エーロ・アールニオ・オリジナルズ(Eero Aarnio Originals)

エーロ・アールニオ・オリジナルズは、20世紀を代表するフィンランドのデザイナー、エーロ・アールニオが生み出した傑作家具の正規製造・販売権を有する唯一のブランドです。 2016年にヘルシンキで設立された同社は、1960年代から半世紀以上にわたり世界中の人々を魅了し続けてきたアールニオの象徴的なデザインを、フィンランドの熟練した職人たちの手によって忠実に再現しています。 ボールチェア、バブルチェア、パスティルチェア、ポニーチェアといった不朽の名作は、ポップカルチャーの精神と宇宙時代のロマンを体現し、ニューヨーク近代美術館(MoMA)やヴィクトリア&アルバート博物館、ヴィトラ・デザイン・ミュージアムなど、世界の名だたる美術館のコレクションに収蔵されています。

エーロ・アールニオ・オリジナルズの使命は、単なる家具の製造にとどまりません。 それは、デザイナー本人との緊密な協働のもと、オリジナルデザインの真正性を守り、喜びと色彩に満ちたアールニオの世界観を次世代へと継承していくことにあります。 フィンランドの伝統的な職人技と最新の持続可能な製造プロセスを融合させ、一点一点がデザイナー本人の署名入り認証書とともに届けられる、真のオリジナル作品を世界中のデザイン愛好家に届け続けています。

ブランドの特徴・コンセプト

エーロ・アールニオ・オリジナルズの核心には、「喜びと色彩のデザイン」という明確な哲学があります。 創業者エーロ・アールニオは、従来のスカンジナビアデザインが持つ禁欲的で直線的な美学から脱却し、プラスチック、ファイバーグラス、アクリルといった新素材を駆使して、有機的で遊び心に満ちた造形を追求してきました。 その作品群は、機能性を第一としながらも、見る者の心に驚きと歓びをもたらす独自の個性を備えています。

ブランドの製品は、すべてフィンランド国内で製造されています。 ファイバーグラスの成形や張り地の仕上げには、数十年にわたってアールニオ作品を手がけてきた熟練職人たちの技術が活かされており、その品質は世界最高水準を誇ります。 各製品には固有のIDラベルが付与され、デザイナー本人の署名入り認証書が同梱されることで、真正品であることが保証されます。

また、エーロ・アールニオ・オリジナルズは、オリジナルデザインの価値を守り、世界に蔓延する模倣品からの差別化を重要な使命としています。 「どれほど精巧に作られた模倣品であっても、それは盗みに他ならない」というアールニオ本人の言葉が示すように、一つのデザインが生まれるまでには長年の思索と試行錯誤があり、その知的財産を守ることは、デザイン産業全体の持続可能性にとって不可欠なのです。

ブランドヒストリー

エーロ・アールニオ・オリジナルズの物語は、2002年にまで遡ります。 若きステファン・マールベリが、エーロ・アールニオの自宅アトリエの改修工事に携わったことをきっかけに、二人の関係は始まりました。 その後、マールベリはOne Nordicの共同創業者、Hem.comのパートナーとして家具業界で実績を積み、2015年にアールニオとパートナーシップを結び、彼の象徴的なコレクションをフィンランドに取り戻すプロジェクトを開始しました。

2016年12月、エーロ・アールニオの代表的なデザイン作品の製造・販売権は、それまで製造を担っていたドイツのアデルタ社から、新設されたフィンランド企業エーロ・アールニオ・オリジナルズへと移管されました。 この移行により、アールニオの作品は故郷フィンランドに帰還し、品質管理と価格設定の両面で大きな改善がもたらされました。 ブランドはアールニオ本人との緊密な協働のもとで発展を続け、過去の名作の復刻と新たなデザインの創造を両輪として、「未来のデザインクラシック」を生み出し続けています。

90歳を超えてなお創作意欲を失わないエーロ・アールニオは、ブランドの精神的支柱であり続けています。 彼の娘たちは幼少期からミューズでありモデルであり、製品テスターでもありました。現在も事業に深く関わり、妻ピルッコは変わらず最も身近な協力者として彼を支えています。 家族とともに歩んできたアールニオのデザイン哲学は、愛と楽観主義、直感と好奇心と想像力から生まれ、それが製品一つ一つに宿っているのです。

