Ligne Roset(リーン・ロゼ)

Ligne Roset(リーン・ロゼ)は、1860年の創業以来、フランスの伝統的な職人技術とコンテンポラリーなデザインを組み合わせ、家具を中心としたトータルなライフスタイルを提案するフランスのインテリアブランドです。ブランド名は「Ligne(コレクション、製品ライン)」と創業者一族の名「Roset」を組み合わせたもので、世界各国のデザイナーとのコラボレーションを通じて製品を生み出し続けています。フランス・アン県の小さな木工所から始まった企業は、今日では世界各国に直営店と取扱店のネットワークを広げる国際的なブランドへと発展しました。

ブランドヒストリー

創業から戦後復興期へ(1860年~1950年代)

1860年、創業者アントワーヌ・ロゼ(Antoine Roset、1841年~1893年)が、フランス・アン県で日傘用のステッキ(柄)を製造する小さな事業を立ち上げました。やがて息子のエミールとともに、アン県の豊富なブナ材を活かして木製の傘やステッキ、椅子のフレームなどを手がける木工所へと発展していきます。19世紀末には約30名の従業員を抱えるまでになり、日傘の需要が減少すると、培った木工技術を椅子の脚やフレーム、さらには椅子そのものの製造へと転換していきました。

第二次世界大戦後の1950年、事業を引き継いだジャン・ロゼ(Jean Roset)のもとで、ロゼ社は学校や大学、病院、高齢者施設向けのテーブル・椅子・ベッドといった業務用家具の製造へと軸足を移し、戦後フランスの公共施設の再建に対応していきました。1960年代に入ると、住宅市場へと展開を広げていきます。

モダン家具への転換期(1950年代~1960年代)

1936年に張り地を用いた家具(upholstered furniture)の製造を開始していたロゼ社は、戦後、装飾を抑えたシンプルでモダンな家具づくりへと方向を定めていきます。1960年代には、当時ヨーロッパの家具市場に登場しつつあった発泡ポリウレタンフォームなどの新素材にいち早く着目し、従来の木材や金属と組み合わせることで、新しい家具の可能性を探り始めました。この素材への取り組みが、1970年代の代表作へとつながっていきます。

ブランド確立と国際的飛躍(1970年代)

1973年は、リーン・ロゼの歴史における転換点となりました。この年、生産拠点がアン県ブリオール(Briord)へ移され、「ligne roset(リーン・ロゼ)」のブランド名が正式に定められます。そして同じ1973年、フランス人デザイナー、ミッシェル・デュカロワがデザインしたソファ「TOGO(トーゴ)」が発表されました。

木枠やフレームを一切使わず、ウレタンフォームのみで構成されたTOGOは、折りたたんだ歯磨き粉のチューブからインスピレーションを得たとされる独特のフォルムで知られています。軽量で移動が容易な座り心地は、それまでのソファの概念とは異なるもので、初めて披露されたパリのサロン・デ・ザール・メナジェ(Salon des Arts Ménagers)では、優れたデザインと価格を両立した家具に贈られるルネ・ガブリエル賞(René-Gabriel賞)を受賞しました。この成功を機に、リーン・ロゼはコンテンポラリー家具のブランドとしての位置を確立していきます。

グローバル展開と現在(1990年代~現在)

1990年代以降、リーン・ロゼは国際的なブランドへと成長を遂げました。現在では、ソファやキャビネット家具のほか、ダイニング、照明、ラグ、アクセサリー、カーテン、テーブルウェアに至るまで幅広く展開し、世界各国のデザイナーとのコラボレーションを通じてコレクションを更新し続けています。ブリオールの生産拠点を中心に製造を行い、世界各国の直営ショールームと取扱店のネットワークを通じて製品を届けています。日本においても正規販売店を通じて製品が展開されています。

ブランドの特徴とコンセプト

フランスの感性に根ざしたデザイン

リーン・ロゼのデザインの根底には、フランスの文化やテイストに根ざした感性があります。伝統と歴史を尊重しながらも新しい表現を追求する姿勢は、コンテンポラリーデザインと製品の品質に敏感な世界中の顧客から評価されています。洗練された美意識と、革新を恐れない姿勢を両立させてきた点が、ブランドの特徴といえます。

