概要

ピート・ヘイン・イーク(1967年生まれ)は、オランダのデザイナーである。1990年の卒業制作で、廃材を寸法をそろえずに接ぎ合わせた収納家具を発表した。以後、材料の傷や色の違いを整えずに残す構成を続けている。アイントホーフェンに工房を持ち、設計から製作までを自社で行う体制をとる。

バイオグラフィー

1967年4月29日、オランダのプルメレントに生まれた。アイントホーフェン・デザイン・アカデミーで学び、1990年に修了している。

卒業制作として発表した「スクラップウッド・キャビネット」が注目を集めた。廃材を用いた家具が、当時のオランダのデザインの文脈で受け入れられたことによる。

1990年代を通じて自身の工房で製作を続け、設計と製造を分離しない体制をとった。

2010年、アイントホーフェンの旧フィリップス工場の建物へ移転する。約1万平方メートルの敷地に工房、展示室、店舗、飲食店を併設し、製作の現場を公開する形をとっている。

デザインの思想と方法

イークが扱ったのは、材料の不揃いをどう扱うかという問題である。廃材は寸法も色も傷の状態も一定でない。通常はこれを削り、塗りつぶし、揃えて使う。イークは揃えずに使うことを選び、その代わりに接ぎ合わせの手順を設計した。

揃えずに接ぐ

寸法の異なる板を接ぐには、割付を一枚ずつ決める必要がある。同じ設計から同じ面は出ないが、外形の寸法と接合の方法さえ決めれば製品として成立する。設計者が決めるのは規則であり、個々の割付は製作者が決める。

塗装で覆わない

元の塗料、釘穴、傷はそのまま残る。透明の仕上げをかけるため、材料の履歴が表面に見える状態になる。この処理では、材料の選別の段階で品質が決まることになる。

製作を手放さない

設計を外部の工場に委ねると、割付を一枚ずつ判断する工程は成立しにくい。イークが自社の工房を持ち続けているのは、この工程を自分たちで抱える必要があるためである。設計と製造を分けないという判断が、方法の前提にある。

新材でも同じ構成をとる

廃材以外の材料を使う場合も、部材を接ぎ合わせて面をつくるという構成は変えない。材料が新しくても、接合の線は隠さずに残る。廃材の使用が目的ではなく、接ぎ合わせの構成そのものが主題であることが分かる。

代表作にみる方法

スクラップウッド・キャビネット(1990年)

アイントホーフェン・デザイン・アカデミーの卒業制作にあたる。廃材の板を寸法をそろえずに接ぎ合わせ、収納家具として構成した。塗料や釘穴を残したまま透明の仕上げをかける。以後の仕事の基本的な構成がここで定まっている。

スクラップウッドの家具群(1990年代〜)

キャビネットの構成を、卓、椅子、寝台、書棚へ展開した系列である。部材の割付は個体ごとに異なり、同じものは作られない。外形の寸法と接合の方法だけが共通する。

旧フィリップス工場の再利用(2010年)

アイントホーフェンの旧フィリップス工場へ工房を移した。既存の建物を大きく改変せず、工房・展示室・店舗・飲食店を配している。建物そのものを、廃材を扱う方法の延長として使う例にあたる。

チューブ クロック(レフ・アムステルダム)

金属の管を切断し、文字盤を収めた壁掛け時計である。管の断面がそのまま輪郭になり、切り口も仕上げずに残る。廃材ではないが、材料の断面を隠さないという構成は共通している。→チューブ クロック

評価と影響

イークは一般に、1990年代のオランダのデザインを国際的な文脈に置いた設計者の一人と評価されている。廃材を整えずに使うという方法が、当時としては前例の少ないものだった。

設計と製造を分けずに自社の工房で行う体制も、しばしば言及される。割付を一枚ずつ判断する工程は外部委託に向かず、この体制が方法を支えている。

2010年に移転した旧フィリップス工場は、工房を公開する場としても機能している。製作の現場を見せることが、材料の履歴を見せるという方針と対応している。

収蔵

4館のAPI(MoMA、V&A、Met、AIC)で照合したが、該当する収蔵は確認できなかった。オランダ国内の館については照合手段がない。

作品一覧

発表年 区分 作品名 ブランド
1990年 収納 スクラップウッド・キャビネット Piet Hein Eek
1990年代〜 家具 スクラップウッドの家具群 Piet Hein Eek
2010年 建築 旧フィリップス工場の再利用 アイントホーフェン、オランダ
2010年代 照明 照明の各種 Piet Hein Eek
2010年代 時計 チューブ クロック LEFF Amsterdam
2010年代 テキスタイル ラグ・テキスタイルの各種 Piet Hein Eek

プロフィール

生年 1967年4月29日
出身地 オランダ・プルメレント
国籍 オランダ
活動拠点 アイントホーフェン
分野 家具、照明、インテリア
主な協働ブランド Piet Hein Eek(自社)、LEFF Amsterdam

Reference

Piet Hein Eek(公式)
https://pietheineek.nl/en/
Design Academy Eindhoven
https://www.designacademy.nl/
LEFF Amsterdam
https://www.leffamsterdam.com/