ヘラ・ヨンゲリウス:工芸と産業を架橋する現代デザインの先駆者

ヘラ・ヨンゲリウス(Hella Jongerius、1963年5月30日生まれ)は、オランダを代表する工業デザイナーであり、現代デザイン界において最も影響力のある人物の一人である。産業生産と手仕事の工芸、ハイテクノロジーとローテクノロジー、伝統と革新という対極にあるものを融合させる独自のアプローチで知られ、大量生産品に個性と感性を吹き込むことに成功した稀有なデザイナーである。

彼女の作品は、家具、テキスタイル、陶磁器、空間デザインと多岐にわたり、ニューヨーク近代美術館(MoMA)、ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、パリのポンピドゥー・センターなど、世界の主要美術館に収蔵されている。Vitraの色彩・素材ディレクターとして、また独立したスタジオJongeriuslab(ヨンゲリウスラボ)の主宰者として、彼女は30年以上にわたりデザインの境界を押し広げ続けている。

バイオグラフィー:工芸への情熱と実験精神の軌跡

生い立ちと教育

ヘラ・ヨンゲリウスは1963年5月30日、オランダのユトレヒト近郊の小さな町デ・メールン(De Meern)に生まれた。若い頃から手仕事と創造的な実験に強い関心を抱き、当初は家具職人を目指して木工を学んだ。しかし次第に、実際に物を作ることよりも、デザインそのもののプロセスに魅力を感じるようになった。

この認識を経て、ヨンゲリウスは1988年から1993年まで、オランダの名門デザインアカデミー・アイントホーフェン(Design Academy Eindhoven)で産業デザインを学んだ。同校は当時、実験的で概念的なアプローチを奨励する教育機関として知られており、彼女のデザイン哲学の基礎が形成された場所である。

Droog Designとの邂逅

1993年の卒業後、ヨンゲリウスは革新的なオランダのデザイン集団Droog Design(ドローグ・デザイン)に参加した。1994年、ミラノ家具見本市で開催された記念すべき第1回Droog Design展に、彼女のバスマットが出品される。この作品は、既存の素材を予想外の方法で使用するという、後に彼女のトレードマークとなるアプローチの萌芽を示していた。

Droogでの活動を通じて、ヨンゲリウスは「Soft Urn」や「Soft Vase」シリーズ(1994年)など、ポリウレタン製の花瓶を制作し、柔らかい素材で硬質な器物を表現するという逆説的なデザインで国際的な注目を集めた。

Jongeriuslabの設立と独立

1993年、ヨンゲリウスは自身のデザインスタジオJongeriuslab(ヨンゲリウスラボ)をロッテルダムに設立した。このスタジオは、独自のプロジェクトの制作と、主要クライアントの委託作業の両方を手がける場となった。1997年から1998年にかけて、彼女はヨーロッパ・セラミックス・ワークセンターでレジデンスを行い、高温焼成による陶磁器の歪みを実験的に探求した。この研究は、後の代表作「B-Set」の開発につながった。

1998年から1999年、そして2000年から2004年まで、ヨンゲリウスは母校デザインアカデミー・アイントホーフェンで教鞭を執り、Living/Atelier学部の学部長を務めた。教育者としての経験は、彼女のデザイン哲学をより明確に言語化し、次世代のデザイナーに影響を与える機会となった。

国際的な飛躍とベルリンへの移転

2000年以降、ヨンゲリウスのキャリアは国際的に拡大した。2005年、Vitraとの初のコラボレーションである「ポルダーソファ」を発表し、商業的にも批評的にも大成功を収めた。2007年には、Vitraのカラーとマテリアルのアートディレクターに就任し、現在もその職を継続している。この役割において、彼女はVitra Colour & Material Libraryを開発し、Vitraの膨大な製品コレクション全体で色彩と素材の多様な組み合わせを可能にするシステムを構築した。

2008年、ヨンゲリウスはスタジオをロッテルダムからベルリンに移転した。ベルリンは彼女の創造的な実践の新たな拠点となり、より大規模で野心的なプロジェクトに取り組む環境を提供した。2021年からは、ベルリンとオランダのアーネムの両方を拠点として活動している。

