Poliform(ポリフォーム)

Poliform(ポリフォーム)は、1970年に正式設立されたイタリアの家具ブランドです。北イタリアのブリアンツァ地方を拠点に、システム収納をルーツとしながら、リビング、寝室、キッチンまで居住空間のあらゆるエレメントを一つのブランドで提供しています。世界95か国に展開し、ラグジュアリーなインテリアをトータルで手がけるブランドとして知られています。

ブランド名「Poliform」は、「Poly(多様な)」と「Form(形)」を組み合わせた造語で、多様なデザインや機能を持つ家具、そして重なり合うことで響き合う空間を提供するという理念を表しています。「ポリフォーム・ハウス」というコンセプトのもと、クラフトマンシップと生産技術を組み合わせた製品づくりを続けています。

ブランドの歩み

工房から工業へ

Poliformの起源は、1942年にイタリア・ブリアンツァ地方のインヴェリーゴで、スピネッリ家とアンザニ家が設立した小さな家具工房にあります。ブリアンツァは、カッシーナやアルフレックスといったイタリアを代表するインテリアブランドの発祥地としても知られ、家具製造の伝統が根づく地域です。

1970年、創業者の子であるアルベルト・スピネッリ、アルド・スピネッリ、ジョバンニ・アンザニの3名が、この家族経営の工房を工業的な企業へと転換し、社名を「Poliform」に改めました。創業当初から自動化された生産ラインへの投資を進め、製品とその生産を規格化された構造へと進化させていきます。1980年代には、モジュール式で拡張性のあるシステムファニチャーを展開し、特に家庭向けワードローブで大きな成功を収め、1990年代にはヨーロッパ市場へと進出しました。

1996年には、イタリアのキッチンブランド「Varenna」を取得し、コレクションにキッチンを加えました。これにより、住まい全体をシステム家具で統一する「ポリフォーム・ハウス」の体制が整います。2006年には初のソファとアームチェアのコレクションを発表し、居住空間のすべてをカバーするブランドへと広がりました。なお、2018年にはキッチン部門のVarennaもPoliformブランドへと統合され、ブランドの一体化が進みました。

2018年には、イタリアデザイン界への貢献に対して、3名の創業者にADIコンパッソ・ドーロ生涯功労賞(Compasso d'Oro alla Carriera)が授与されました。創業者は現在も経営に携わり、ブランドの発展を導いています。

デザイン哲学:「ポリフォーム・ハウス」

住まい全体を一つのブランドで

Poliformの核となるのが「ポリフォーム・ハウス」というコンセプトです。リビングダイニング(デイエリア)、寝室(ナイトエリア)、キッチンに至るまで、居住空間のすべてのエレメントを一つのブランドで提供するという包括的なアプローチです。家具とキッチンを同じ仕上げでデザインできるため、住まい全体に統一感が生まれます。

Poliformは、規格化された独自の構造によって幅広い選択肢を用意し、さまざまな条件に適応できるモジュラーシステムを構築しています。技術研究の成果として生まれたこのシステムは、柔軟性と拡張性を備え、顧客のニーズに合わせたカスタマイズを可能にしています。

品質と持続可能性

創業当初から自動化された生産ラインを活用する一方で、最高品質を支えるために熟練した職人の技も重視し、伝統的なクラフトマンシップと最新の設備を組み合わせて100%「メイド・イン・イタリー」の製品を生み出しています。製品は厳格な耐久試験を経て市場に送り出され、強化ガラスや高圧ラミネートなど耐久性の高い素材が用いられています。

環境への取り組みとして、再生可能エネルギーの利用や、森林管理協議会(FSC)認証を受けたサプライヤーからの素材調達を進めています。カタログやブロシュアにも認証された森林由来の紙を使用しています。

主要デザイナーと代表作

Poliformの製品は、世界的に著名なデザイナーや建築家との協働から生まれています。

ジャン・マリー・マソー(Jean-Marie Massaud)

フランス人デザイナーのジャン・マリー・マソーは、Poliformのデザインディレクターを務め、ブランドの美学を象徴する存在です。パリの国立高等産業デザイン学校(ENSCI)を卒業後、2000年にスタジオを設立し、家具から建築まで幅広く活動しています。B&B Italia、Axor Hansgrohe、Poltrona Frau、Lancôme、Renaultなど、数多くのブランドと協働してきました。

Poliformでの代表作には、有機的なフォルムの「Saint-Germain」ソファ、円形にレイアウトできるモジュールを揃えた「Brera」ソファシステム、1980年代から90年代のクラブを思わせる「Le Club」アームチェア、そして2024年発表の「Ernest」ソファシステムがあります。Ernestは2025年にEDIDA(Elle Deco International Design Award)の「シーティング」部門を受賞しました。マソーは、進化し続ける住まいのビジョンを示す「ドメスティック・ランドスケープ」という考え方を語っており、これは1972年のMoMA展「Italy: The New Domestic Landscape」が紹介したイタリアデザインの精神を引き継ぐものでもあります。

エマニュエル・ガリーナ(Emmanuel Gallina)

イタリア系フランス人デザイナーのエマニュエル・ガリーナは、ダイニングテーブル「Concorde」のデザイナーとして知られています。無垢材の温かみを生かしたデザインで、ウォールナット、オーク、エルムなどの木材のほか、ガラスや大理石など多様な仕上げで提供されています。続いて発表された「Curve」ダイニングテーブルは、角も直線もない緩やかなフォルムの天板と、天板下で交差する脚が特徴です。脚をつなぐクロスピースにはウッドのほかハイドレザーも選べ、同シリーズのチェアと張地を合わせることができます。

