ビューロー・スタンダード(Bureau Standard、型番BS)は、ジャン・プルーヴェが1941年に生み出した事務机である。戦時下のアトリエ・ジャン・プルーヴェが、産業向けの市場を見込んで手がけた一連の机のひとつにあたる。
基本形が定まったのは1942年初頭。折り曲げた鋼板による2つの「門型(ポルティーク)」を、来客側から見える梁で連結する構成である。
特徴・コンセプト
力の流れに応じて断面を変える「等強度梁」の考え方が、そのまま家具の輪郭になっている。荷重の小さい部分では鋼板が絞られ、大きい部分では広がる。
門型の脚と梁
左右の脚はそれぞれ折り曲げ鋼板の門型をなし、両者を開放断面の梁がつなぐ。前面には脚から後退した位置に貫が入るか、溶接される。任意で側面に形鋼を加え、骨組を補強しつつ収納ユニットを受けることができる。
収納ユニット
木製、あるいは木と金属によるユニットが吊り下げられ、引き出し、書類ケース、電話台などを組み合わせる。用途に応じて仕様を変えられた。
天板と変種
天板はオーク材、またはコンブランシアン石が用いられた。1943年からは天板と骨組を湾曲させた変種が加わり、標準寸法を超える大きさもつくられている。直線の天板を持つ型はBS 21、湾曲した型はBSと呼び分けられる。
背景
戦後もビューロー・スタンダードは、より金属の比重を高めた新型——ビューロー・メタリック(BM)、ビューロー・ダクティロ・メタリック(BDM)——と並行して生産された。ステンレスの沓(くつ)を履かせた仕様もある。1952年以降は全金属製の版も現れた。
マクセヴィルの自室でプルーヴェ自身が使っていた机も当初はこのビューロー・スタンダードであり、のちにビューロー・プレジダンスへと置き換えられている。
評価
アトリエ・ジャン・プルーヴェの家具のなかでは生産数の多い机で、企業や印刷所、学校などに納められた。現存する個体は寸法や天板の仕様、収納ユニットの構成が一様でなく、注文ごとに組み替えられていたことがわかる。
なお、コンパス状に開いた脚を持つ「コンパス・ディレクション」(1953年)は別の机である。現在ヴィトラが製造しているのはこちらであり、ビューロー・スタンダードは復刻されていない。
基本情報
| デザイナー | ジャン・プルーヴェ(Jean Prouvé) |
|---|---|
| デザイン年 | 1941年(基本形の確定は1942年初頭) |
| 製造元 | アトリエ・ジャン・プルーヴェ(Ateliers Jean Prouvé) |
| 型番 | BS(湾曲天板)/BS 21(直線天板)ほか |
| 素材 | 折り曲げ鋼板(塗装) 天板:オーク材またはコンブランシアン石 収納ユニット:木、または木と金属 |
| サイズ | 仕様により異なる(BS 21 の作例で高さ約740 mm、幅約1600 mm、奥行約800〜830 mm) |
| 生産国 | フランス |
| 現行生産 | なし(ヴィンテージ市場のみ) |
| 分類 | デスク |