主なインテリアとその特徴やエピソード

ボールチェア(Ball Chair)1963年

エーロ・アールニオの国際的な名声を確立した、フィンランドデザイン史に燦然と輝く傑作です。 1963年1月11日にスケッチが描かれ、1966年のケルン国際家具見本市でデビューを果たしました。 わずか1週間で30カ国以上に販売され、ヘルシンキの新聞は「世界で最もエキサイティングな椅子」と評しました。

ファイバーグラス製の球体シェルに開口部を設け、内部にクッションを配したこの椅子は、「部屋の中の部屋」と形容されます。 外界の騒音を遮断する独特の音響効果を持ち、自分だけの繭のような空間を創出します。 アールニオ自身は「ショーウィンドウに置いたら誰も素通りできない椅子を作る」と妻に語り、その言葉通りの存在感を実現しました。

制作初期には、妻ピルッコの父親が教師を務めていたサロの学校の工作室で、義兄とともに手作業でプロトタイプを制作。 当初、コカ・コーラとのコラボレーションを提案したものの拒否されるという挫折もありましたが、アスコ社との契約により製品化が実現しました。 現在、MoMA、ポンピドゥー・センター、ヴィトラ・デザイン・ミュージアムなど世界中の美術館に収蔵され、映画やミュージックビデオ、雑誌の表紙を飾り続けています。

バブルチェア(Bubble Chair)1968年

ボールチェアの発展形として1968年に誕生した、透明アクリル製の吊り下げ式チェアです。 ボールチェアで読書するには光量が不足していることに気づいたアールニオは、「透明な球体で、あらゆる方向から光が入る椅子」という着想を得ました。 しゃぼん玉のように熱したアクリルを膨らませて成形するこの技法は、幼少期に田舎で見た、風に乗って野原に漂う無数のしゃぼん玉の記憶に着想を得ています。

透明なシェルを台座に固定する美しい方法がなかったため、天井からチェーンで吊り下げる方式が採用されました。 この決断により、椅子はまるで空中に浮かぶ泡のような軽やかな印象を獲得しました。 ステンレススチールのフレームとレザークッションを備え、最大200kgの荷重に耐える堅牢性を持ちながら、その見た目は限りなく軽やかです。

バブルチェアは1960年代のデザイン美学を象徴する作品として、スタートレックをはじめとするSF映画や数々の広告、ミュージックビデオに登場してきました。 アールニオ本人にとっても最もお気に入りの作品であり、「ある意味で、バブルをデザインしたのは私ではなく、自然だ」と語っています。

パスティルチェア(Pastil Chair)1967年

錠剤(パスティーユ)のような流線形が特徴的なこのチェアは、1968年にアメリカ工業デザイン賞(AID賞)を受賞した傑作です。 ニューヨーク・タイムズ紙は「人体を支える最も理想的な形状」と評し、その革新的なエルゴノミクスを絶賛しました。

アールニオはボールチェアの内部張り地を必要としない、シンプルなファイバーグラス製の椅子を構想しました。 開口部の直径をボールチェアと同じに設定し、発泡スチロールで自らプロトタイプを彫り出して寸法と座り心地を検証。 「考えることには時間がかかるが、はっきりしたら実行は早い」という彼の言葉通り、わずか数時間で最終形が完成しました。

パスティルチェアは屋内外を問わず使用でき、さらに水に浮くという画期的な特徴を持ちます。 アールニオ本人やセレブリティたちがプールや湖畔で浮かびながら寛ぐ姿が数多く撮影され、ポップカルチャーの象徴となりました。 クッションを必要としないほど完成されたエルゴノミクスは、デザイナー自身の自信作でもあります。

ポニーチェア(Pony Chair)1973年

「椅子は椅子、椅子でしかない…しかし座るものは必ずしも椅子である必要はない」というアールニオの哲学を体現した、遊び心溢れるシートです。 1973年にデザインされ、跨って座ったり横向きに腰掛けたりと、自由な使い方ができます。