主要プロジェクトと現在

2012年、ヨンゲリウスはKLMオランダ航空のボーイング747ビジネスクラスキャビンの新しいインテリアと座席をデザインした。その後、777型機とドリームライナー(787型機)のビジネスクラスおよびエコノミークラスのキャビンも手がけ、航空機内装デザインにおける新しい基準を確立した。

2013年には、建築家レム・コールハースとともに、ニューヨークの国連本部ビル内にある北代表団ラウンジの再設計を担当した。このプロジェクトでは、モダニズムの名建築を尊重しながら、オーダーメイドのカーペットや家具に大胆な色彩を用い、約3万個の磁器ビーズを手で結んだビーズカーテンを制作するなど、彼女の工芸と産業の融合というアプローチが見事に表現された。

2024年、Vitra Design Museumがヨンゲリウスのアーカイブを取得し、21世紀で最も影響力のあるデザイナーの一人としての彼女の地位が公式に認められた。2026年には、同美術館で彼女の回顧展が開催される予定である。

デザインの思想とアプローチ:対極の融合という哲学

産業と工芸の境界を越えて

ヨンゲリウスのデザイン哲学の核心は、一見相反する要素を融合させることにある。彼女は、新しいテクノロジーと手作りの工芸、産業的な大量生産と職人技、伝統と現代を対立するものとしてではなく、相互に補完し合う関係として捉えている。

ニューヨーク・タイムズのデザイン批評家アリス・ローストーンは、ヨンゲリウスの「最大の功績は、無機質な産業デザインに官能性と洗練をもたらしたこと」だと評している。彼女の作品は、大量生産されたものでありながら、一点物の工芸品が持つような温かみ、微妙さ、個性を備えている。

不完全性の美学

ヨンゲリウスの最も革新的なアプローチの一つは、不完全性を積極的に取り入れることである。産業化以降、完璧さが規範となった業界において、彼女は意図的に「不完全さ」に焦点を当てた。代表作「B-Set」の磁器食器は、過熱した窯で焼成することで、各ピースをわずかに歪ませ、偶然の素材効果を生み出している。

このアプローチは単なる美学ではなく、哲学的な声明である。ヨンゲリウスは、シリアル生産プロセスに個性を回復させる可能性を探求しており、製造工程の痕跡を残すことで、各オブジェクトに独自のアイデンティティを与えている。粗いエッジのレザーを巻いて車輪を作る、陶器に絵の具を飛び散らせる、綿のテーブルクロスに陶器を縫い付けるといった手法は、すべてこの哲学の表れである。

色彩研究の先駆者

ヨンゲリウスは現代デザイン界における最も重要な色彩研究者の一人である。彼女の有名な言葉「一つの色は色ではない。色は隣り合う色があってはじめて色になる」は、彼女の色彩哲学を端的に表している。

彼女は何年にもわたって色の顔料、色と素材と光の関係を研究してきた。2011年のプロジェクト「The Daylight Wheel」は、自然光の下での色の変化を探求した画期的な作品である。2017年に権威あるSikkens Prize(シッケンス賞)を受賞した際、審査委員会は「ヨンゲリウスの作品は色彩を中心に据えている。商業的なトレンドに追随することなく、彼女は独自の色彩使用法を確立した」と評した。

素材への探求とテクスチャー

ヨンゲリウスの作品は、素材のテクスチャーに対する細心の注意が特徴である。彼女は「素材の中に、デザインの潜在的な質が隠れている」という信念を持っており、各素材の本質的な特性を尊重しながら、その可能性を最大限に引き出すことを目指している。

彼女の作品には、陶磁器、ガラス、木材、金属、テキスタイル、ゴム、プラスチックなど多様な素材が登場するが、それぞれの素材が持つ固有の質感、色彩、振る舞いが丁寧に考慮されている。テキスタイルを好んで扱うのは、「新しい製品をゼロから作ることなく創造性を実践できる」からであり、既存の製品やシステムに介入して新しい価値を生み出すことを重視している。

持続可能性への視点

ヨンゲリウスの持続可能性に対する見解は、長く使えるデザインを創造することにある。彼女は長期主義の提唱者であり、一時的で低品質な製品に対して率直な批判者である。「糞のようなデザインが多すぎる」という彼女の有名な発言は、デザイン界に対する警鐘であった。

