概要
アルド・ロッシ(1931-1997)は、イタリアの建築家である。1966年の著作『都市の建築』で、都市を歴史的に積み重なった構築物として論じた。設計では、円錐、円筒、直方体といった基本の立体を組み合わせる構成をとり、アレッシィのための器物にも同じ立体を用いた。
バイオグラフィー
1931年5月3日、ミラノに生まれた。ミラノ工科大学で建築を学び、1959年にピエロ・ポルタルッピの指導のもとで卒業している。
1955年、エルネスト・ネイサン・ロジャースに招かれて雑誌『Casabella-continuità』に関わり、1964年まで編集に携わった。1966年に『都市の建築』を刊行している。
1971年のモデナの共同墓地(サン・カタルド墓地)の競技設計で、ジャンニ・ブラギエーリとの案が一等を得た。1979年にはヴェネツィア・ビエンナーレのために水上の劇場「世界劇場」を設計している。
1980年代初めからアレッシィと協働し、1983年のティー&コーヒー ピアッツァを皮切りに器物を手がけた。1990年、イタリア人として初めてプリツカー賞を受けた。1997年9月4日、自動車事故によりミラノで没している。
デザインの思想と方法
ロッシが論じたのは、建築の形は個人の発想からではなく、都市に蓄積された類型から来るという考え方である。円錐の屋根、円筒の塔、方形の窓といった要素は、歴史的に繰り返し使われてきた。設計は、これらを選んで組み合わせる作業になる。
基本の立体を組み合わせる
建築でも器物でも、円錐、円筒、直方体という単純な立体を組み合わせる。それぞれの立体は既存の類型に対応し、新たに造形するのではなく選ぶという操作になる。
同じ構成を建築と器物に使う
円錐の屋根を持つ塔、円蓋を載せた建物といった建築の形式を、寸法を変えてコーヒーポットや湯沸かしに用いた。名称にも建築の語を充てている。
図面と絵画を並行して制作する
設計図とは別に、建築を主題とする絵画とドローイングを多数残した。実現しない構想も図として制作されている。
代表作にみる方法
モデナの共同墓地(1971年〜)
ジャンニ・ブラギエーリと共同で競技設計に一等を得た墓地の拡張である。方形の孔をうがった立方体の納骨堂と、共同墓所を示す円錐の塔を置き、納骨壁を収めた長い棟が周囲を囲む。工事は段階的に進められた。
世界劇場(1979年、ヴェネツィア)
ヴェネツィア・ビエンナーレのために制作した水上の劇場である。鋼管の骨組みを木の板で覆い、曳航してプンタ・デラ・ドガーナに係留した。シカゴ美術館がこの劇場を描いた素描を収蔵している。
ラ・コニカ(1984年、アレッシィ)
円錐の屋根を持つ塔の形をとるコーヒーメーカーである。アレッシィはティー&コーヒー ピアッツァから派生した製品と位置づけ、1984年に生産を始めた。V&Aが製品を収蔵している。→ラ・コニカ
イル・コニコ(1986年、アレッシィ)
円錐の形をした湯沸かしである。V&Aが収蔵している(収蔵番号M.6&A-1990)。
ラ・クーポラ(1988年、アレッシィ)
円蓋を載せた建物の形式による直火式のコーヒー沸かしで、名称はイタリア語で「円蓋」を意味する。V&Aが同製品の販促用印刷物を収蔵している。→ラ・クーポラ
評価と影響
ロッシは一般に、20世紀後半の建築理論を代表する人物の一人と評価されている。『都市の建築』はイタリア語の初版ののち複数の言語に翻訳された。
受賞・収蔵
受賞
- 1990年 プリツカー賞
収蔵
4館のAPI(MoMA、V&A、Met、AIC)で照合したところ、図面と資料を含めて計33件が確認できた。以下は主要なものの抜粋である。
- MoMA モデナの共同墓地の平面図・鳥瞰図ほか(1971-1972年、ジャンニ・ブラギエーリと共同) 収蔵番号 1282.2000、1287.2000ほか
- MoMA パリジ・アームチェア(1989年) 収蔵番号 1288.2018
- AIC ムッジョ市庁舎の設計素描(1972年) 収蔵番号 1987.347
- AIC アメリカン・カテドラル 第2案の素描(1977年) 収蔵番号 1987.345
- AIC 世界劇場とエルバの小屋の素描(1981年) 収蔵番号 1991.154.1、1991.154.2
- AIC 海辺の構築物(1981年) 収蔵番号 1991.154.3
- V&A ラ・コニカ 収蔵番号 M.5 to C-1990
- V&A コーヒーポット、ティーポットほか(1983年頃) 収蔵番号 M.57-1988、M.57A-1988ほか
- V&A イル・コニコ(1986年) 収蔵番号 M.6&A-1990
- V&A プレス式コーヒーメーカー 9094(1986年) 収蔵番号 M.7 to B-1990
- V&A ラ・クーポラの販促用印刷物(1988年) 収蔵番号 E.1973-1991
- Met 書籍『ラ・コニカとその他のコーヒーポット』(1984年) 収蔵番号 1987.1142.2
- Met ミラノ会議場の習作(1988年) 収蔵番号 2001.375
作品一覧
| 年 | 区分 | 作品名 | ブランド / 場所 |
|---|---|---|---|
| 1966年 | 著作 | 『都市の建築』 | — |
| 1971年〜 | 建築 | モデナの共同墓地(ジャンニ・ブラギエーリと共同) | モデナ、イタリア |
| 1979年 | 建築 | 世界劇場 | ヴェネツィア、イタリア |
| 1983年 | 器物 | ティー&コーヒー ピアッツァ | Alessi |
| 1984年 | 器物 | ラ・コニカ | Alessi |
| 1986年 | 器物 | イル・コニコ | Alessi |
| 1988年 | 器物 | ラ・クーポラ | Alessi |
| 1989年 | 建築 | ホテル・イル・パラッツォ | 福岡、日本 |
| 1989年 | 家具 | パリジ・アームチェア | UniFor |
| 1995年 | 建築 | ボンネファンテン美術館 | マーストリヒト、オランダ |
プロフィール
| 生没年 | 1931年5月3日〜1997年9月4日 |
|---|---|
| 出身地 | イタリア・ミラノ |
| 国籍 | イタリア |
| 活動拠点 | ミラノ |
| 分野 | 建築、器物、家具、著述、絵画 |
| 主な協働ブランド | Alessi、Molteni&C、UniFor |
Reference
- Fondazione Aldo Rossi — Biografia
- https://www.fondazionealdorossi.org/biografia/
- The Pritzker Architecture Prize — Aldo Rossi, 1990 Laureate
- https://www.pritzkerprize.com/laureates/1990
- Atlante Architettura Contemporanea — Cimitero di San Cataldo
- https://atlantearchitetturacontemporanea.cultura.gov.it/en/cimitero-di-san-cataldo/
- Alessi — La conica espresso coffee maker
- https://uk.alessi.com/products/la-conica-espresso-coffee-maker
- Victoria and Albert Museum — La Conica (M.5 to C-1990)
- https://collections.vam.ac.uk/item/O146020/