概要

ピオ・マンズゥ(1939-1969)は、イタリアのデザイナーである。ウルム造形大学で学び、自動車と工業製品の設計を手がけた。1968年のクロノタイムは、円筒を傾けて置く卓上時計である。1969年に自動車事故で没し、遺された図案はアキッレ・カスティリオーニが引き継いで完成させた。

バイオグラフィー

1939年3月2日、イタリアのベルガモに生まれた。父は彫刻家ジャコモ・マンズーである。

ドイツのウルム造形大学で学び、1964年に修了した。同校は数学と科学を課程に組み込む方針をとっていた。

卒業後、自動車と工業製品の設計を手がけた。1968年にはフィアットの設計顧問となっている。

1969年5月26日、トリノへ向かう途上の自動車事故で没した。30歳だった。遺されたフィアット127の設計は同社が完成させ、照明パレンテシはアキッレ・カスティリオーニが引き継いでいる。

デザインの思想と方法

マンズゥはウルム造形大学で学んだ。同校は、形を感覚ではなく規則と分析から導くという方針をとっていた。彼の製品も、単純な立体を出発点として、必要な操作だけを加える構成をとる。

単純な立体を傾けて置く

クロノタイムは、円筒を斜めに切って傾けた卓上時計である。文字盤は切断面にあたり、傾いた姿勢のまま安定する。円筒という単一の立体に、切断という一つの操作だけを加えている。

用途に応じて向きを変える

クロノタイムは向きを変えて置ける。机の上に置くか、棚に置くかで見る角度が変わるため、姿勢を選べることが条件になる。

張力で位置を保つ

パレンテシは、天井と床の間に張ったワイヤーに、曲げた金属の部材を通して照明を保持する。部材の重さと摩擦だけで任意の高さに止まり、留め具を持たない。ワイヤーは張力にのみ耐えればよく、床に固定する部材は要らない。

自動車の設計を扱う

フィアットの設計顧問として、小型車の設計に関わった。空気力学と製造の条件が形を規定する分野であり、家庭用の製品とは条件が異なる。

代表作にみる方法

クロノタイム(1968年)

円筒を斜めに切って傾けた卓上時計である。文字盤は切断面にあたり、傾いた姿勢のまま安定する。円筒という単一の立体に切断という一つの操作だけを加えた構成をとる。向きを変えて置ける。ニューヨーク近代美術館が収蔵している(収蔵番号1125.1969.1-2)。→クロノタイム

パレンテシ(1970年、フロス)

天井と床の間に張ったワイヤーに、曲げた金属の部材を通して照明を保持する。部材の重さと摩擦だけで任意の高さに止まり、留め具を持たない。マンズゥの没後、アキッレ・カスティリオーニが引き継いで完成させた。1979年にコンパッソ・ドーロ賞を受けている。ニューヨーク近代美術館が収蔵している(収蔵番号449.1987)。→パレンテシ

フィアット 127(1971年)

小型車の設計に関わった。マンズゥの没後、同社が完成させている。

オートノヴァ ファム(1965年)

実験的な自動車の設計である。箱形の車体をとり、当時の流線形とは異なる方向を示した。

評価と影響

マンズゥは、ウルム造形大学で学んだ設計者として言及される。単純な立体に必要な操作だけを加えるという構成が、その方法にあたる。

1969年に30歳で没しており、設計者としての活動は数年に限られる。この期間に残した製品の一部は、現在も生産が続いている。

パレンテシは、アキッレ・カスティリオーニが引き継いで完成させた。設計者の没後に他の設計者が仕上げた例にあたり、両者の連名で発表されている。

受賞・収蔵

受賞

  • 1979年 コンパッソ・ドーロ賞(パレンテシ、アキッレ・カスティリオーニと共同)

収蔵

以下の収蔵が確認できる(MoMA=ニューヨーク近代美術館)。

  • MoMA クロノタイム 時計(1968年) 収蔵番号 1125.1969.1-2
  • MoMA パレンテシ ランプ(1970年) 収蔵番号 449.1987

V&A、Met、AIC では該当する収蔵は確認できなかった。イタリア国内の館については照合手段がない。

作品一覧

区分 作品名 ブランド
1965年 自動車 オートノヴァ ファム Autonova
1968年 時計 クロノタイム Alessi
1970年 照明 パレンテシ Flos
1971年 自動車 フィアット 127 Fiat
1960年代 工業製品 各種の製品設計 各社

プロフィール

生没年 1939年3月2日〜1969年5月26日
出身地 イタリア・ベルガモ
国籍 イタリア
活動拠点 ミラノ、トリノ
分野 自動車、照明、時計、工業製品
主な協働ブランド Flos、Alessi、Fiat

Reference