ブレッシング フリップクロックは、1970年代に西ドイツのブレッシング社が製造したスプリットフラップ式の卓上時計である。フリップクロック(パタパタ時計)とは、数字を印刷したフラップ(羽根板)が順にめくれて時刻を表示する電気機械式の時計を指し、独特の切替音と視覚的な動きが持ち味である。ブレッシング社のフリップクロックは、スペースエイジデザインを取り入れたケースと堅実なムーブメントで知られる。
特徴・コンセプト
ブレッシング フリップクロックの特徴は、1960年代後半から1970年代にかけて広まったスペースエイジデザインを反映した造形にある。宇宙開発の時代の楽観的な未来観を背景に、ヘルメット型や卵型など、有機的で幾何学的なフォルムが採用された。
デザインの多様性
オレンジ、イエロー、グリーン、パープル、ホワイト、ブラックなど、当時のポップカルチャーを映した鮮やかなカラーバリエーションが展開された。ケースは主にプラスチックで成形され、軽量で扱いやすい。文字盤は視認性を重視した簡潔なレイアウトで、白地に黒、あるいは黒地に白のコントラストが多く用いられた。
機構の特性
表示機構はスプリットフラップ(分割羽根)方式と呼ばれる。各桁に配された数十枚のフラップが中央の軸を中心に順にめくれることで、時刻を表示する。ブレッシング社のモデルには手巻き式のムーブメントを採用したものがあり、電源を必要としない。時刻表示用とアラーム用にそれぞれゼンマイ機構を備え、背面のノブで巻き上げと時刻合わせを行う。
フリップクロックの背景
フラップで時刻を示すしくみは、19世紀末にオーストリアの技術者ヨーゼフ・パルウェーバーが考案した表示方式にさかのぼる。その後、20世紀初頭にアメリカでセルロイド製のプレートを用いた実用的な設計へと発展し、20世紀半ばには各国のメーカーが電気式フリップクロックを量産して家庭に広まった。日本のコパール社などもこの時期に量産を手がけている。
コレクターズアイテムとしての評価
ブレッシング フリップクロックは、スペースエイジデザインの製品として、ヴィンテージ市場で安定した人気を保っている。2000年代半ば以降、レトロデザインへの関心の高まりとともに、1960〜1970年代のフリップクロック全般が再評価され、ブレッシング社の製品もその中で注目されるようになった。
完動品で状態の良いものは、オンラインオークションや専門店でおおむね100〜200ユーロ程度で取引されることが多い。オリジナルの外箱や付属品が揃ったものは、さらに高値になる傾向がある。カラーやケース形状の多彩さから、複数のモデルを集める愛好家も少なくない。
インテリアとしての魅力
ブレッシング フリップクロックは、その造形と鮮やかな色によって、時計としての機能を超えたインテリアオブジェとしても楽しめる。ミッドセンチュリーモダンやスペースエイジ調の空間はもちろん、シンプルな現代の空間でもアクセントになる。
フラップがめくれる際の「パタパタ」という音は、デジタル表示にはない温かみと存在感を空間にもたらす。時の経過を目と耳で感じられるこの特性は、効率が優先されがちな現代でかえって新鮮なものとして受け止められている。書斎やリビング、ベッドサイドなど、さまざまな場所で時を刻む道具として使える。
基本情報
| 製品名 | Blessing Flip Clock(ブレッシング フリップクロック) |
|---|---|
| メーカー | Blessing Werke KG(ブレッシング・ヴェルケ) |
| 製造国 | 西ドイツ(当時) |
| 製造地 | ヴァルトキルヒ、バーデン=ヴュルテンベルク州 |
| 製造年代 | 1960年代後半〜1970年代中盤 |
| デザイン様式 | スペースエイジ / ミッドセンチュリーモダン |
| 駆動方式 | 手巻き機械式(ゼンマイ駆動) |
| 主要素材 | プラスチック、金属(ムーブメント) |
| カラーバリエーション | オレンジ、イエロー、グリーン、パープル、ホワイト、ブラック 他 |
| 主な機能 | 時刻表示、アラーム機能 |
| 寸法(参考) | 高さ約11〜15cm × 幅約7〜9cm × 奥行約7〜8cm(モデルにより異なる) |