概要

オリヴィエ・ムルグ(1939年生まれ)は、フランスのデザイナーである。1965年のジンは、鋼管の骨組みにウレタンフォームを載せ、伸縮する布で覆った座具の系列である。骨組みの輪郭が布の張力で滑らかになる。1968年の映画『2001年宇宙の旅』の室内に用いられた。

バイオグラフィー

1939年、パリに生まれた。パリの国立高等装飾美術学校で学び、1960年に修了している。

1960年代前半、アントワープとスウェーデンで実務を経験した。

1965年、エアボーンのためにジンの系列を設計した。1968年の映画『2001年宇宙の旅』の室内に用いられている。

1970年代からブレストの美術学校で教えた。以後は絵画の制作も行っている。

デザインの思想と方法

ウレタンフォームは1960年代に家具へ用いられ始めた材料である。柔らかく成形できるが、そのままでは表面が擦れて劣化する。ムルグが用いたのは、伸縮する布で覆うという方法だった。

伸縮する布で覆う

布が伸びるため、フォームの曲面に張力がかかった状態で密着する。皺が寄らず、輪郭が滑らかになる。骨組みの角も布の張力で丸みを帯びる。

骨組みを内部に隠す

鋼管の骨組みは外から見えない。外形は布とフォームだけで決まり、構造としての線が現れない。

低い姿勢を前提とする

ジンの系列は、座面が低い。床に近い姿勢で座ることを想定しており、脚を伸ばして寝そべる型も含まれる。

系列として構成する

椅子、長椅子、腰掛け、卓が同じ構成で作られる。並べたときに輪郭が連続する。

代表作にみる方法

ジン シェーズロング(1965年、エアボーン)

鋼管の骨組みにウレタンフォームを載せ、伸縮する布で覆った長椅子である。布の張力でフォームに密着し、輪郭が滑らかになる。ニューヨーク近代美術館、V&A、メトロポリタン美術館が収蔵している。

ジン チェア(1965年)

同じ構成による椅子である。V&Aが収蔵している(収蔵番号CIRC.202-1969)。

ジン テーブル

系列の卓である。椅子と長椅子に合わせた高さをとる。→ジン・テーブル

『2001年宇宙の旅』(1968年)

同映画の宇宙ステーションの室内に、ジンの系列が用いられた。当時としては近未来的な室内の構成にあたる。

教育と絵画(1970年代〜)

ブレストの美術学校で教えた。絵画の制作も行っている。

評価と影響

ムルグは、1960年代のフランスでウレタンフォームを用いた座具を設計した人物として言及される。伸縮する布で覆うという方法が特徴にあたる。

1968年の映画『2001年宇宙の旅』に用いられたことで、広く知られるようになった。当時としては近未来的な室内の構成にあたる。

1970年代以降は教育と絵画に軸を移した。家具の設計は1960年代が中心になる。

収蔵

以下の収蔵が確認できる(MoMA=ニューヨーク近代美術館、V&A=ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、Met=メトロポリタン美術館)。計4件が確認できた。

  • V&A ジン シェーズロング(1963年) 収蔵番号 CIRC.201-1969
  • V&A ジン チェア(1963年) 収蔵番号 CIRC.202-1969
  • MoMA ジン シェーズロング(1964-65年) 収蔵番号 347.1966
  • Met ジン シェーズロング(1965年設計) 収蔵番号 1989.64

AIC では該当する収蔵は確認できなかった。フランス国内の館については照合手段がない。

作品一覧

発表年 区分 作品名 ブランド
1965年 長椅子 ジン シェーズロング Airborne
1965年 椅子 ジン チェア Airborne
1965年〜 テーブル ジン・テーブル Airborne
1968年 映画 『2001年宇宙の旅』の室内への使用
1960年代 家具 ウレタンフォームによる座具 Airborne ほか
1970年代〜 教育・絵画 ブレスト美術学校、絵画の制作 フランス

プロフィール

生年 1939年
出身地 フランス・パリ
国籍 フランス
活動拠点 パリ、ブレスト
分野 家具、絵画、教育
主な協働ブランド Airborne

Reference

The Museum of Modern Art Collection
https://www.moma.org/collection/works/2325
Victoria and Albert Museum Collections
https://collections.vam.ac.uk/
The Metropolitan Museum of Art Collection
https://www.metmuseum.org/art/collection