「本当の問題はデザインそのものではなく、生産される量である。そこに悪が始まる。それは世界に何も付加しない」と彼女は述べている。この視点は、2015年に理論家ルイーズ・シャウウェンベルグと共同で発表したマニフェスト「Beyond the New: A Search for Ideals in Design(新しさを超えて:デザインにおける理想の探求)」でより詳細に展開されている。

作品の特徴:プロセスの可視化と感性の探求

未完成性の美

ヨンゲリウスの作品は、意図的に「未完成」に見えるようデザインされている。彼女は、完成されたオブジェクトとしてではなく、より大きなプロセスの一部として作品を提示する。完成形の力を持ちながらも、過去と不確実な未来を持つ何か大きなものの一部であることを伝えている。

この「未完成性、暫定性、可能性」は、不完全さへの注目、制作プロセスの痕跡、素材と技術の明らかにされた潜在力の中に隠れている。このワーキングメソッドを通じて、ヨンゲリウスはプロセスの価値を称賛するだけでなく、鑑賞者や使用者を自身の探求に引き込むのである。

色彩の実験と遊び

ヨンゲリウスの作品における色彩の使用は、大胆で実験的である。「ポルダーソファ」に見られる色彩の市松模様、「Repeat」テキスタイルの複雑な色のブロック、国連ラウンジの鮮やかな色彩など、彼女は色を単なる装飾としてではなく、空間と経験を変容させる力として扱っている。

特筆すべきは、彼女の色彩アプローチが常に文脈を考慮していることである。同じ色でも、隣接する色、光の質、素材のテクスチャーによって全く異なる表情を見せる。この相対性の理解が、Vitra Colour & Material Libraryのような包括的なシステムの開発を可能にした。

スケールの自由な往来

ヨンゲリウスは、小さなジュエリーから大規模な空間インスタレーションまで、スケールを自由に行き来する。2019年のプロジェクト「Space Loom #1」では、高さ16メートル以上の糸を使用した巨大な織物構造を制作し、織機を建築的スケールに拡大した。

一方で、「B-Set」のような日常的なテーブルウェアや、細部まで考え抜かれたテキスタイルパターンなど、人間的なスケールの作品にも同じ注意と革新性が注がれている。このスケールの往来は、デザインが人間の手から建築空間まで、あらゆるレベルで機能すべきだという彼女の信念を反映している。

インタラクティブな関係性

ヨンゲリウスは、「デザインする際の主な焦点は、オブジェクトとユーザーの関係です。人々にそのデザインを使い続けてもらいたい」と述べている。彼女の実用的なアプローチは、常に人間のスケールから始まる。「私はいつもデザイナーたちに、糸をデザインすることから始めるよう伝えています。基本から始めなければなりません。なぜなら、人間のスケールが鍵だからです」

この人間中心のアプローチは、彼女の作品が単なる視覚的な美しさを超えて、触覚的、感情的な関係を築くことを可能にしている。

主要代表作品とそのエピソード

ポルダーソファ(Polder Sofa, 2005)

ヨンゲリウスの最も成功した家具デザインであり、彼女のキャリアにおける転換点となった作品である。Vitraから「ソファをデザインしてほしい」と依頼された際、彼女は当時のCEOロルフ・フェールバウムに「まだ気に入ったソファを見たことがない」と率直に答えた。フェールバウムは彼女に「それなら自分が気に入るソファをデザインしてください」と励ました。

1年足らずの開発期間を経て発表された「ポルダーソファ」は、オランダの独特な景観「ポルダー」(干拓地)から着想を得ている。チェス盤のような格子状の農地が広がる景観をモチーフに、交差する長方形と明確に定義された線が、自然な感触を生み出している。

このソファの革新性は、非対称なデザインと異なる色合いの生地の使用にある。ヨンゲリウスは「色は隣り合う色があってはじめて色になる」という信念のもと、単色ではなく複数の色を組み合わせることで、生地がどのように相互作用するかを探求した。その結果、手作りの温かみ、繊細さ、個性を持ちながら、大量生産品の利点も備えた表現力豊かなデザインが誕生した。