世界各国のデザイナーとのコラボレーション

リーン・ロゼの大きな特徴は、世界各国のデザイナーとの継続的なコラボレーションにあります。フランスをはじめ、ドイツ、イギリス、日本など、国籍も世代も多様なデザイナーたちと協働し、毎年新しい才能を迎え入れながらコレクションを展開しています。各デザイナーの個性を尊重しつつ、ブランドとしての一貫した美意識と品質を保つ姿勢が、製品の多様性を支えています。

新しい素材へのアプローチ

1970年代のTOGOに象徴されるように、リーン・ロゼは新しい素材と技術への取り組みを続けてきました。1960年代にヨーロッパの家具市場へ登場した発泡ポリウレタンや積層プラスチックなどの素材をいち早く採用し、伝統的な木材や金属と組み合わせることで、それまでにない家具の表現を切り拓いてきました。革新性と、快適性・耐久性を両立させる姿勢が、ものづくりの軸となっています。

トータルライフスタイルの提案

リーン・ロゼが提案するのは、個々の家具にとどまらず、空間全体を統一したコンセプトでまとめるトータルなライフスタイルです。ソファやチェアといったシーティング家具から、ダイニングテーブル、キャビネット、照明、ラグ、カーテン、テーブルウェアやアクセサリーまで、インテリアを構成する幅広い要素を扱っています。豊富な生地・カラーバリエーションにより、空間に合わせた組み合わせを選ぶことができます。

代表的なコレクションとその特徴

TOGO(トーゴ)

1973年にミッシェル・デュカロワがデザインしたTOGOは、リーン・ロゼを象徴するソファです。木枠を一切使わず、異なる比重のウレタンフォームを組み合わせて構成されており、折りたたんだ歯磨き粉のチューブを思わせる独特のフォルムが特徴です。表面のキルティング加工は、装飾であると同時に、身体の形に沿ってサポートする機能も担っています。

発表から半世紀以上を経た現在も世界各国で広く使われており、累計の販売台数は100万台を超えるとされています。軽量で移動が容易でありながら快適な座り心地を備えたこのソファは、リビングやプライベートスペース、ラウンジなど、さまざまな空間で用いられています。豊富なカラーバリエーションとサイズ展開により、空間に合わせた組み合わせが可能です。2020年には、リサイクル可能で低排出の素材を用いた製法へと更新されました。

PRADO(プラド)

2014年、ドイツ人デザイナー、クリスチャン・ウェルナーによってデザインされたPRADOは、「座ること」の可能性を追求したセパレート構造のソファです。形態の美しさを重視する従来のソファデザインに対し、PRADOは人々の生活様式や行動パターンの研究から出発し、自由で快適な座り方を実現することを目指しました。

背クッションと座面(本体)が分離した設計により、使用者は背クッションを自由に配置することができます。背クッションの底面には滑り止め加工が施され、座面に置いても床に置いても背もたれとして機能します。本体座面はシングルベッドとしても使え、来客時のゲストベッドとしても活用できます。このデザインは、ドイツの「German Design Award 2015」のホーム&デザイン部門で金賞を受賞しました。

PUMPKIN(パンプキン)

2008年、リーン・ロゼは、フランスを代表するデザイナーのひとりピエール・ポランの作品を復刻するプロジェクトを実現しました。PUMPKINは、ポランが1971年にエリゼ宮(フランス大統領官邸)のポンピドー大統領の私的空間のためにデザインした家具をもとにしたもので、その名が示すとおり、カボチャを思わせる有機的で彫刻的なフォルムが特徴です。

ポランの作品は、彫刻的で有機的なフォルムと鮮やかな色彩使いで知られ、1960〜70年代のフランスモダンデザインを象徴する存在として、今日でも高く評価されています。PUMPKINは、そのデザイン哲学とリーン・ロゼの製造技術を組み合わせた製品といえます。

主要デザイナー

Michel Ducaroy(ミッシェル・デュカロワ)

1925年、フランス・リヨン出身。家具・装飾にかかわる家系に生まれ、幼少期から家業の現場でデザインと技術にふれ、リヨンの国立美術学校(École Nationale des Beaux-Arts de Lyon)で美術教育を受けました。

1952年に独立し、1954年からリーン・ロゼと協働を開始。ウレタンフォームという当時としては新しい素材を用いたソファを手がけ、1973年の「TOGO」によってその名を広く知られるようになりました。リーン・ロゼのデザイン部門において、研究・開発・デザインの中心的な役割を担ったフランス人デザイナーです。

