生み出し続けている。マグス ソファはこの哲学を体現する代表作として、住宅だけでなくオフィスやホスピタリティ空間にも採用され、コペンハーゲンのベラスカイホテルをはじめ世界中の著名な空間に導入されている。
2018年には米国の家具大手ハーマンミラー(現ミラーノール)が株式の33%を取得し、翌2019年には過半数の株式を取得してHAYを傘下に収めた。この提携により、HAYは北米市場への本格進出を果たすとともに、チャールズ&レイ・イームズの精神を受け継ぐハーマンミラーの品質哲学との融合により、さらなる発展を遂げている。
評価
マグス ソファは発売以来、スカンジナビアンモジュラーソファの旗艦コレクションとしての地位を確立し、多くのブランドがこれを模倣しようと試みながらも、その完成度を凌駕することはできていないと評されている。「真のデザインクラシック」として、インテリア専門店やデザイン愛好家から高い支持を集め、HAYのベストセラーであり続けている。
その評価の核心は、見えない部分へのこだわりにある。スプリングシステム、フォームの組成、張地の耐久性という、ソファの品質を決定づける三要素すべてに最高水準の素材と製造技術を投入しながら、外観はあくまでミニマルに抑えるという両立は、容易に達成できるものではない。デザイン評論家からは「シンプルなデザインは細部における完璧さを要求する」というHAYの信条を体現した作品として、高く評価されている。
また、家庭用途のみならずコントラクト市場においても広く採用されており、その汎用性と耐久性は商業空間においても実証されている。モジュラー構造がもたらす自由度と、Kvadrat社のファブリックによる無数のカスタマイズオプションは、インテリアデザイナーやアーキテクトにとって欠かせないツールとなっている。
基本情報
| 製品名 | Mags Sofa / マグス ソファ |
|---|---|
| デザイナー | HAY Studio |
| 発表年 | 2000年代(Magsシリーズとして継続的に展開) |
| ブランド | HAY(デンマーク) |
| 創業者 | ロルフ・ヘイ、メッテ・ヘイ(2002年創業) |
| 素材 | フレーム:FSC認証パイン無垢材、パーティクルボード / 座面:スプリングシステム、高密度ポリウレタンフォーム / 脚部:ブラック塗装ビーチ材 |
| 張地 | Kvadrat社ファブリック(Hallingdal、Steelcut、Divina、Re-Wool等)、CA-MOレザー |
| 寸法(目安) | 全高:67-68cm / 座面高:37-42cm / 座面奥行:71.5-74cm / アームレスト幅:23-24cm |
| バリエーション | Mags、Mags Low、Mags Soft、Mags Soft Low |
| 生産国 | デンマーク |