使用者は「製造プロセスでミスがあったのか?」「部分的に色褪せているのか?」「どれくらい古いのか?」といった疑問を抱くが、それこそがヨンゲリウスの意図である。2015年には4年をかけてアップデート版を発表し、現在もVitraのベストセラー製品の一つであり続けている。

B-Set(1997-1998)

Royal Tichelaar Makkumのために制作された「B-Set」は、ヨンゲリウスの不完全性の美学を最も明確に体現した作品である。1997年から1998年にかけて、ヨーロッパ・セラミックス・ワークセンターでのレジデンス期間中に開発されたこのテーブルウェアシリーズは、高温で焼成することで意図的に各ピースをわずかに歪ませている。

ほとんど重ならない皿、完全に円形ではない器、厚みが異なるマグカップ。わずかな偏差は、意図的に選択された製造プロセスによって避けられないものとなった。各ピースは過熱された窯で焼成され、磁器をわずかに歪め、偶然の素材効果と独自に歪んだ形状を生み出している。

この不完全さが、食器の各ピースに独自のキャラクターを与えている。B-Setは、オランダデザイン史におけるアイコンとして広く認識されており、MoMA、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、Museum Boijmans van Beuningenの永久コレクションに収蔵されている。

Repeat テキスタイル(2002)

ニューヨークの高級テキスタイル企業Maharamのための最初の大量生産ファブリック「Repeat」は、ヨンゲリウスの革新的なアプローチの典型例である。従来、パターンのリピートは35~70センチメートルごとだったが、彼女は3メートルという前例のないリピートを提案した。

「パターンは大きくなりますが、製造はより困難になります。それがテキスタイルに個性を加えるのです」とヨンゲリウスは説明する。工場を説得した後、彼らはこの挑戦を受け入れ、その結果、デザイン的にも商業的にも大成功を収めた。

この作品は、ロッテルダム・デザイン賞を受賞し、産業生産に創造的な工芸をもたらすというヨンゲリウスの永続的な遺産を確立した。「Repeat Dot Print」をはじめとする彼女のテキスタイルデザインは、大量生産された室内装飾に個性の雰囲気を与える不規則なパターンという、彼女の独創的な解決策を示している。

KLM航空機キャビンインテリア(2012~)

2012年、ヨンゲリウスはKLMオランダ航空のボーイング747ビジネスクラスキャビンの新しいインテリアと座席をデザインした。その後、ボーイング787ドリームライナーのエコノミーおよびビジネスクラスのキャビンも手がけ、航空機内装デザインに新たな基準を設けた。

重量制限、耐火性素材、無数の認証要件など、複数の制約の中で作業しながら、ヨンゲリウスはウールのシートカバーにさまざまな色調を混ぜ合わせるといった革新的なアプローチを通じて、無菌的な環境に生命を吹き込むことに成功した。

「スタジオでの自由が少なければ少ないほど、より創造的にならなければなりません」という彼女の言葉は、制約を創造性の触媒として捉える姿勢を表している。このプロジェクトは、ヨンゲリウスが商業的要求と美的野心を両立させる能力を示す好例である。

国連本部北代表団ラウンジ(2013)

建築家レム・コールハースとの共同プロジェクトとして、ヨンゲリウスはニューヨークの国連本部ビル内の北代表団ラウンジを再設計した。このモダニズムの名建築に対し、彼女はオーダーメイドのカーペットと家具に大胆な色彩を用い、手で結んだ糸と約3万個の磁器ビーズからなるビーズカーテンを制作した。

このプロジェクトは、歴史的建築を尊重しながらも、現代的な感性と工芸の価値を注入するという、ヨンゲリウスのアプローチを体現している。彼女の作品は、単なる装飾ではなく、空間に新しい物語と経験をもたらすものである。

Nymphenburg陶磁器コレクション

1747年に設立されたドイツの名門陶磁器メーカー、Porzellan Manufaktur Nymphenburgのために、ヨンゲリウスは複数のコレクションを制作した。「Nymphenburg Sketches」、「Four Seasons」コレクション(鏡、ティーポット、ワインジャグ、キャンドルスティック)、そして最も有名な「Animal Bowls」である。

