概要

Talamo(タラモ)は、2011年に英国人デザイナー、ダミアン・ウィリアムソンがイタリアの名門家具ブランドZanotta(ザノッタ)のために手がけたベッドである。同デザイナーによる成功作Williamソファシリーズから着想を得て開発された本作は、快適性とシンプリシティを追求した現代的なベッドとして、Zanottaのコンテンポラリーコレクションに新たな息吹をもたらした。

構造的な重量感を排除しながらも堅牢性と高品質を両立させたTalamoは、最小限のコンポーネントで構成された洗練されたデザインが特徴である。研磨されたアルミニウム合金製の脚部が軽やかでモダンな印象を与え、スチールフレームに天然の曲げブナ材スラットを組み合わせた構造は、優れた体圧分散と耐久性を実現している。

特徴・コンセプト

デザインフィロソフィー

Talamoのデザインは「本質への回帰」という思想に基づいている。ウィリアムソンは、ベッドに求められる根本的な要素―快適な睡眠、休息、そして親密な時間のための理想的なプラットフォーム―に焦点を当て、余計な装飾や構造的な重さを排除した。その結果生まれたのは、機能性と美しさが高度に融合した、時代を超越するデザインである。

構造的特徴

ペリメトリックなスチール構造は、Zanottaの技術部門との綿密な協働により開発された。単一ラインに配置されたエルゴノミックスラットは、余分なコストを削減しながらも、すでに十分に設計されたサポートシステムに実質的な価値を提供している。スチール構造の周囲にはポリウレタンボーダーが配され、ファブリックカバーの取り付けを可能にしている。

ヘッドボードは、ポリウレタンと熱圧着ポリエステル繊維で丁寧にパディングされ、取り外し可能なカバーシステムを採用。これにより、季節や気分に応じてベッドルームの雰囲気を簡単に変更できる実用性も備えている。

Williamシリーズとの関連性

2010年に発表されたWilliamソファシリーズで確立された「コンフォートレイヤー」という概念は、Talamoにも継承されている。薄くて洗練された張地層、アルミニウム製の脚部、そして人体を優しく包み込む多層構造は、両シリーズに共通するデザイン言語である。これらの要素が、Zanottaのコンテンポラリーコレクション全体に統一感をもたらしている。

エピソード

開発背景

2010年のWilliamシリーズの成功を受け、Zanottaはウィリアムソンに新たなベッドのデザインを依頼した。その際の要求は明確であった―快適でシンプル、堅牢で高品質、しかし過度な構造的重量を避け、組み立てコンポーネントを最小限に抑えること。この挑戦的な要求に対し、ウィリアムソンは自身の代表作であるWilliamソファの成功要素を巧みに応用した。

技術革新への挑戦

Zanottaの技術部門との協働において、最大の挑戦は「すべてのイタリア製品としての品質を保ちながら、限られた経済的投資で実現すること」であった。この課題に対し、チームは革新的なソリューションを見出した。例えば、エルゴノミックスラットを単一ラインに配置することで、機能性を損なうことなくコストを削減し、同時に洗練された外観を実現した。

デザイナーの言葉

ウィリアムソン自身は、Talamoについて次のように語っている。「Talamoは、それが何でないかを装うことはしない。これは明らかにWilliamコレクションと関連性を持つベッドであり、したがってモダンであり、前身であるソファと同じく高く評価される特徴と比率を持っている。これは、夢を見て、休息し、愛を育むための快適で堅牢な台座となるベッドの基本的な要素を提供するプロジェクトだ」。

評価

市場での受容

Talamoは、発表以来、世界中のデザイン愛好家や建築家、インテリアデザイナーから高い評価を受けている。特に、ミニマリストデザインを好む層や、機能性と美観の両立を求める現代的な住空間において、理想的な選択肢として位置づけられている。

その洗練された外観と実用性の高さから、高級住宅はもちろん、ブティックホテルやデザインホテルのゲストルームにも採用されている。特に、メンテナンスの容易さと耐久性の高さは、商業施設での使用においても高く評価されている。

