概要
フランク・ロイド・ライト(1867-1959)は、アメリカの建築家である。70年を超える活動で400以上の建物を実現した。家具は建物ごとに設計され、その空間のためだけに作られる。1904年のラーキン・ビルの事務用家具、1937年からの落水荘の家具などがある。既製品を置くのではなく、建物と一体で構成するという立場をとった。
バイオグラフィー
1867年6月8日、ウィスコンシン州リッチランドセンターに生まれた。ウィスコンシン大学で工学を学んだが、課程を終えずに離れている。
1887年にシカゴへ移り、1888年からルイス・サリヴァンの事務所に勤めた。1893年に独立している。
1900年代にプレーリー様式と呼ばれる住宅の系列を確立した。1904年のラーキン・ビル、1906年のユニティ・テンプルなどを手がけている。
1932年にタリアセン・フェローシップを設立し、教育を始めた。1937年の落水荘、1959年のグッゲンハイム美術館などがある。1959年4月9日に没した。
デザインの思想と方法
ライトが一貫してとったのは、建物と家具を分けないという立場である。既製品を置けば、建物の寸法体系と家具の寸法体系が食い違う。同じ設計者が両方を決めれば、この不一致は生じない。
建物の寸法体系を家具に適用する
建物の平面が正方形の格子で構成されていれば、家具もその格子に合わせる。卓の位置、椅子の向き、収納の幅が、建物の割付から決まる。家具は建物の一部として扱われる。
垂直の線を強調する
初期の椅子は、背もたれに細い縦材を並べる構成をとる。背が高く、線が垂直に連続する。座り心地より、空間の中での見え方が優先される場合もある。
床に固定する
ラーキン・ビルの事務用椅子は、床または机に固定された。位置が動かないため、平面の構成が保たれる。清掃のしやすさも条件に含まれる。
建物ごとに設計する
家具は個々の建物のために設計され、量産を前提としない。同じ設計が他の建物で使われることは少ない。後年、一部が製品として再生産されている。
代表作にみる方法
ラーキン・ビルの事務用家具(1904-06年)
事務所の建物のために設計した家具である。椅子は床または机に固定され、位置が動かない。金属を用いた事務用家具の早い例にあたる。ニューヨーク近代美術館とシカゴ美術館が収蔵している。
バレルチェア(1904年、1937年)
円弧を描く背もたれに細い縦材を並べた椅子である。1904年のダーウィン・マーティン邸のために設計され、1937年のウィングスプレッドでも用いられた。後年に再生産されている。→バレルチェア
ジョンソン・ワックス社の事務用家具(1936-39年)
建物と同時に設計された家具である。3本脚の椅子と、曲線を持つ机で構成される。ニューヨーク近代美術館とシカゴ美術館が収蔵している。
タリアセン テキスタイル(1955年)
幾何学の図形を組み合わせた織物の系列である。建物のためではなく、製品として設計された数少ない例にあたる。ニューヨーク近代美術館が複数点を収蔵している。
ステンドグラスの窓
住宅の窓に幾何学の図形を組み合わせたステンドグラスを用いた。シカゴ美術館が複数点を収蔵している。建物の一部でありながら、独立した作品としても扱われる。
評価と影響
ライトは一般に、20世紀アメリカの建築を代表する設計者と評価されている。70年を超える活動で400以上の建物を実現した。
家具については、建物と一体で設計するという立場が一貫している。既製品を置かないため、量産を前提としない。後年に一部が製品として再生産されている。
1932年に設立したタリアセン・フェローシップでは、実務を通じた教育を行った。ニューヨーク近代美術館は「Frank Lloyd Wright Archive」として804点を収蔵しており、その大半は図面と資料にあたる。
収蔵
4館のAPI(MoMA、V&A、Met、AIC)で照合したところ、図面と資料を含めて計1,060件が確認できた。とくにMoMAは「Frank Lloyd Wright Archive」として804点を収蔵しており、その大半は図面と模型にあたる。以下は家具・テキスタイル・建具に限った抜粋である。
- MoMA サイドチェア(1904年) 収蔵番号 202.1947.1-2
- MoMA オフィス アームチェア(1904-06年) 収蔵番号 185.1948
- MoMA ファイアドッグ(1909年) 収蔵番号 509.1990.1-2
- MoMA アームチェア(1925年頃) 収蔵番号 203.1947
- MoMA デスク(1936-39年) 収蔵番号 341.1969
- MoMA オフィスチェア(1938年頃) 収蔵番号 240.1975
- MoMA タリアセン テキスタイル(1955年) 収蔵番号 1170.2013.1-2 ほか計4点
- AIC スピンドル キューブチェア(1902-06年) 収蔵番号 2007.79
- AIC ダーウィン・D・マーティン邸「生命の樹」窓(1904年) 収蔵番号 1972.297
- AIC アームチェア(1908年) 収蔵番号 1970.435
- AIC デスク(1908年) 収蔵番号 1972.304
- AIC クーンリー・プレイハウスの三連窓(1912年) 収蔵番号 1986.88
- AIC デスク(1937-39年) 収蔵番号 1972.310
- AIC アームチェア(1937-39年) 収蔵番号 1972.311
作品一覧
家具・製品
| 年 | 区分 | 作品名 | ブランド / 場所 |
|---|---|---|---|
| 1904年 | 椅子 | バレルチェア | Cassina(再製作) |
| 1904-06年 | 家具 | ラーキン・ビルの事務用家具 | ニューヨーク州、アメリカ |
| 1936-39年 | 家具 | ジョンソン・ワックス社の事務用家具 | ウィスコンシン州、アメリカ |
| 1955年 | テキスタイル | タリアセン テキスタイル | Schumacher |
| 1900-50年代 | 建具 | ステンドグラスの窓 | アメリカ各地 |
建築(抜粋)
| 年 | 区分 | 作品名 | 場所 |
|---|---|---|---|
| 1904年 | オフィス | ラーキン・ビル | ニューヨーク州バッファロー |
| 1906年 | 宗教施設 | ユニティ・テンプル | イリノイ州オークパーク |
| 1910年 | 住宅 | ロビー邸 | イリノイ州シカゴ |
| 1923年 | ホテル | 帝国ホテル | 東京、日本 |
| 1937年 | 住宅 | 落水荘 | ペンシルベニア州 |
| 1939年 | オフィス | ジョンソン・ワックス社 本社 | ウィスコンシン州 |
| 1959年 | 美術館 | グッゲンハイム美術館 | ニューヨーク、アメリカ |
プロフィール
| 生没年 | 1867年6月8日〜1959年4月9日 |
|---|---|
| 出身地 | アメリカ・ウィスコンシン州 |
| 国籍 | アメリカ |
| 活動拠点 | シカゴ、ウィスコンシン州、アリゾナ州 |
| 分野 | 建築、家具、テキスタイル、建具 |
| 主な協働ブランド | Cassina(再製作) |
Reference
- Frank Lloyd Wright Foundation
- https://franklloydwright.org/
- Frank Lloyd Wright Archive | The Museum of Modern Art
- https://www.moma.org/collection/works/2325
- The Art Institute of Chicago Collection
- https://www.artic.edu/collection
- The Metropolitan Museum of Art Collection
- https://www.metmuseum.org/art/collection