Pierre Paulin(ピエール・ポラン)

1927年、フランス・パリ出身。1970年の大阪万博ではフランス館のインテリアを手がけるなど、国際的な舞台で活躍しました。彫刻的で有機的なフォルムと鮮やかな色彩使いを特徴とし、1960〜70年代のフランスを代表するデザイナーのひとりとして知られています。

2008年、リーン・ロゼとのコラボレーションにより、1971年にエリゼ宮のポンピドー大統領の私的空間のためにデザインした家具を復刻した「PUMPKIN」を発表しました。フランスモダンデザインの一時代を象徴する彼の作品は、今日でも高く評価されています。

Christian Werner(クリスチャン・ウェルナー)

ドイツのデザイナー。工業デザインの教育を受けたのち、1992年に独立し、ハンブルクにデザインスタジオを設立。数多くの製品とインテリアデザインを手がけ、レッドドット賞をはじめ各国で賞を受けています。

リーン・ロゼとのコラボレーションでは、2014年の「PRADO」が代表作のひとつです。人々のライフスタイルと行動パターンの研究にもとづくセパレート構造により、German Design Award 2015で金賞を獲得しました。

Ronan & Erwan Bouroullec(ロナン&エルワン・ブルレック)

1971年生まれの兄ロナンと1976年生まれの弟エルワンによる、フランス・ブルターニュ地方出身のデザイナーユニット。1990年代後半から兄弟での活動を本格化させ、現代を代表するデザイナーユニットのひとつとして国際的に知られています。

リーン・ロゼとのコラボレーションは2000年代初頭から始まり、数多くの製品を生み出してきました。代表作には、2005年の「FACETT(ファセット)」、2009年の「CLOUDS(クラウズ)」、そして2011年にレッドドットデザイン賞を受賞した「PLOUM(プルム)」などがあります。

Marie-Christine Dorner(マリー・クリスティーヌ・ドルネル)

フランスのデザイナー兼インテリア建築家。パリのエコール・カモンド(École Camondo)を卒業後、日本での滞在を経て初の家具コレクションを発表しました。その後パリを拠点に、インテリアや家具のプロジェクトを手がけています。

リーン・ロゼをはじめ、複数のメーカーのために家具デザインを行ってきました。木や金属、磁器、竹、セラミックなど多様な素材を用いた作品を発表し、フランスと日本の双方で評価されています。

Philippe Nigro(フィリップ・ニグロ)

フランスのデザイナー。家具からインテリアまで幅広く手がけ、リーン・ロゼとのコラボレーションでは「Confluences(コンフルエンス)」ソファなどを発表しています。洗練されたコンテンポラリーなデザインを特徴としています。

基本情報

ブランド名 Ligne Roset(リーン・ロゼ)
創業 1860年
創業者 アントワーヌ・ロゼ(Antoine Roset、1841年~1893年)
創業地 フランス・アン県
ブランド設立 1973年
本社・生産拠点 フランス・アン県ブリオール(Briord)
経営 ロゼ家(同族経営)
取り扱い製品 ソファ、チェア、テーブル、キャビネット家具、照明、ラグ、カーテン、アクセサリー、テーブルウェア
協働デザイナー 世界各国のデザイナー陣
販売網 直営ショールーム約200店、取扱店1,000店以上(世界各国)
日本ライセンス契約 ドリームベッド株式会社
日本展開 東京ほか主要都市の正規販売店
公式サイト(日本) https://www.ligne-roset.jp/

リーン・ロゼが提案する価値

リーン・ロゼは、160年以上にわたる歴史のなかで、フランスの伝統的な職人技術を基盤としながら、新しい素材や技術への取り組みを続けてきました。世界各国のデザイナーとのコラボレーションを通じて、コンテンポラリーな家具を提案し続けています。

リーン・ロゼの製品は、空間に洗練された美意識をもたらし、そこで暮らす人々のライフスタイルに寄り添う存在です。TOGOに代表されるデザインは、発表から半世紀を経た今も世界各国で使われ続けています。

フランスの文化とエレガンス、革新への姿勢、そして品質。これらを組み合わせたリーン・ロゼの家具は、コンテンポラリーデザインと品質に敏感な日本の顧客にも、選択肢のひとつとして親しまれています。