デザイン界での位置づけ

Talamoは、21世紀のイタリアンデザインにおける重要な作品として認識されている。過剰な装飾を排し、本質的な機能に焦点を当てたそのアプローチは、現代のサステナブルデザインの潮流とも合致している。また、英国人デザイナーとイタリアブランドの協働が生み出した国際的な感性は、グローバル化する現代デザイン界の象徴的な事例となっている。

継続的な進化

2011年の発表から10年以上が経過した現在も、Talamoは進化を続けている。近年では、収納機能を備えたTalamo Boxバージョンも登場し、現代の都市生活における限られた居住空間への対応も図られている。このような継続的な改良は、時代のニーズに応える柔軟性を持つデザインの証左である。

デザイナーについて

ダミアン・ウィリアムソン(1974-2024)

ロンドンに生まれたダミアン・ウィリアムソンは、1998年にキングストン大学プロダクトデザイン学科を卒業。先端素材に関する論文で学位を取得した後、様々なデザインプロジェクトに携わり、2004年にストックホルムに自身のデザインスタジオ「Damian Williamson Office For Design」を設立した。

英国とスウェーデンの美学の交差点で活動したウィリアムソンは、厳格なラインと有機的な形状を統合し、エレガントで魅力的な視覚言語を創造した。彼の作品は、技術研究とイノベーションの融合に取り組む姿勢と、発明性と詩的な品質によって特徴づけられる。2005年からはスウェーデンのLTH大学で客員講師を務め、次世代のデザイナーの育成にも貢献した。

Zanottaとの協働は2010年から始まり、Williamシリーズ、Talamoベッドなど、ブランドの現代的コレクションを代表する作品を生み出した。2024年に惜しくも世を去ったが、その遺産は今もなお世界中のデザイン愛好家に愛され続けている。

ブランドについて

Zanotta(ザノッタ)

1954年にアウレリオ・ザノッタによってノヴァ・ミラネーゼに創業されたZanottaは、イタリアンデザインの歴史において最も重要なブランドの一つである。創業以来70年以上にわたり、500を超える製品を世に送り出し、その多くが世界中のデザイン美術館に収蔵されている。

1960年代以降、アキーレ・カスティリオーニ、エットーレ・ソットサス、アレッサンドロ・メンディーニ、ブルーノ・ムナーリなど、20世紀を代表するデザイナーたちとのコラボレーションにより、数々の革新的な製品を生み出してきた。特に1968年に発表された世界初のビーンバッグチェア「Sacco」は、デザイン史を変えた10の製品の一つとして世界中で認識されている。

2023年4月、ZanottaはCassinaに買収され、Haworth Lifestyle Designグループの一員となった。この新たな体制の下、Zanottaは創造的な旅を続け、新たな才能の発掘と卓越した製品ポートフォリオの強化を通じて、世界中でのプレゼンスを拡大している。5つのコンパッソ・ドーロ賞をはじめとする数々の栄誉は、イノベーションと美への70年以上にわたる献身の証である。

基本情報

製品名 Talamo(タラモ)
デザイナー ダミアン・ウィリアムソン(Damian Williamson)
ブランド Zanotta(ザノッタ)
発表年 2011年
カテゴリー ベッド
構造 スチールフレーム、天然曲げブナ材スラット
脚部 アルミニウム合金(磨き仕上げ、ニッケルサテン仕上げ、黒塗装)
ヘッドボード ポリウレタン/熱圧着ポリエステル繊維パディング
カバー 取り外し可能、ファブリックまたはレザー
サイズ展開 160×200cm、170×200cm、180×200cm、200×200cm(他サイズもオーダー可能)
高さ ベッド高24cm、ヘッドボード高88cm
バリエーション シングルスプリング、セパレートスプリング、Talamo Box(収納付き)
生産国 イタリア
関連シリーズ Williamソファシリーズ

参考文献

Zanotta公式ウェブサイト
Talamo, simplicity and comfort - Magazine
デザイナー情報
Damian Williamson - Designers | Zanotta
Fredericia公式サイト
Damian Williamson Biography
業界ニュース
Formidable Italian furniture brand Zanotta acquired by Cassina - Dezeen
製品仕様詳細
Talamo bed specifications - SCP