概要

フランク・ロイド・ライト(1867-1959)は、アメリカの建築家である。約70年にわたる活動で1,000件を超える建築を設計し、そのうち532件が実現した。家具も多くは特定の建物の室内のために設計しており、1903年設計のラーキン・ビルの金属製事務用家具や、1936年からのジョンソン・ワックス社本社の家具などがある。

バイオグラフィー

1867年6月8日、ウィスコンシン州リッチランドセンターに生まれた。1886年からウィスコンシン大学マディソン校に特別学生として在籍し、土木工学を学んだが、学位を取らずに去っている。

1887年にシカゴへ移り、同年のうちにアドラー&サリヴァン事務所に入った。ルイス・サリヴァンのもとで6年間働き、1893年に独立した。独立後の最初の仕事はウィリアム・H・ウィンズロー邸である。

1932年、妻オルギヴァンナとともにタリアセン・フェローシップを設立した。1936年にジョンソン・ワックス社本社の設計を始め、1943年にはグッゲンハイム美術館の設計を依頼されている。1959年4月9日、アリゾナ州フェニックスで没した。グッゲンハイム美術館はその半年後の同年10月に開館した。

デザインの思想と方法

ライトの家具は、大半が特定の建物の室内のために設計されている。ジョンソン・ワックス社本社の家具が建物内部の円形や煉瓦の色と呼応するように、家具の形は建物から導かれた。

建物の要請から家具の形を決める

ラーキン・ビルの事務用家具は、建物の耐火性に合わせて金属でつくられた。机の脚に椅子を取り付けて回転できるようにしたのは、床の掃除をしやすくするためでもあった。

直線から曲面へ

1904年のバレルチェアの円形は、ライトのそれまでの直線的な家具からの転換にあたる。1937年には、邸宅の広い居室と高い天井に合わせて大きくした版が設計された。

代表作にみる方法

ラーキン・ビルの事務用家具(1904-06年ごろ)

ニューヨーク州バッファローの事務所ビル(1903年設計、1904-06年建設、1950年解体)のために設計した家具である。V&Aによれば、当時の金属家具は書類棚や戸棚が中心だった。V&Aとメトロポリタン美術館が椅子を収蔵している。

バレルチェア(1904年、1937年版)

バッファローのダーウィン・D・マーティン邸のために設計した、円形の座面と広がった円筒形の背をもつ椅子である。1937年には、ハーバート・F・ジョンソンの邸宅ウィングスプレッド用に大きくした版が設計された。1986年にカッシーナがライトの家具の複製権を財団から取得している。→バレルチェア

ジョンソン・ワックス社の事務用家具(1936-39年)

ウィスコンシン州ラシーンの本社の室内のために設計した家具である。椅子は3本脚で、安定性の問題から後に4本脚の版がつくられた。机は作業面が段状に張り出し、引き出しはスライドせず回転して開く。シカゴ美術館が机と椅子を収蔵している。

タリアセン テキスタイル(1955年)

F・シューマッハ社の「タリアセン・ライン」として製造された、織物・壁紙の系列である。ニューヨーク近代美術館とメトロポリタン美術館が収蔵している。

評価と影響

2019年、落水荘、グッゲンハイム美術館、ユニティ・テンプル、タリアセン・ウェストなど8件が「フランク・ロイド・ライトの20世紀建築作品群」としてユネスコの世界遺産に登録された。

収蔵

ニューヨーク近代美術館(MoMA)は「Frank Lloyd Wright Archive」として図面・資料など804点を収蔵しており、以下には含めていない。MoMA、V&A、Met、AICの公開データで確認できた家具・テキスタイル・建具のうち、本文で触れたものを中心に抜粋する(Metの走査は上限に達したため、全点ではない)。

  • MoMA サイドチェア(1904年) 収蔵番号 202.1947.1-2
  • MoMA オフィス アームチェア(1904-06年) 収蔵番号 185.1948
  • MoMA ファイアドッグ(1909年) 収蔵番号 509.1990.1-2
  • MoMA アームチェア(1925年頃) 収蔵番号 203.1947
  • MoMA デスク(1936-39年) 収蔵番号 341.1969
  • MoMA オフィスチェア(1938年頃) 収蔵番号 240.1975
  • MoMA タリアセン テキスタイル(1955年) 収蔵番号 1170.2013.1-2 ほか計4点
  • V&A アームチェア(1904年) 収蔵番号 W.43-1981
  • Met サイドチェア(1904年頃) 収蔵番号 1979.302
  • Met ラーキン・ビルのサイドチェア(1904年頃) 収蔵番号 2023.480
  • Met シューマッハ「タリアセン・ライン」(1955年) 収蔵番号 1999.255a, b
  • AIC スピンドル キューブチェア(1902-06年) 収蔵番号 2007.79
  • AIC ダーウィン・D・マーティン邸「生命の樹」窓(1904年) 収蔵番号 1972.297
  • AIC アームチェア(1908年) 収蔵番号 1970.435
  • AIC デスク(1908年) 収蔵番号 1972.304
  • AIC クーンリー・プレイハウスの三連窓(1912年) 収蔵番号 1986.88
  • AIC デスク(1937-39年) 収蔵番号 1972.310
  • AIC アームチェア(1937-39年) 収蔵番号 1972.311

