モデル5465 サイドボードは、エドワード・ウォームリーが1957年にダンバー・ファニチャー・カンパニーのために設計した収納家具である。マホガニーの筐体、タンブールドア(蛇腹扉)、そしてブロンズのベース。この三つの要素で構成される水平方向に長い箱は、1950年代アメリカの高級家具が到達した水準を示している。

引き出しと扉で構成される内部は、リネン類、食器、書類など用途を選ばない。リビングやダイニングの壁面に沿って据えられ、空間の基準線をつくる家具として機能する。

特徴・コンセプト

タンブールドア

本作を特徴づけるのは、薄い木片を布地に貼り合わせて連結したタンブールドアである。扉が開閉時に湾曲しながら収納されるため、前方に扉の可動域を必要としない。壁際や通路に面した設置でも扱いやすく、閉じた状態では細い木片が連続する縞模様が前面を覆う。

ダンバー社の製品には、籐張りの座面や編み込み木材のキャビネット前面など、手工芸的な技法が繰り返し現れる。ウォームリーは金属を家具の主要素材として用いることを好まず、木の加工技術によって表情をつくる方法を選んだ。タンブールドアもその一例である。

マホガニーとブロンズ

筐体には赤褐色のマホガニーが用いられる。深い色調と穏やかな木目が、装飾のない面を単調にさせない。脚部にはブロンズ製のベースが組まれ、木部を床から持ち上げる。金属は構造的な役割に限定され、外観上は細い線として現れるにとどまる。

上部には引き出しが3杯、下部にはタンブールドアで閉じる区画と、扉の奥に棚板を備えた区画が配される。派生型のモデル5465Aでは、タウィ材の扉前面と天板、真鍮の引手を組み合わせた仕様も確認されている。

設計の姿勢

ウォームリーは、モダニズムを標榜しながらも伝統的な家具形式への敬意を手放さなかった。過度な装飾は排するが、面や線を切り詰めて冷たさに寄せることもしない。モデル5465の落ち着いたプロポーションは、その中間に立とうとした設計者の判断の結果である。

背景

1957年は、ウォームリーがダンバー社で仕事を始めてから四半世紀が過ぎた時期にあたる。郊外住宅が次々と建てられ、人々が室内を整えることに関心を向けた時代であり、ダンバー社の家具はそうした住まいに向けられていた。

当時のダンバー社は、ハーマンミラーやノールと並ぶアメリカの高級家具メーカーであった。ただし製造の方法は対照的である。イームズやネルソンを擁する競合が工業的生産に踏み込んだのに対し、ダンバー社は自動化された生産ラインを採らず、多くの工程を手作業で行った。モデル5465に見られる仕上げの水準は、この製造方針と切り離せない。

評価

モデル5465は、ヴィンテージ家具市場において安定した評価を得ている。オークションでは状態と来歴によって価格に幅があり、良好な個体は数千ドル規模で取引されることがある。オリジナルの仕上げを保つもの、あるいは希少な材が使われたものは、より高く評価される傾向にある。

デザイン史のうえでは、ヨーロッパ由来のモダニズムとアメリカの手工芸的な家具製作が交差する地点に置かれる。工業化に向かう同時代の潮流のなかで、あえて手仕事の水準を維持した製品として参照されることが多い。

基本情報

名称(日本語) サイドボード モデル5465
名称(英語) Model 5465 Sideboard
デザイナー エドワード・ウォームリー(Edward Wormley)
メーカー ダンバー・ファニチャー・カンパニー(Dunbar Furniture Company)
製造国 アメリカ合衆国(インディアナ州バーン)
発表年 1957年
主な素材 マホガニー材、ブロンズ、真鍮(5465Aはタウィ材を併用)
主な特徴 タンブールドア(蛇腹扉)、引き出し3杯、棚板付き収納、ブロンズベース
現在の生産状況 製造終了。ヴィンテージ市場でのみ流通
カテゴリー サイドボード
様式 ミッドセンチュリー・モダン / アメリカン・モダニズム