概要

ウラジミール・カガン(1927-2016)は、ドイツ出身でアメリカで活動した家具デザイナーである。父の家具工房で製作を学び、1948年にニューヨークで自身の事業を始めた。曲線を連ねた長椅子を多く手がけ、直線と直角を用いない構成をとる。受注による製作が中心にあたる。

バイオグラフィー

1927年8月29日、ドイツのヴォルムスに生まれた。父イリヤは家具職人である。1938年に家族でアメリカへ移った。

コロンビア大学で建築を学びながら、父の工房で製作を学んでいる。

1948年、ニューヨークで自身の事業を始めた。1950年に父と共同の店を開いている。

1960年代から70年代にかけて、受注による家具の製作を続けた。2016年に没している。

デザインの思想と方法

長椅子は通常、直線の部材で枠を組み、詰め物を載せる。カガンが用いたのは、枠そのものを曲線で構成する方法である。曲げた木を骨組みとするため、直角が生じない。

曲線で枠を組む

木を曲げて骨組みとし、詰め物と布で覆う。座面と背が連続した曲線を描き、直角が現れない。壁に沿わせず、部屋の中央に置くことを想定する。

接する面を減らす

脚を細くし、床に接する点を絞る。座面が浮いているように見え、床面が連続する。

受注で製作する

量産の体制をとらず、受注により製作した。寸法を注文ごとに変えられるため、置く場所に合わせられる。

工房での製作を前提とする

父の工房で製作を学んでおり、加工の可否を把握している。曲線の枠は手作業を要するため、量産では成立しない。

代表作にみる方法

175E コンツアード アームチェア(1953年)

曲線の枠による肘掛け椅子である。V&Aが収蔵している(収蔵番号W.1-1996)。

フリーフォーム オケージョナル テーブル(1957年頃)

不定形の輪郭を持つ卓である。シカゴ美術館が収蔵している(収蔵番号2009.232)。

サーペンタイン ソファ(1950年代)

蛇行する曲線を描く長椅子である。座面と背が連続し、直角が現れない。壁に沿わせず、部屋の中央に置くことを想定する。→サーペンタイン ソファ

オムニバス(1970年代)

台座の上に座面を載せる長椅子の系列である。組み合わせて配置を変えられる。

受注による製作(1948年〜)

量産の体制をとらず、受注により製作した。寸法を注文ごとに変えられる。

評価と影響

カガンは、20世紀中期のアメリカで曲線による家具を手がけた設計者として言及される。直線と直角を用いない構成が特徴にあたる。

父の工房で製作を学んでおり、加工の可否を把握している。曲線の枠は手作業を要するため、量産では成立しない。

受注による製作が中心にあたる。2000年代以降、当時の設計が再生産されている。

収蔵

以下の収蔵が確認できる(V&A=ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、AIC=シカゴ美術館)。

  • V&A 175E コンツアード アームチェア(1953年) 収蔵番号 W.1-1996
  • AIC フリーフォーム オケージョナル テーブル(1957年頃) 収蔵番号 2009.232

MoMA、Met では該当する収蔵は確認できなかった。

作品一覧

区分 作品名 ブランド
1948年 事業 ニューヨークで事業を開始 アメリカ
1953年 椅子 175E コンツアード アームチェア Vladimir Kagan Designs
1950年代 ソファ サーペンタイン ソファ Vladimir Kagan Designs
1957年頃 テーブル フリーフォーム オケージョナル テーブル Vladimir Kagan Designs
1970年代 ソファ オムニバス Vladimir Kagan Designs
1948-2010年代 家具 受注による家具 Vladimir Kagan Designs

プロフィール

生没年 1927年8月29日〜2016年
出身地 ドイツ・ヴォルムス
国籍 ドイツ(のちアメリカ)
活動拠点 ニューヨーク
分野 家具
主な協働ブランド Vladimir Kagan Designs

Reference

Vladimir Kagan
https://www.vladimirkagan.com/
Victoria and Albert Museum Collections
https://collections.vam.ac.uk/
The Art Institute of Chicago Collection
https://www.artic.edu/collection