概要
ミシェル・デュカロワ(1925-2009)は、フランスの家具デザイナーである。1954年から1983年までリーニュ・ロゼの設計を担当した。1973年のトーゴは、木の骨組みも金属のばねも持たず、密度の異なるウレタンフォームだけで構成される長椅子で、同社の主要な製品となっている。
バイオグラフィー
1925年11月14日、フランスのリヨンに生まれた。家具の製造に携わる家系にあたる。リヨンの美術学校で学んでいる。
1954年、リーニュ・ロゼの設計部門に加わった。以後1983年まで、同社の製品を手がけている。
1970年前後から、ウレタンフォームを用いた座具の開発に取り組んだ。1973年にトーゴを発表している。
1983年に退いた後も、フランスの家具業界に関わった。2009年に没している。
デザインの思想と方法
長椅子は通常、木の骨組みに金属のばねを張り、その上に詰め物を重ねる。デュカロワが試みたのは、骨組みとばねを完全になくし、詰め物だけで座具を成立させることだった。
密度の異なるフォームを重ねる
トーゴは、密度の異なる3種類のウレタンフォームを重ねて構成する。硬いフォームが荷重を受け、柔らかいフォームが身体に接する。骨組みがないため、全体がたわむ。
皺を仕上げとする
布をフォームに被せると、曲面に沿って皺が寄る。通常は皺が出ないよう縫製で調整するが、トーゴでは皺をそのまま残す。ステッチが横方向に走り、皺の位置を規定する。
脚を持たない
床に直接置く構成をとる。脚がないため高さが低く、座る姿勢も床に近くなる。家具が占める体積の印象も変わる。
軽く作る
フォームだけで構成されるため軽い。一人で持ち上げて移動でき、配置を頻繁に変えられる。骨組みを持つ長椅子では成立しない条件にあたる。
リーニュ・ロゼの歴史や他の製品について詳しくはリーニュ・ロゼ ブランドページをご覧ください。
代表作にみる方法
トーゴ(1973年、リーニュ・ロゼ)
密度の異なる3種類のウレタンフォームを重ねて構成した長椅子である。木の骨組みも金属のばねも持たず、床に直接置く。布に寄る皺をそのまま残し、ステッチが横方向に走って皺の位置を規定する。一人で持ち上げて移動できる。→トーゴ
トーゴの展開
一人掛け、二人掛け、三人掛け、コーナー、オットマンが用意される。いずれも同じ構成で、寸法だけが変わる。組み合わせて配置できる。
クレール(1970年代)
ウレタンフォームによる座具の系列である。トーゴと同時期の設計にあたる。
リーニュ・ロゼのための家具(1954-1983年)
29年間にわたり同社の製品を設計した。木の家具からウレタンフォームの座具へ、扱う材料が移っている。
評価と影響
デュカロワは一般に、骨組みとばねを持たない座具を成立させた設計者と評価されている。密度の異なるフォームを重ねるという構成が、その手段にあたる。
トーゴは1973年の発表から50年以上にわたり生産が続いている。構成が変わっていないため、当時の製品と現在の製品は同じ作り方による。
1954年から1983年までの29年間、リーニュ・ロゼの設計を担当した。同社の製品の性格を長期にわたって決めた立場になる。
収蔵
4館のAPI(MoMA、V&A、Met、AIC)で照合したが、該当する収蔵は確認できなかった。フランス国内の館については照合手段がない。
作品一覧
| 発表年 | 区分 | 作品名 | ブランド |
|---|---|---|---|
| 1973年 | ソファ | トーゴ | Ligne Roset |
| 1973年〜 | ソファ | トーゴの各型(一人掛け〜コーナー) | Ligne Roset |
| 1970年代 | 座具 | クレール | Ligne Roset |
| 1954-1983年 | 家具 | リーニュ・ロゼのための家具 | Ligne Roset |
プロフィール
| 生没年 | 1925年11月14日〜2009年 |
|---|---|
| 出身地 | フランス・リヨン |
| 国籍 | フランス |
| 活動拠点 | リヨン |
| 分野 | 家具 |
| 主な協働ブランド | Ligne Roset |
Reference
- Ligne Roset
- https://www.ligne-roset.com/
- Musée des Arts Décoratifs, Paris
- https://madparis.fr/en