作品一覧

家具・製品

年 区分 作品名 ブランド / 場所
1904年 椅子 バレルチェア Cassina(複製)
1904-06年 家具 ラーキン・ビルの事務用家具 ニューヨーク州バッファロー
1936-39年 家具 ジョンソン・ワックス社の事務用家具 ウィスコンシン州ラシーン
1955年 テキスタイル タリアセン テキスタイル Schumacher
1904年 建具 ダーウィン・D・マーティン邸「生命の樹」窓 ニューヨーク州バッファロー
1912年 建具 クーンリー・プレイハウスの三連窓 イリノイ州リヴァーサイド

建築(抜粋)

年 区分 作品名 場所
1904-06年 オフィス ラーキン・ビル(1950年解体) ニューヨーク州バッファロー
1906-09年 宗教施設 ユニティ・テンプル イリノイ州オークパーク
1909-10年 住宅 ロビー邸 イリノイ州シカゴ
1919-23年 ホテル 帝国ホテル(1968年までに解体) 東京、日本
1936-37年 住宅 落水荘 ペンシルベニア州
1936-39年 オフィス ジョンソン・ワックス社 本社 ウィスコンシン州ラシーン
1956-59年 美術館 グッゲンハイム美術館 ニューヨーク、アメリカ

プロフィール

生没年 1867年6月8日〜1959年4月9日
出身地 アメリカ・ウィスコンシン州リッチランドセンター
国籍 アメリカ
活動拠点 シカゴ、ウィスコンシン州、アリゾナ州
分野 建築、家具、テキスタイル、建具
主な協働ブランド Cassina(複製)

Reference

Frank Lloyd Wright Foundation, Frank Lloyd Wright
https://franklloydwright.org/frank-lloyd-wright/
UNESCO World Heritage Centre, The 20th-Century Architecture of Frank Lloyd Wright
https://whc.unesco.org/en/list/1496
MoMA, Office Armchair (185.1948)
https://www.moma.org/collection/works/2415
MoMA, Taliesin textile (Design 101)
https://www.moma.org/collection/works/174045
V&A, Armchair for the Larkin Administration Building (W.43-1981)
https://collections.vam.ac.uk/item/O112088
The Metropolitan Museum of Art, Side Chair (1979.302)
https://www.metmuseum.org/art/collection/search/1695
The Metropolitan Museum of Art, Side chair from the Larkin Building (2023.480)
https://www.metmuseum.org/art/collection/search/1699
The Art Institute of Chicago, Desk (1972.310)
https://www.artic.edu/artworks/38877/desk
High Museum of Art, Desk and Chair
https://high.org/collection/desk-and-chair/
Vitra, Miniatures Collection Barrel Chair
https://www.vitra.com/en-au/product/details/miniatures-collection-barrel-chair
smow Blog, The Larkin Administration Building by Frank Lloyd Wright
https://www.smow.com/blog/2020/06/officetour-milestones-the-larkin-administration-building-by-frank-lloyd-wright/
Wikipedia, Frank Lloyd Wright
https://en.wikipedia.org/wiki/Frank_Lloyd_Wright
Wikipedia, Larkin Administration Building
https://en.wikipedia.org/wiki/Larkin_Administration_Building
Wikipedia, Unity Temple
https://en.wikipedia.org/wiki/Unity_Temple
Wikipedia, Robie House
https://en.wikipedia.org/wiki/Robie_House
Wikipedia, Imperial Hotel, Tokyo
https://en.wikipedia.org/wiki/Imperial_Hotel,_Tokyo
Wikipedia, Fallingwater
https://en.wikipedia.org/wiki/Fallingwater
Wikipedia, Johnson Wax Headquarters
https://en.wikipedia.org/wiki/Johnson_Wax_Headquarters
Wikipedia, Solomon R. Guggenheim Museum
https://en.wikipedia.org/wiki/Solomon_R._Guggenheim_Museum
Wikipedia, Cassina (company)
https://en.wikipedia.org/wiki/Cassina_(company)