「Animal Bowls」では、Nymphenburgのアーカイブが保有する700点の動物フィギュアから5つを選び、それらをボウルの中に配置した。カタツムリ、鳥、サイ、鹿、ウサギの写実的な絵付けに、Nymphenburgのデザインレパートリーから第二のパターンを補完している。それが元々スープ皿用だったのか、ホロホロ鳥の羽毛用だったのかは関係なく、自由な組み合わせが試みられている。

Space Loom #1(2019)

2019年、パリのLafayette Anticipationsで開催された展覧会「Interlace」のために制作された「Space Loom #1」は、織物を建築的スケールに拡大した野心的なプロジェクトである。高さ16メートル以上の糸が建物の「空」に吊るされ、織機の経糸を形成した。可動式プラットフォームから、織工たちが緯糸を絡ませ、展覧会が進むにつれて、立体的な織りのグラフィカルな形状が空間に形成されていった。

この作品は、通常経糸が規則的で緯糸がパターンを作るのに対し、経糸自体が不規則でパターンを形成するという点で独創的である。ポンピドゥー・センターがこの作品を収蔵したことは、ヨンゲリウスの実験的アプローチが現代美術の文脈でも評価されていることを示している。

Vitra Colour & Material Library

2007年にVitraのカラーとマテリアルのアートディレクターに就任したヨンゲリウスが開発した「Vitra Colour & Material Library」は、彼女の色彩研究の集大成とも言える成果である。このシステムは、Vitraの膨大な製品コレクション全体で、さまざまな素材と色の多様な組み合わせを可能にする。

単なる色見本集ではなく、このライブラリーは色彩の相互関係、素材との相互作用、光の質との対話を考慮した包括的なツールである。ヨンゲリウスはまた、チャールズ&レイ・イームズのシェルチェアの色彩アップデートも手がけ、クラシックデザインに新しい生命を吹き込んだ。

功績と業績:国際的な認知と影響

主要な賞と栄誉

2017年 Sikkens Prize(シッケンス賞)
オランダで最も権威ある独立芸術賞の一つであるSikkens Prizeを受賞。この賞は2年ごとに色彩の分野で重要な貢献をした個人または機関に授与される。賞金は75,000ユーロで、そのうち25,000ユーロは色彩に関するプロジェクトに使用される。過去の受賞者には、建築家ヘリット・リートフェルト、ル・コルビュジエ、デヴィッド・チッパーフィールド、詩人シェイマス・ヒーニー、アーティストのブリジット・ライリーなどが含まれる。
2017年 Wallpaper* Design Award
Danskinaのためにデザインした「Landscape」が選出された。
Rotterdam Design Prize
「Repeat」テキスタイルに対して授与された。

主要な展覧会とキュレーション

  • 1994年:Droog Design第1回展示会、ミラノ家具見本市(「Bath Mat」を出品)
  • 1995年:「Mutant Materials in Contemporary Design」MoMA、ニューヨーク
  • 1996年:「Thresholds in Contemporary Design from the Netherlands」Museum of Contemporary Art、ニューヨーク
  • 2001年:「Workspheres」展のための「My Soft Office」シリーズ、MoMA、ニューヨーク
  • 2005年:「On The Shelves」個展、Villa Noailles、イエール、フランス
  • 2010年:「Hella Jongerius – Misfit」Museum Boijmans Van Beuningen、ロッテルダム
  • 2017年:個展、Design Museum、ロンドン
  • 2017年:「Beyond the New」Die Neue Sammlung、ミュンヘン
  • 2018-2019年:「Breathing Colour」Nationalmuseum、ストックホルム(2020年2月まで継続)
  • 2019年:「Interlace」Lafayette Anticipations、パリ
  • 2021年:「Woven Cosmos」Gropius Bau、ベルリン
  • 2024年:個展、Salon94、ニューヨーク

パブリックコレクション

ヨンゲリウスの作品は、世界の主要美術館とデザインコレクションに収蔵されている。

  • ニューヨーク近代美術館(MoMA)
  • ポンピドゥー・センター、パリ
  • ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、ロンドン
  • クーパー・ヒューイット・スミソニアン・デザイン博物館、ニューヨーク
  • Museum Boijmans van Beuningen、ロッテルダム
  • Die Neue Sammlung、ミュンヘン
  • Stedelijk Museum、アムステルダム
  • Nationalmuseum、ストックホルム

