概要
ピエール・フォーセル(1925-2004)は、スウェーデンの銀細工師・デザイナーである。1955年からスクルトゥナの設計を担当し、真鍮の器物を多数残した。金属の板を叩いて曲面をつくる技術を持ち、燭台では蝋燭を受ける皿を花弁のように配する構成をとる。コンストファックなどで金属工芸を教えてもいる。
バイオグラフィー
1925年、スウェーデンに生まれた。ストックホルムのコンストファック(国立芸術工芸デザイン大学)で金属工芸を学んでいる。
1953年、ストックホルム国立美術館の展覧会「スウェーデンの銀——今日」に作品が選ばれた。銀細工師としての初期の評価にあたる。
1955年、ヘルシンボリのH55博覧会で発表した作品が注目された。同年からスクルトゥナの設計を担当している。
コンストファックとリンシェーピングで金属工芸を教えた。2004年に没している。2017年から2018年にヴェステロース美術館で回顧展が開かれた。
デザインの思想と方法
フォーセルは銀細工の訓練を受けており、金属の板を叩いて曲面をつくる技術を持っていた。真鍮は銀より安価だが同じ工程で扱える。この材料で日用の器物をつくることが、スクルトゥナでの仕事になる。
叩いて曲面をつくる
板を叩いて成形すれば、型を用いずに曲面が作れる。曲率を自由に決められるが、一つずつ手で作るため数は増やせない。のちに機械の工程へ移行している。
皿を放射状に配する
燭台では、蝋燭を受ける皿を中心から放射状に配する。皿の数と角度で全体の輪郭が決まる。花弁の配置を思わせる形になるが、機能は蝋燭を保持することにとどまる。
真鍮を素地のまま使う
真鍮は塗装せず、磨いた状態で用いる。経年で表面が変色し、色が深くなる。金属そのものの質感が仕上げになる。
教育に関わる
コンストファックとリンシェーピングで金属工芸を教えた。設計の実務と並行している。
スクルトゥナの歴史や他の製品について詳しくはスクルトゥナ ブランドページをご覧ください。
代表作にみる方法
チューリップ 燭台(1950年代、スクルトゥナ)
蝋燭を受ける皿を中心から放射状に配した燭台である。皿の数と角度で全体の輪郭が決まる。真鍮を叩いて成形し、塗装せずに磨いた状態で仕上げる。→チューリップキャンドルホルダー
H55博覧会での発表(1955年)
ヘルシンボリの博覧会で作品を発表した。幾何学的な輪郭と黒い樹脂の脚を組み合わせる構成をとる。現在も復刻されている。
真鍮の器物(1955年〜)
スクルトゥナのために、鉢、花器、燭台を設計した。いずれも真鍮を素地のまま用いる。
銀細工(1950年代)
初期は銀の器物を制作した。1953年にストックホルム国立美術館の展覧会に選ばれている。
教育(1950-80年代)
コンストファックとリンシェーピングで金属工芸を教えた。
評価と影響
フォーセルは一般に、20世紀後半のスウェーデンの金属器を代表する制作者と評価されている。銀細工の技術を真鍮の日用品に適用した点が挙げられる。
1955年からのスクルトゥナとの協働で、同社の製品の性格を決めた。現在も同社が生産を続けている。
2017年から2018年にヴェステロース美術館で回顧展が開かれた。教育にも長く関わっている。
収蔵
4館のAPI(MoMA、V&A、Met、AIC)で照合したが、該当する収蔵は確認できなかった。スウェーデン国内の館については照合手段がない。
作品一覧
| 年 | 区分 | 作品名 | ブランド |
|---|---|---|---|
| 1950年代 | 銀器 | 銀の器物 | — |
| 1950年代 | 燭台 | チューリップキャンドルホルダー | Skultuna |
| 1955年 | 展示 | H55博覧会での発表 | ヘルシンボリ、スウェーデン |
| 1955年〜 | 真鍮器 | 鉢・花器・燭台 | Skultuna |
| 1950-80年代 | 教育 | コンストファック、リンシェーピング | スウェーデン |
プロフィール
| 生没年 | 1925年〜2004年 |
|---|---|
| 出身地 | スウェーデン |
| 国籍 | スウェーデン |
| 活動拠点 | ストックホルム |
| 分野 | 金属器、銀細工、教育 |
| 主な協働ブランド | Skultuna |
Reference
- Skultuna
- https://skultuna.com/
- Nationalmuseum, Stockholm
- https://www.nationalmuseum.se/en