制作は、トントゥンマキの自宅ガレージをアトリエとして使っていた1972年に始まりました。 アールニオは「階段に座ることも、岩に座ることも、切り株に座ることも、馬に乗ることもできる」と考え、馬に乗るように座れる柔らかい動物型のシートを着想しました。 アスコ社で基本形が作られた後、プーマラにある一家の夏の別荘で発泡スチロールを削りながらプロトタイプを仕上げていきました。

子供向けに小さいサイズも制作されましたが、大きなポニーにも子供たちは喜んで乗りたがります。 一見、巨大なおもちゃのようでありながら、実は大人の体格に合わせてデザインされたこの作品は、「私たちは皆、大きな子供なのだから」というアールニオの言葉を体現しています。 内なる子供心を呼び覚ますこのシートは、世界で最も愛らしい椅子とも称されています。

その他の代表作品

トマトチェア(1971年)は、三つの球体の間に座面を配した独創的な構造を持ちます。 マッシュルームチェア(1961年)はアールニオ初期の傑作であり、フォーミュラチェア(1998年)はレーシングカーのシートにインスパイアされたダイナミックなデザインです。 パラベルテーブル、スクリューテーブル、コパカバーナチェアなど、椅子以外の家具デザインも数多く手がけており、ダブルバブルやスワンといった照明器具も高い評価を受けています。 近年では、子供向けのトリオリチェア(2008年コンパッソ・ドーロ受賞)やパピー、ディノなど、次世代のための遊び心あるデザインも展開しています。

デザイナー:エーロ・アールニオ

エーロ・アールニオ(1932年7月21日 ヘルシンキ生まれ)は、20世紀後半のモダンファニチャーデザインにおける最も偉大な革新者の一人です。 ヘルシンキ応用美術学校で1954年から1957年まで学び、卒業後はフィンランドを代表するデザイナー、イルマリ・タピオヴァーラやアンッティ・ヌルメスニエミのもとで研鑽を積みました。 1960年から1962年にかけてラハティのアスコ社でデザイナーとして勤務した後、1962年にヘルシンキで独立。以来、自宅をアトリエとし、家族に囲まれながら創作活動を続けています。

1960年代、アールニオはプラスチック、ファイバーグラス、アクリルといった当時最先端の素材に果敢に挑戦し、鮮やかな色彩と有機的なフォルムで従来のデザイン概念を打ち破りました。 当時のスカンジナビアデザインが冷静で直線的な美学を主流としていた中、彼は「ルールを曲げ、角を丸めた」のです。 彼の創作は常に「なぜ?」「どうやって?」「もしかしたら可能かもしれない?」という好奇心に駆動されており、その革新的かつ直感的なアプローチは、半世紀以上を経た現在も色褪せることがありません。

アールニオの受賞歴は輝かしく、1968年のパスティルチェアに対するアメリカ工業デザイン賞(AID賞)に始まり、2008年のコンパッソ・ドーロ、同年のカイ・フランク・デザイン賞、2010年のプロ・フィンランディア・メダル、2017年のスウェーデン王室からのプリンス・ユージン・メダルなど、数々の栄誉に輝いています。 2007年には名誉教授の称号を授与され、1999年にはフィンランドインテリアデザイナー協会(SIO)の名誉会員に選出されました。

基本情報

正式名称 Eero Aarnio Originals(エーロ・アールニオ・オリジナルズ)
設立 2016年12月
創業者 ステファン・マールベリ(Stefan Mahlberg)
デザイナー エーロ・アールニオ(Eero Aarnio、1932年 - )
所在地 Unioninkatu 26, 00130 Helsinki, Finland
製造拠点 フィンランド国内
主な製品カテゴリー チェア、テーブル、照明器具、子供用家具、アクセサリー
代表作品 ボールチェア(1963年)、バブルチェア(1968年)、パスティルチェア(1967年)、ポニーチェア(1973年)
公式サイト https://www.aarniooriginals.com/
デザイナー公式サイト https://eeroaarnio.com/