概要
リボンチェアは、ピエール・ポーランが1966年にアルティフォートのために設計したラウンジチェアである。一本の帯が波打つように連続した曲線で構成される。スチールパイプのフレームに水平のスプリングを組み合わせ、ポリウレタンフォームで包んでストレッチ素材を張る。塗装した木製のベースがこれを支える。
特徴・コンセプト
帯が一続きに巻く
座面から背もたれ、そして外側へ回り込む部分までが、途切れずに一続きの面をつくる。座る位置を規定する境目がないため、身体の向きを変えても面が続く。ポーランは彫刻の訓練を受けており、身体を包む形を面の連続として扱った。
水平スプリングを内蔵する
フレームには水平方向のスプリングが組み込まれる。フォームだけで支えれば沈み込みは素材の硬さで決まるが、スプリングを入れることで、たわむ量を設計の側で決められる。曲面の多い形でも、場所ごとに支持の強さを変えられる。
継ぎ目のない張り
カバーには伸縮する素材を用い、継ぎ目を表に出さずにフォームの上から被せる。この手法は、ポーランが1958年からアルティフォートの開発部門と進めた研究の成果で、マッシュルームチェア(1960年)で確立され、リボンチェアやタンチェア(1967年)へ引き継がれた。塗装した木製ベースが、床から浮かせて全体を支える。
エピソード
ポーランがアルティフォートとの協働を始めたのは1958年である。マッシュルームチェア、リボンチェア、タンチェアと続く一連の椅子は、いずれも継ぎ目のないカバーという同じ手法にもとづく。
アルティフォートは2007年にポーランの許可を得て複数の設計を復刻し、リボンチェアを含む作品は現在も生産されている。
評価と影響
スチールフレーム、フォーム、伸縮するカバーという組み合わせは、面の連続する形を可能にした。座面と背もたれを別々の部材でつくる従来の方法では、この輪郭は得られない。
美術館コレクション
ニューヨーク近代美術館は、スチールパイプのフレーム、ラテックスフォーム、ストレッチ素材、塗装した木製ベースによる1966年のリボンチェア(モデル582)を収蔵番号452.2008で登録している(ドミニク・ポーランとスザンヌ・スレシン購入基金による取得。寸法71.8×100.3×83.8cm、座面高39.4cm)。
ピエール・ポーランの設計思想や経歴について詳しくはピエール・ポーランプロフィールページをご覧ください。
アルティフォートの歴史や他の製品について詳しくはアルティフォートブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | リボンチェア / Ribbon Chair(F582) |
|---|---|
| デザイナー | ピエール・ポーラン(Pierre Paulin) |
| ブランド | アルティフォート(Artifort) |
| 発表年 | 1966年 |
| デザインの成立国 | オランダ |
| 分類 | ラウンジチェア |
| 構造 | スチールパイプのフレーム+水平スプリング、ポリウレタンフォーム、継ぎ目のないストレッチ素材 |
| ベース | 塗装仕上げの木製 |
| サイズ | 幅約100cm × 奥行約84cm × 高さ約72cm、座面高約39cm(MoMA登録記録) |
| 関連製品 | マッシュルームチェア(1960年)、タンチェア(1967年) |
| 収蔵 | ニューヨーク近代美術館(452.2008) |
Reference
- Ribbon Chair (model 582) | MoMA
- https://www.moma.org/collection/works/114386
- Ribbon Chair | Artifort
- https://www.artifort.com/en/products/ribbon-chair