マルセル・ワンダース(Marcel Wanders)

オランダのデザイナー、マルセル・ワンダースが手がけた「Dream」ベッドシステムは、ヘッドボードとして用いられるパネルで構成され、生地や色をカスタマイズできるシステムです。また、固定ソファ、オットマン、3サイズのアームチェアで構成される「Gentleman」コレクションも手がけています。

カルロ・コロンボ(Carlo Colombo)

イタリアの建築家兼デザイナーであるカルロ・コロンボは、キッチンコレクションで重要な役割を果たしています。「Trail」キッチン(2015年)は、一体型の面取りされたハンドル、薄いワークトップ、バックライト付きのオープンキャビネットが特徴です。「Twelve」キッチン(2009年)は、ハンドルのないデザインと12mmの扉厚(これが名前の由来)により、ミニマルなシステムを実現しています。

パオロ・ピヴァ(Paolo Piva)/ロドルフォ・ドルドーニ(Rodolfo Dordoni)

建築家兼デザイナーのパオロ・ピヴァがデザインした「Alea」キッチン(2003年)は、フラットな面と幾何学的なボリュームによる直線的なスタイルが特徴で、薄いワークトップとダイニングと一体化したスナックカウンターなど、操作性を含めて設計されています。ミラノを拠点とするロドルフォ・ドルドーニは、ヘッドボードにジャケットのラペルから着想を得た「Rever」ベッドや、柔らかさを重視した「Laze」ベッドなどを手がけています。

その他のデザイナー

このほかにも、ダニエル・リベスキンド(Daniel Libeskind)、パオラ・ナヴォーネ(Paola Navone)、ヴィンセント・ヴァン・ダイセン(Vincent Van Duysen)、ロベルト・バルビエリ(Roberto Barbieri)、スタジオ・カイロス(Studio Kairos)など、国際的なデザイナー・建築家との協働を続けています。

代表的なコレクション:Senzafine

Poliformを代表するシステム収納が「Senzafine(センツァフィーネ)」です。高いモジュラー性と豊富な素材・仕上げの選択肢を備えたワードローブシステムで、基本となるモジュールをもとに、さまざまな空間に対応するワードローブやウォークインクローゼットを構成できます。

側面フレーム(ガラス製も選択可能)、バックパネル、トップ、ベース、棚で構成される構造に、開き戸、引き戸、引き出しなど多様な要素を組み合わせられます。メラミンから上質な仕上げまで幅広い素材に対応し、ガラスを用いてディスプレイケースのような構成をつくることも可能です。アクセサリーや内部フィッティングが加わり、空間に合わせて進化するシステムとなっています。

Poliform Lab

Poliformは、デザイン、マーケティング、コミュニケーション戦略を統合的に行う拠点として「Poliform Lab(ポリフォーム・ラボ)」を設けています。この施設はインテリアトレンドを注視するための窓の役割を担い、ショールーム機能やフォトスタジオ、展示機能も備えています。デザインから生まれるソリューションを継続的に研究し、技術と製品の信頼性を高める取り組みを通じて、製造ラインと新しいソリューションを生み出しています。

グローバル展開と日本

Poliformは現在、世界95か国に110以上のブランドストアと約400の販売拠点を擁し、世界各地の住宅・商業・公共プロジェクトでも採用されています。

日本市場では、株式会社アクタス(ACTUS)が長年にわたり正規代理店としてPoliformの製品を扱ってきました。2025年4月22日には、東京・南青山に日本初のブランドストア「Poliform TOKYO」がオープンしました。世界で111番目、東アジアエリアの旗艦店にあたり、2フロア・延べ約670平方メートルの空間で、邸宅を訪れたようにブランドの世界観を体感できる店舗です。1階は「DAY」、2階は「NIGHT」をテーマに構成され、ファサードにはマソーによるソファ「Saint-Germain」が据えられています。

受賞と評価

2018年には、イタリアデザイン界への貢献を讃えて、創業者にADIコンパッソ・ドーロ生涯功労賞が授与されました。コンパッソ・ドーロは1954年に設立された、イタリアで最も歴史ある権威あるデザイン賞です。

2025年には、ジャン・マリー・マソーがデザインした「Ernest」ソファシステムが、Elle Decoration誌が主催するEDIDA(Elle Deco International Design Award)2025の「シーティング」部門を受賞しました。EDIDAは、世界各国のElle Decoration編集者によって選ばれる、デザイン業界で評価の高い賞のひとつです。Poliformは、毎年開催されるミラノ・サローネ(Salone del Mobile.Milano)でも継続的に新作を発表しています。

基本情報

ブランド名 Poliform(ポリフォーム)
前身となる工房 1942年(ブリアンツァ地方インヴェリーゴ)
正式設立年 1970年
創業者 アルベルト・スピネッリ(Alberto Spinelli)、アルド・スピネッリ(Aldo Spinelli)、ジョバンニ・アンザニ(Giovanni Anzani)
本社所在地 イタリア・ブリアンツァ地方
デザインディレクター ジャン・マリー・マソー(Jean-Marie Massaud)
製造 イタリア・ブリアンツァ地方(100%メイド・イン・イタリー)
グローバル展開 世界95か国、110以上のブランドストア、約400の販売拠点
日本正規代理店 株式会社アクタス(ACTUS)
日本初ブランドストア Poliform TOKYO(東京都港区南青山五丁目4-50、2025年4月22日オープン)
主な製品カテゴリー システム収納・ワードローブ、ソファ・アームチェア、ダイニングテーブル・チェア、ベッド、キッチンシステム
公式サイト https://www.poliform.it
日本語サイト https://www.actus-interior.com/poliform/