著作と出版

  • 2011年:「Hella Jongerius – Misfit」(テキスト:Louise Schouwenberg、Alice Rawsthorn、Paola Antonelli、グラフィックデザイン:Irma Boom)、Phaidon出版
  • 2015年:「Beyond the New: A Search for Ideals in Design」(Louise Schouwenbergとの共著)マニフェスト
  • 2016年:「I Don't Have a Favourite Colour: Creating the Vitra Colour and Material Library」Die Gestalten Verlag Berlin

教育活動

ヨンゲリウスは1998年から1999年、そして2000年から2004年まで、デザインアカデミー・アイントホーフェンで教鞭を執り、Living/Atelier学部の学部長を務めた。彼女は若手デザイナー、特に女性デザイナーのメンターとして積極的に活動しており、「卓越性を導き、私の経験に基づいた実践的なツールを提供することが非常に重要だと考えています」と述べている。

彼女自身、キャリアの初期にパオラ・アントネッリやアリス・ローストーンといった女性の支援者やメンターに恵まれた経験から、「現在存在する『old boys network』の女性版を構築しようとしています。すべてのクイーンビーが参加すれば、これはより強力になるでしょう」と語っている。

評価と後世への影響:現代デザインの新しい理想

同時代の評価

ヨンゲリウスは「我々の時代における主要な女性デザイナー」として認識されており、その功績は過去の偉大な女性デザイナー、シャルロット・ペリアンやアイリーン・グレイに匹敵すると評されている。産業デザインにおいては珍しく、彼女の作品は感情的な質を持っている。

ニューヨーク・タイムズのアリス・ローストーンは、「ヨンゲリウスの最大の功績は、無機質な産業デザインに官能性と洗練をもたらしたこと」だと評している。彼女の素材と技術の型破りな組み合わせは、巨大な刺繍入り陶器の花瓶や、一部が陶器で一部がガラスのGrooveとLong Neckボトルのようなオブジェクトが、実用的な機能を満たすだけでなく、現代生活の矛盾を表現することを可能にしている。

デザイン理論への貢献

2015年、ヨンゲリウスは理論家ルイーズ・シャウウェンベルグと共同で、「Beyond the New: A Search for Ideals in Design(新しさを超えて:デザインにおける理想の探求)」というマニフェストを発表した。この宣言は、「無意味な製品、商業的な誇大宣伝、空虚なレトリック」の終焉を求め、デザイン専門職のための新しい理想主義的アジェンダを提案している。

彼女は「デザインは貧困化した分野になってしまった」と主張し、「私たちはデザインにおける新しい理想、すべてのレベルでの全体論的アプローチを探求しています」と述べている。このマニフェストは、世界中のデザイナー、プロモーター、学生にとってインスピレーションの源となっている。

現代デザインへの影響

ヨンゲリウスの影響は、物理的な作品を超えて広がっている。彼女は「デザイナーは消費者と産業の間のフィルターであり、デザイン自体は人と関係についてのものです」という考え方を提唱し、デザイナーの社会的責任を強調している。

彼女の色彩研究、特にVitra Colour & Material Libraryは、企業が製品全体で色彩と素材をどのように扱うかについて新しい基準を設定した。また、彼女の工芸と産業の融合というアプローチは、多くの若手デザイナーに影響を与え、手作りの価値と大量生産の効率を両立させる道を示した。

ジェンダーとデザイン

3人の兄弟と育ったヨンゲリウスは、「男性の世界にいることは、私にとって自然な生息地です」と述べているが、同時にデザイン界における性別の違いの現実も認識している。「男性のパートナーやクライアントは、別の男性とのほうが気楽である」ことを観察しながらも、彼女は「化学、ユーモア、尊敬、信頼に基づいた関係」を築いてきた。

彼女はまた、「性別を区別することは社会のすべての層に組み込まれており、したがって残念ながらデザインにもある」と認めながらも、「同じ道徳性を持ち、同じ価値観を信じる人々を見つけることが非常に重要であり、仕事上の関係において化学を感じる必要があります」と強調している。

