概要
ステアリングホイール クロックは、ジョージ・ネルソン・アソシエイツが手がけた掛時計である。ハワード・ミラー・クロック・カンパニーがモデル番号4756として製造した。外輪から中心へ12本のスポークが集まる構成で、自動車のハンドルを想起させる。ヴィトラの現行カタログには掲載されていない。
特徴・コンセプト
スポークが時刻を示す
文字盤を囲む外輪から中心のムーブメントハウジングへ、12本のスポークが放射状に集まる。数字も目盛りもなく、スポークの位置と外輪上の小さな指標だけで時刻を読ませる。数字を置く代わりに構造材そのものを目印にすることで、文字盤が面ではなく骨組みになる。
数字を持たない前提
ネルソンのオフィスは、人が時刻を読むとき針の角度を見ているのであって数字を読んでいるわけではないと考えた。腕時計が普及した当時、壁の時計はむしろ室内を構成する要素になりつつあるとも見ていた。この前提が、クロック・コレクション全体を貫いている。
素材
真鍮、エナメル塗装のスチールおよびアルミニウムで構成される。スポークと外輪の金属光沢が主な表情をつくり、時刻の指標には黒や白のエナメルが用いられた。ネルソンのクロックのなかでは小型の部類に入る。
エピソード
ハワード・ミラー・クロック・カンパニーは、ハーマンミラー社から分かれて設立された時計メーカーである。創業者のハワード・ミラーは、ハーマンミラー社を率いたD.J.デ・プリーの義兄弟にあたる。ネルソンのオフィスは1947年に同社から時計の依頼を受け、1949年に最初の14点が発表された。以後およそ35年にわたり、100点を超えるモデルが生み出されている。
この時計の設計は、ネルソン・アソシエイツに在籍したアーヴィング・ハーパーによるものとされる。ネルソンのオフィスでは個々の設計者が表に出ることは少なく、作品はチームの成果として発表された。
ネルソンの遺した資料は1986年以降ヴィトラ・デザイン・ミュージアムに託され、ヴィトラは1999年からネルソンのクロックの復刻を開始した。ただしステアリングホイール クロックは、現行の復刻に含まれていない。
評価と影響
1950年代のアメリカでは自動車が広く普及していた。ハンドルの輪郭をそのまま壁に掛けるという構成は、既存の工業製品の形を引用して時計に置き換えたものである。同じネルソンのクロック・コレクションには、タービン クロックやアイ クロック、置き時計のクロノパックが含まれる。現行の復刻がないため、流通するのはヴィンテージ品に限られる。
ジョージ・ネルソンの設計思想や経歴について詳しくはジョージ・ネルソンプロフィールページをご覧ください。
ヴィトラの歴史や他の製品について詳しくはヴィトラブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | ステアリングホイール クロック / Steering Wheel Clock(モデル4756) |
|---|---|
| デザイナー | ジョージ・ネルソン・アソシエイツ(設計はアーヴィング・ハーパーによるとされる) |
| オリジナル製造 | ハワード・ミラー・クロック・カンパニー |
| 発表年 | 1949年 |
| デザインの成立国 | アメリカ |
| 分類 | 掛時計 |
| 主要素材 | 真鍮、エナメル塗装スチール、エナメル塗装アルミニウム |
| 文字盤 | 数字・目盛りなし。12本のスポークと外輪上の指標で時刻を示す |
| 生産状況 | 現行の復刻なし(ヴィンテージ市場でのみ流通) |
Reference
- Nelson Wall Clocks | Vitra
- https://www.vitra.com/en-us/product/details/ball-clock