概要
ヴォルフガング・ファビアン(1943年生まれ)は、ドイツのインダストリアルデザイナーである。金細工師の訓練を受けたのちヴッパータール大学で学び、ハンス・グーゲロットの事務所に勤めた。1980年にラミーのために設計した万年筆サファリは、樹脂の成形で持ち手に三角形の断面を与えた学童向けの筆記具にあたる。
バイオグラフィー
1943年、ドイツに生まれた。金細工師の訓練を修了したのち、ヴッパータール大学でデザインを学んでいる。
卒業後、ウルムのグーゲロット・デザインに勤めた。同社はウルム造形大学の教員だったハンス・グーゲロットが設立した事務所である。
1974年に同社が閉鎖された後、マンハイムの市場心理学者ベルント・シュピーゲルの研究組織に加わった。1981年、マンハイムで自身の事務所を設立している。
ラミーとは35年にわたり協働し、サファリ、ロゴ、スウィフト、AL-starなどを設計した。2008年に事務所を息子フェリックスへ譲渡している。
デザインの思想と方法
ファビアンの設計は、使う人の身体の動きを観察することから始まる。筆記具では、指がどこに触れ、どの角度で持つかが問題になる。市場心理学の研究組織に在籍した経緯が、この方法の前提にある。
持ち手の断面を三角形にする
サファリの持ち手は、樹脂を成形して三角形に近い断面とする。親指、人差し指、中指の位置が定まり、握り方が一つに決まる。学童が正しい持ち方を身につけることを想定した構成にあたる。
構造で使い方を示す
装飾を加えず、構造そのものが使い方を示す。サファリのクリップは板ばね状の金属で、外から見て機能が分かる。スウィフトでは、ペン先を出すとクリップが本体に収まる機構をとる。
模型で確かめる
金細工師の訓練を受けており、手で模型を作って形を確かめる。図面だけでは、握ったときの感触は判断できない。
学童向けの価格に収める
サファリは学童向けとして構想され、価格が条件に含まれる。樹脂の成形で作れる形にとどめることで、この条件を満たしている。
代表作にみる方法
ラミー サファリ(1980年)
樹脂の成形による万年筆である。持ち手を三角形に近い断面とし、指の位置が定まる。クリップは板ばね状の金属で、外から機能が分かる。学童向けとして構想され、価格も条件に含まれる。1975年から5年をかけて開発された。→ラミー・サファリ
ラミー ロゴ(1983年)
ステンレス鋼の本体に樹脂を組み合わせた筆記具である。サファリとは異なり、事務での使用を想定する。
ラミー スウィフト(1990年)
ペン先を出すとクリップが本体に収まる機構を持つ。クリップが手に当たらないため、握る位置が限定されない。
ラミー AL-star(1997年)
サファリの構成をアルミニウムの本体に置き換えた製品である。持ち手の断面と機構は共通で、材料だけが変わる。
他分野の製品
衛生機器、計量器、臨床検査機器の設計も手がけた。使う人の身体の動きから形を決めるという方法が共通する。
評価と影響
ファビアンは、ウルム造形大学の系譜に連なる設計者として言及される。グーゲロット・デザインでの勤務が、その経緯にあたる。
サファリは1980年の発表から現在まで、基本的な構成を変えずに生産が続いている。持ち手の断面と機構が変わっていないためである。
ラミーとの協働は35年に及んだ。2008年に事務所を息子フェリックスへ譲渡している。
収蔵
4館のAPI(MoMA、V&A、Met、AIC)で照合したが、該当する収蔵は確認できなかった。ドイツ国内の館については照合手段がない。
作品一覧
| 発表年 | 区分 | 作品名 | ブランド |
|---|---|---|---|
| 1980年 | 筆記具 | ラミー・サファリ | LAMY |
| 1983年 | 筆記具 | ラミー ロゴ | LAMY |
| 1990年 | 筆記具 | ラミー スウィフト | LAMY |
| 1994年 | 筆記具 | ラミー スピリット | LAMY |
| 1997年 | 筆記具 | ラミー AL-star | LAMY |
| 2004年 | 筆記具 | ラミー ピックアップ | LAMY |
| 1981年〜 | 工業製品 | 衛生機器・計量器・臨床検査機器 | 各社 |
プロフィール
| 生年 | 1943年 |
|---|---|
| 出身地 | ドイツ |
| 国籍 | ドイツ |
| 活動拠点 | マンハイム |
| 分野 | 筆記具、工業製品 |
| 主な協働ブランド | LAMY |
Reference
- LAMY
- https://www.lamy.com/en/
- HfG-Archiv Ulm
- https://hfg-archiv.museumulm.de/en/