21世紀における位置づけ

2024年にVitra Design Museumがヨンゲリウスのアーカイブを取得したことは、彼女が21世紀で最も影響力のあるデザイナーの一人として公式に認められたことを意味する。2026年に予定されている同美術館での回顧展は、彼女のキャリア全体を総括し、現代デザイン史における彼女の位置を確定するものとなるだろう。

彼女の作品は、持続可能性、人間中心のデザイン、工芸の復興、色彩の重要性など、21世紀の重要なデザイン課題に直接語りかけている。Phaidonの書籍「Woman Made: Great Women Designers」に取り上げられたことも、彼女が現代デザイン界における重要な女性の声として認識されていることを示している。

実験と探求の継続

ヨンゲリウスの色彩、素材、テクスチャーに関する研究は決して完結することがない。すべての問いは開かれたものであり、すべての答えは暫定的で、完成品や半完成品の形を取る。これらは終わりのないプロセスの一部であり、本質的にすべてのJongeriuslab のデザインに当てはまる。それらは最終段階の力を持ちながらも、過去と不確実な未来を持つ、より大きな何かの一部であることを伝えている。

現在進行中のプロジェクト「Breathing Colour」や「Woven Cosmos」などの展覧会は、ヨンゲリウスが依然として探求の最前線にいることを示している。彼女の作品は、デザインが単に新しい製品を作ることではなく、素材、技術、人間の経験の間の関係を探求する継続的な対話であることを思い出させてくれる。

作品一覧

年月 区分 作品名 ブランド
1994年 雑貨 Bath Mat(バスマット) Droog Design
1994年 花瓶 Soft Urn(ソフト・アーン) Droog Design
1994年 花瓶 Soft Vase(ソフト・ベース)シリーズ Droog Design
1997-98年 テーブルウェア B-Set(B-セット) Royal Tichelaar Makkum / Jongeriuslab
2001年 家具 My Soft Office(マイ・ソフト・オフィス)シリーズ Jongeriuslab
2002年 テキスタイル Repeat(リピート) Maharam
2002年 テキスタイル Repeat Dot Print(リピート・ドット・プリント) Maharam
2002年 テキスタイル Repeat Classic Stripe(リピート・クラシック・ストライプ) Maharam
2003年 花瓶 Colored Vases(カラード・ベース)第1シリーズ Jongeriuslab
2005年 ソファ Polder Sofa(ポルダーソファ) Vitra
2005年 花瓶 Large Perforated Ceramic Vase(大型穴あきセラミック花瓶) IKEA
2007年 花瓶 Colored Vases(カラード・ベース)第2シリーズ Jongeriuslab
2007年 インスタレーション Inside Colours(インサイド・カラーズ) Vitra Design Museum
2009年 テーブル Frog Table(フロッグ・テーブル) Galerie kreo
2010年 花瓶 Colored Vases(カラード・ベース)第3シリーズ Jongeriuslab
2010年 花瓶 300 Unique Vases(300点のユニーク花瓶) Royal Tichelaar Makkum
2011年 インスタレーション The Daylight Wheel(ザ・デイライト・ホイール) Jongeriuslab
2012年 インテリア KLM Boeing 747 Business Class Cabin Interior KLM Royal Dutch Airlines
2013年 インテリア North Delegates' Lounge(北代表団ラウンジ) United Nations Headquarters(Rem Koolhaasと共同)
2014年 ラグ Rug Collection(ラグコレクション) Danskina
2015年 インテリア KLM Boeing 787 Dreamliner Cabin Interior KLM Royal Dutch Airlines
2015年 テキスタイル Plaid Throws Collection(ブランケットコレクション) TextielMuseum(Studio Truly Truly、Simone Postと共同)
2015年 ソファ Polder Sofa(ポルダーソファ)アップデート版 Vitra
2015年 家具 Alvar Aalto 901 Tea Trolley(901ティートローリー)新バージョン Artek
2016年 システム Vitra Colour & Material Library(カラー&マテリアル・ライブラリー) Vitra
2017年 ラグ Landscape(ランドスケープ) Danskina
2019年 インスタレーション Space Loom #1(スペース・ルーム#1) Lafayette Anticipations / Jongeriuslab
2019年 インスタレーション Breathing Colour(ブリージング・カラー) Nationalmuseum Stockholm / Jongeriuslab
年代不詳 椅子 East River Chair(イースト・リバー・チェア) Vitra
年代不詳 椅子 Worker Chair(ワーカー・チェア) Vitra
年代不詳 家具 Coat Dots(コート・ドット) Vitra
年代不詳 クッション Seat Dot Cushions(シート・ドット・クッション) Vitra
年代不詳 家具 Colour Block Blanket(カラー・ブロック・ブランケット) Vitra
年代不詳 陶磁器 Nymphenburg Sketches(ニンフェンブルク・スケッチ) Porzellan Manufaktur Nymphenburg
年代不詳 陶磁器 Four Seasons(フォー・シーズンズ)コレクション Porzellan Manufaktur Nymphenburg
年代不詳 陶磁器 Animal Bowls(アニマル・ボウル) Porzellan Manufaktur Nymphenburg
年代不詳 花瓶 Giant Prince Embroidered Ceramic Vase(巨大プリンス刺繍入り陶器花瓶) Jongeriuslab
年代不詳 花瓶 Groove and Long Neck Bottles(グルーヴ&ロングネック・ボトル) Jongeriuslab
年代不詳 花瓶 Red White Vase(レッド・ホワイト・ベース) Royal Tichelaar Makkum / Jongeriuslab
年代不詳 花瓶 Big White Pot(ビッグ・ホワイト・ポット) Royal Tichelaar Makkum / Jongeriuslab
年代不詳 インスタレーション Colour Recipe Research(カラー・レシピ・リサーチ) MAK Vienna(Hans Ulrich Obristキュレーション)
年代不詳 インスタレーション A Search behind Appearances(外見の背後への探求) Serpentine Galleries(Louise Schouwenbergと共同)
年代不詳 テキスタイル Multiple textile collections Maharam、Kvadrat、TextielMuseum
2025年 家具 Unfoldable Cubes(アンフォルダブル・キューブ) 展示:MoMA "Pirouette: Turning Points in Design"

