概要
オイバ・トイッカ(1931-2019)は、フィンランドのガラス作家・デザイナーである。1963年からヌータヤルヴィ・ガラス工場の設計を担当し、量産の食器と一点物のガラス作品の双方を手がけた。1972年に始まる「バーズ・バイ・トイッカ」は、職人が手で吹くため一羽ごとに形が異なる系列である。
バイオグラフィー
1931年5月29日、フィンランドのヴィープリ(現ロシア領ヴィボルグ)に生まれた。ヘルシンキの中央工芸学校で陶芸を学び、1956年に修了している。
1956年からアラビア製陶所で陶器の設計に携わった。1963年にヌータヤルヴィ・ガラス工場へ移り、ガラスの設計を担当している。
1964年にカステヘルミ、1966年にフローラを発表した。いずれも型で成形する量産の食器にあたる。
1972年から「バーズ・バイ・トイッカ」の制作を始めた。舞台美術も手がけている。2019年4月22日に没した。
デザインの思想と方法
トイッカの仕事は、型で成形する量産の器と、職人が手で吹く一点物の双方にわたる。前者は同じものを大量に作り、後者は一つずつ形が異なる。工程の違いが、そのまま製品の性格を決めている。
型で露や氷を写す
カステヘルミは、同心円状に並ぶ球の凹凸を型で成形したガラス器である。名称は「露のしずく」を意味する。型があれば同じ凹凸を繰り返し作れるため、量産に向く。
手で吹いて個体差を残す
バーズ・バイ・トイッカは、職人が手で吹いて成形する。型を用いないため、同じ種類でも一羽ごとに大きさと色の出方が違う。個体差そのものが製品の性格になる。
色ガラスを重ねる
複数の色ガラスを重ねて吹くと、層の厚みによって発色が変わる。透明な部分と不透明な部分を組み合わせることで、光の通り方に差が生まれる。
陶芸から出発する
ヘルシンキで陶芸を学び、7年間アラビア製陶所に在籍した経歴を持つ。土とガラスでは成形の工程が異なるが、いずれも塊としての形を扱う点で共通する。
イッタラの歴史や他の製品について詳しくはイッタラ ブランドページをご覧ください。
代表作にみる方法
カステヘルミ(1964年、ヌータヤルヴィ)
同心円状に並ぶ球の凹凸を型で成形したガラス器である。名称は「露のしずく」を意味する。型があれば同じ凹凸を繰り返し作れるため量産に向く。V&Aが収蔵している(収蔵番号C.34-1988)。→カステヘルミ キャンドルホルダー
フローラ(1966年、ヌータヤルヴィ)
花の形を模した容器の系列である。型で成形され、蓋と身が組になる。
ピクルスの瓶(1969年)
V&Aが収蔵しているガラス器である(収蔵番号CIRC.462-1969)。同時期の「ロリポップ・アイル」も収蔵されている。
バーズ・バイ・トイッカ(1972年〜)
職人が手で吹いて成形する鳥の系列である。型を用いないため、同じ種類でも一羽ごとに大きさと色の出方が違う。複数の色ガラスを重ねることで、層の厚みによって発色が変わる。V&Aが複数点を収蔵している。→バード バイ トイッカ
一点物のガラス作品
「スノー・キャッスル」(1980年)、「イヤー・キューブ」(1977-87年)など、器物ではないガラスの作品も制作した。V&Aが収蔵している。
評価と影響
トイッカは一般に、20世紀後半のフィンランドのガラスを代表する制作者と評価されている。型による量産の器と、手で吹く一点物の双方を並行して手がけた点が挙げられる。
バーズ・バイ・トイッカは1972年から続く系列で、これまでに数百の種類が作られている。一羽ごとに形が異なることが、この系列の性格を決めている。
陶芸から出発し、1963年にガラスへ移った。ヌータヤルヴィとの関係は没するまで続いている。
収蔵
以下の収蔵が確認できる(V&A=ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館)。計16件が確認できた。
- V&A カステヘルミ(1964年) 収蔵番号 C.34-1988
- V&A ピクルスの瓶(1969年) 収蔵番号 CIRC.462-1969
- V&A ロリポップ・アイル(1969年) 収蔵番号 CIRC.444-1969
- V&A イヤー・キューブ(1977-87年) 収蔵番号 C.40-1988
- V&A スノー・キャッスル(1980年) 収蔵番号 C.41&A-1988
- V&A コオリガモ(1981年) 収蔵番号 C.60-2004
- V&A ソニア(1992年) 収蔵番号 C.28:1, 2-1994
- V&A クロウヴィ(1995年) 収蔵番号 C.1-1996、C.2-1996
- V&A ダイシャクシギ(1998年) 収蔵番号 C.13-2009
- V&A オオライチョウ(2000年) 収蔵番号 C.12-2009
- V&A キーウィ(2001年) 収蔵番号 C.14-2009
- V&A ドードー(2009年) 収蔵番号 B.8-2023
- V&A パラダイス・ツリー(2009年) 収蔵番号 B.15-2023
MoMA、Met、AIC では該当する収蔵は確認できなかった。フィンランド国内の館については照合手段がない。
作品一覧
| 発表年 | 区分 | 作品名 | ブランド |
|---|---|---|---|
| 1964年 | ガラス器 | カステヘルミ キャンドルホルダー | Nuutajärvi / Iittala |
| 1966年 | ガラス器 | フローラ | Nuutajärvi |
| 1969年 | ガラス器 | ピクルスの瓶、ロリポップ・アイル | Nuutajärvi |
| 1972年〜 | ガラス | バード バイ トイッカ | Iittala |
| 1977-87年 | ガラス | イヤー・キューブ | Nuutajärvi |
| 1980年 | ガラス | スノー・キャッスル | Nuutajärvi |
| 1956-63年 | 陶器 | アラビア製陶所のための製品 | Arabia |
| 1960-2010年代 | 舞台美術 | 舞台の美術・衣装 | フィンランド |
プロフィール
| 生没年 | 1931年5月29日〜2019年4月22日 |
|---|---|
| 出身地 | フィンランド・ヴィープリ |
| 国籍 | フィンランド |
| 活動拠点 | ヌータヤルヴィ、ヘルシンキ |
| 分野 | ガラス、陶器、舞台美術 |
| 主な協働ブランド | Iittala、Nuutajärvi、Arabia |
Reference
- Oiva Toikka | Iittala
- https://www.iittala.com/
- Designmuseo Helsinki
- https://www.designmuseum.fi/en/
- Victoria and Albert Museum Collections
- https://collections.vam.ac.uk/