概要
PH 5は、ポール・ヘニングセンが1958年に設計したペンダントライトである。名称は、ヘニングセンのイニシャル「PH」と、メインシェードの直径が50cmであることを示す「5」を組み合わせたものである。複数のシェードが光源を包み、どの角度から見ても光源が直接目に入らない。ルイスポールセンが現在も製造している。
特徴・コンセプト
光源を選ばない
1950年代、白熱電球の製造業者は電球の形状と寸法を頻繁に変更していた。器具の側が特定の電球を前提にしていると、電球が変わるたびに配光が崩れる。ヘニングセンは、どの光源を使ってもグレアが生じない器具を目指し、その回答としてPH 5を設計した。ルイスポールセンによれば、クリスマスライトでも100Wの金属フィラメント電球でも使えるものとして構想されたという。
3枚シェードの発展
配光の考え方は、ヘニングセンが1920年代に確立した3枚シェードの方式を土台とする。対数螺旋に沿ってシェードを配すると、光源からの距離に応じて各シェードが同じ割合で光を減じるため、シェード面のどこを見ても明るさが揃う。PH 5は主に下方を照らしながら、横方向にも光を送り、器具そのものも照らし出す。シェードの内側はつや消しに加工され、反射光が拡散する。
赤と青の小シェード
人の目は黄から緑の波長に最も敏感で、赤と青には感度が低い。オリジナルのクラシックホワイトには、内部に赤と青の小さなシェードが配されている。感度の低い波長を補い、感度の高い波長を抑えることで、光の色みを整える狙いである。光源の技術が変わった現在では色調整の必要性は下がっているが、クラシックホワイトはこの構成を保っている。モダンホワイトやモノクロームなど、色を変えた仕様も展開されている。
エピソード
ヘニングセンは油灯のやわらかな光のもとで育ち、電気照明の眩しさに違和感を抱いたことが、生涯にわたる光の研究の出発点になったと語られている。PH 5は、その探究の延長線上に生まれた作品である。
1958年は、ヘニングセンがPH アーティチョークとPH スノーボールも発表した年にあたる。3点はデンマーク装飾美術館の展覧会で同時に公開されたが、その後の展開は分かれた。PH 5はルイスポールセンで最も広く売れる製品となり、スノーボールは製品化まで25年を要している。
2017年には直径30cmの小型版「PH 5 Mini」が加わった。
評価と影響
発表以来、ルイスポールセンの定番として製造が続いている。住宅のダイニングテーブルの上に収まる寸法であり、レストランやホテル、公共施設でも用いられる。PHシリーズ全体の設計原理と各機種の関係については PH ランプ シリーズ にまとめている。
美術館コレクション
ニューヨーク近代美術館は、アルミニウムによる1958年のPH 5ペンダントランプを収蔵番号295.1999で登録している(1999年、製造元からの寄贈)。同館は同じ年にPH アーティチョーク(294.1999)も収蔵している。
ポール・ヘニングセンの設計思想や経歴について詳しくはポール・ヘニングセンプロフィールページをご覧ください。
ルイスポールセンの歴史や他の製品について詳しくはルイスポールセンブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | PH 5 / PH 5 Pendant |
|---|---|
| デザイナー | ポール・ヘニングセン(Poul Henningsen) |
| ブランド | ルイスポールセン(Louis Poulsen) |
| 発表年 | 1958年 |
| デザインの成立国 | デンマーク |
| 分類 | ペンダントライト |
| 主要素材 | アルミニウム(スピニング加工) |
| サイズ | 直径500mm × 高さ267mm(PH 5 Mini は直径300mm) |
| 名称の由来 | PH=ポール・ヘニングセン、5=メインシェード径50cm |
| 収蔵 | ニューヨーク近代美術館(295.1999) |
Reference
- PH 5 Pendant Lamp | MoMA
- https://www.moma.org/collection/works/3216
- PH 5 | Louis Poulsen
- https://www.louispoulsen.com/en/catalog/private/pendants/ph-5