概要
ノッテッドチェアは、1996年にオランダのデザイナー、マルセル・ワンダースが手がけたラウンジチェアである。Droog Design と大学の航空工学部門との協働から生まれた。マクラメの結び方で編んだ繊維を、樹脂で固めて構造とする。
カーボンファイバーコアを内包したアラミド繊維の編組ロープをマクラメの結び目技法で編み、エポキシ樹脂を含浸させたうえでフレームに吊るし、重力によって硬化させる。この製法により、柔軟な繊維が座れるほどの堅固な構造体へと変わる。
特徴とコンセプト
繊維を編む工程は手作業による。編み方が形を決めるため、型を用意する必要がない。
アラミド繊維とカーボンファイバーはいずれも引張に強いが、単体では圧縮や曲げに耐えない。樹脂を含浸させて硬化させれば、繊維が引張を、樹脂が圧縮を受け持つ。編んだ状態のまま構造体になる。
型枠を使わず、吊るした繊維が自重で垂れる形をそのまま座面と背もたれの曲線とする。垂れた形は張力だけが働く線であるため、荷重が加わっても素直に力が伝わる。
繊維として扱う
カーボンファイバーは通常、樹脂と積層して板として用いられる。繊維のまま結べば、面ではなく線の集まりとして扱える。隙間が残るため、背後が透けて見える。
エピソード
1996年のミラノサローネで発表された。
カペリーニが1997年から製造し、2011年までに1000脚が生産された。結ぶ工程が手作業のため、結び目の締まり方が個体ごとに異なる。
評価と影響
線材を組んで面をつくる構成は、ベルトイア サイドチェアやイームズ ワイヤーチェアとも共通する。金属のワイヤーは曲げた形が保たれるのに対し、繊維は樹脂で固めるまで形が定まらない。
透明な素材で背後が見える点ではゴーストチェアとも近いが、こちらは隙間によって透ける。
収蔵
以下の収蔵が確認できる(MoMA=ニューヨーク近代美術館、V&A=ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館)。両館とも「Knotted Chair」として登録している。
- MoMA ノッテッドチェア(1995年) 収蔵番号 434.1996
- V&A ノッテッドチェア(1996年) 収蔵番号 W.49-2005
マルセル・ワンダースの設計思想や経歴について詳しくはマルセル・ワンダースプロフィールページをご覧ください。
カッペリーニの歴史や他の製品について詳しくはカッペリーニブランドページをご覧ください。
基本情報
| デザイナー | マルセル・ワンダース(Marcel Wanders) |
|---|---|
| デザイン年 | 1996年 |
| 製造元 | カペリーニ(Cappellini) |
| プロジェクト | Droog Design「Dry Tech I」 |
| 素材 | アラミド繊維編組、カーボンファイバー、エポキシ樹脂 |
| 寸法 | 幅53cm × 奥行64cm × 高さ69cm(座面高31cm) |
| 生産数 | 限定1000脚(1997-2011年) |
| 所蔵 | ニューヨーク近代美術館、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、ステデライク美術館、シカゴ美術館、クーパー・ヒューイット・スミソニアン・デザイン博物館 |