概要
マールテン・ヴァン・セーヴェレン(1956-2005)は、ベルギーの家具デザイナーである。建築を学んだのち、1986年から自らの工房で家具を製作した。座面と背を一枚の面として扱い、脚を極力減らすという構成をとる。1999年の.03は、ポリウレタンの一体成形による椅子で、ヴィトラが生産している。48歳で没した。
バイオグラフィー
1956年6月5日、ベルギーのアントワープに生まれた。父は画家のダン・ヴァン・セーヴェレンである。ヘントで建築を学んだが、修了せずに離れている。
1986年、ヘントに自らの工房を開いた。当初は少数の受注生産で、アルミニウムや合板を用いた家具を製作している。
1990年代に国外で知られるようになり、1996年からカルテルとの協働が始まった。
1999年、ヴィトラのために.03を設計した。2005年2月21日、48歳で没している。
デザインの思想と方法
ヴァン・セーヴェレンの椅子は、座面と背を切り離さずに一枚の面として扱う。この構成では、面がどこでたわみ、どこで支えられるかが設計の中心になる。部材を増やせば解決するが、それでは面が分断される。
一枚の面で座面と背を担う
初期の椅子は、アルミニウムや合板の板を曲げて座面と背を一続きにする。板が長いほどたわみやすいため、厚みと曲率で剛性を確保する必要がある。板一枚という条件が、寸法の範囲を決める。
脚を減らす
.03は、後脚を持たない。前方の2本の脚と、背後で床に接する部材だけで支持する。座ると全体がわずかに動き、この動きが座り心地の一部になる。脚の数を減らすと、残った部材への負担が増える。
成形で詰め物を代替する
.03はポリウレタンの一体成形で、内部に鋼の芯を持つ。樹脂に弾性があるため詰め物を要さず、表面の仕上げも成形の段階で決まる。工程が少ないほど部材の境界も減る。
工房での製作から量産へ
1986年から1990年代前半までは、自らの工房で少数を製作した。量産に移る際も、面を一枚で扱うという構成は保たれている。工法は変わっても方針は変わらない。
ヴィトラの歴史や他の製品について詳しくはヴィトラ ブランドページをご覧ください。
代表作にみる方法
チェア No.2(1992年)
工房での製作による椅子である。板を曲げて座面と背を一続きにする構成をとる。ニューヨーク近代美術館とV&Aが収蔵している。
ロウチェア(1993年)
座面を低く抑えた椅子である。板一枚で座面と背を担うため、たわみ方が座り心地を決める。ニューヨーク近代美術館とV&Aが収蔵している。
.03(1999年、ヴィトラ)
ポリウレタンの一体成形による椅子である。内部に鋼の芯を持ち、樹脂の弾性で詰め物を代替する。後脚を持たず、前方の2本の脚と背後の部材で支持する。座ると全体がわずかに動く。ニューヨーク近代美術館が収蔵している(収蔵番号387.2009.1-2)。→ .03チェア
LCP(2000年、カルテル)
透明のアクリルを曲げた寝椅子である。一枚の板を大きく曲げ、座面から背、脚までを一続きとする。透明であるため、支持している部材が視覚的に消える。ニューヨーク近代美術館が収蔵している(収蔵番号259.2002.1-2)。
チェア No.3(1999年)
シカゴ美術館が収蔵している椅子である(収蔵番号2016.416)。
評価と影響
ヴァン・セーヴェレンは一般に、1990年代以降のベルギーのデザインを代表する設計者と評価されている。座面と背を一枚の面として扱い、脚を減らすという構成が特徴にあたる。
1986年から自らの工房で少数を製作し、1990年代後半に量産へ移った。工法が変わっても、面を一枚で扱うという方針は保たれている。
2005年に48歳で没した。設計者としての活動は20年ほどにとどまるが、.03とLCPは現在も生産が続いている。
収蔵
以下の収蔵が確認できる(MoMA=ニューヨーク近代美術館、V&A=ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、AIC=シカゴ美術館)。
- MoMA CN° II チェア(1992年) 収蔵番号 84.2009.1-2
- MoMA ロウチェア(1993年) 収蔵番号 1429.2001
- MoMA .03 チェア(1999年) 収蔵番号 387.2009.1-2
- MoMA LCP シェーズロング(2000年) 収蔵番号 259.2002.1-2
- V&A チェア No.2(1992年) 収蔵番号 W.670-2001、W.671-2001
- V&A ロウチェア(1993年) 収蔵番号 W.672-2001
- V&A ロウチェア(1993-95年) 収蔵番号 W.669-2001
- AIC チェア No.3(1999年) 収蔵番号 2016.416
Met では該当する収蔵は確認できなかった。
作品一覧
| 発表年 | 区分 | 作品名 | ブランド |
|---|---|---|---|
| 1992年 | 椅子 | チェア No.2 | 自主製作 |
| 1993年 | 椅子 | ロウチェア | 自主製作 |
| 1999年 | 椅子 | .03チェア | Vitra |
| 1999年 | 椅子 | チェア No.3 | 自主製作 |
| 2000年 | 寝椅子 | LCP | Kartell |
| 1990-2000年代 | 家具 | ヴィトラ・カルテルのための家具 | Vitra / Kartell |
プロフィール
| 生没年 | 1956年6月5日〜2005年2月21日 |
|---|---|
| 出身地 | ベルギー・アントワープ |
| 国籍 | ベルギー |
| 活動拠点 | ヘント |
| 分野 | 家具 |
| 主な協働ブランド | Vitra、Kartell |
Reference
- Maarten Van Severen | Vitra
- https://www.vitra.com/en-us/product/designer/maarten-van-severen
- Maarten Van Severen Foundation
- https://www.maartenvanseveren.be/
- The Museum of Modern Art Collection
- https://www.moma.org/collection/works/2325
- Victoria and Albert Museum Collections
- https://collections.vam.ac.uk/