Reference

Hella Jongerius - Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Hella_Jongerius
Hella Jongerius – Design Within Reach
https://www.dwr.com/designer-hella-jongerius
Hella Jongerius - Galerie kreo
https://www.galeriekreo.com/en/designer/hella-jongerius/
Who is Hella Jongerius? - nest.co.uk
https://www.nest.co.uk/hella-jongerius-a-master-of-colour
Hella Jongerius - Lafayette Anticipations
https://www.lafayetteanticipations.com/en/artiste/hella-jongerius
Hella Jongerius - Official Vitra® Website
https://www.vitra.com/en-pt/about-vitra/designer/details/hella-jongerius
Hella Jongerius - STYLEPARK
https://www.stylepark.com/en/designer/hella-jongerius
Woman Made: Hella Jongerius - Phaidon
https://www.phaidon.com/agenda/design/articles/2021/october/13/woman-made-hella-jongerius/
Hella Jongerius - Artsy
https://www.artsy.net/artist/hella-jongerius/about
Bringing Personality to Mass Production - RISD
https://www.risd.edu/news/stories/dutch-designer-hella-jongerius-speaks-at-risd
Hella Jongerius, Designer - Archiproducts
https://www.archiproducts.com/en/designers/hella-jongerius
Sikkens Prize 2017 for Hella Jongerius
https://www.sikkensprize.org/en/nieuws/sikkens-prize-for-hella-jongerius/
Hella Jongerius - Sikkens Prize
https://www.sikkensprize.org/en/winnaar/hella-jongerius-2/
News - Jongeriuslab design studio
http://www.jongeriuslab.com/news
Hella Jongerius B Set - Cooks & Poets
https://cooksandpoets.com/shop/b-set-large-bowl
Hella Jongerius - Pamono
https://www.pamono.eu/designers/hella-jongerius
Hella Jongerius - smow
https://www.smow.com/hella-jongerius/
Hella Jongerius - Dezeen
https://www.dezeen.com/tag/hella-jongerius/
Design History Mashup: Hella Jongerius
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