概要
コロナチェアは、ポール・M・ヴォルターが1964年に発表したラウンジチェアである。4つの楕円形のクッションが、スチールのフレームに沿って浮かぶように並ぶ。名称は、皆既日食の際に太陽の周囲に現れる光環「コロナ」に由来する。エリック・ヨーゲンセン(Erik Jørgensen)のもとで製品化され、現在はフレデリシア(Fredericia)が製造している。
特徴・コンセプト
面を分けて支える
座面と背もたれを一枚の面にせず、4つの楕円に分割している。首から背、腰、腿までを別々のクッションが受けるため、それぞれの角度を身体の部位に合わせて決められる。ひと続きの面では、姿勢を変えたときにどこかが身体から離れるが、分割すればその余地が生まれる。
クッションのあいだには隙間があり、背後が透けて見える。厚みのあるクッションを4つ用いながら、正面から見たときの量感は抑えられる。
日食から得た着想
ヴォルターがこの椅子を設計していた頃、皆既日食が話題となっていたと伝えられる。太陽を取り囲む光の輪から名が決められた。連なる楕円の配置は、日食の経過を連続写真で捉えたときの形とも重なる。
素材と構造
現行モデルは、スプリングスチール製の回転脚とフレームに、モールド成形のポリウレタンフォームクッションを組み合わせる。前身にあたる1953年のピラミッドチェアは木製フレームだったが、1960年代初めに始まったエリック・ヨーゲンセンとの協働を経て、1964年にスチールフレームの製品となった。張り地はファブリックまたはレザーから選べる。
エピソード
前身のピラミッドチェア(1953年)は、当時広く知られることはなかった。1964年にエリック・ヨーゲンセンからスチールフレームのコロナチェアが発表された後も、広く知られるまでには時間を要した。
転機は1997年である。ケルン家具見本市およびコペンハーゲンのスカンジナビア家具見本市で改めて紹介され、国際的な評価を得た。2002年、コペンハーゲンで開催されたEUサミットで、各国首脳が着座する椅子として用いられている。ヴォルターは前年の2001年に世を去っていた。
評価と影響
浮かぶように連なるクッションによる軽い見え方と、実際に座ったときに身体を受け止める感触との対比が、この椅子の特徴として挙げられる。対になるオットマンも展開されている。
ポール・M・ヴォルターの設計思想や経歴について詳しくはポール・M・ヴォルタープロフィールページをご覧ください。
フレデリシアの歴史や他の製品について詳しくはフレデリシアブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | コロナチェア / Corona Chair(EJ5) |
|---|---|
| デザイナー | ポール・M・ヴォルター(Poul M. Volther) |
| ブランド | フレデリシア(Fredericia)/製品化:エリック・ヨーゲンセン(Erik Jørgensen) |
| 発表年 | 1964年 |
| 分類 | ラウンジチェア |
| 主要素材 | フレーム・回転脚:スプリングスチール(ブラッシュドスチールまたはブラック)/クッション:モールド成形のフォーム(HRまたはCMHR)/張り地:ファブリックまたはレザー |
| サイズ | 幅88cm × 奥行82cm × 高さ97cm、座面高40cm |
| 関連製品 | コロナ オットマン |
製造元の変遷
| 期間 | 製造元 | 形態 | 地域 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 1964年〜2020年頃 | エリック・ヨーゲンセン | 初出時の製造元 | 記載なし | 製造元の公式サイト |
| 2020年〜(現在) | フレデリシア | 製造元 | 記載なし | その他の資料 |
Reference
- Corona Chair | Fredericia
- https://www.fredericia.com/product/corona-chair-5000
- The Corona Chair – An iconic design with a remarkable story | Fredericia
- https://www.fredericia.com/inspiration/the-corona-chair-an-iconic-design-with-a-remarkable-story