概要

吉岡徳仁(1967年生まれ)は、日本のデザイナーである。紙、繊維、ガラス、結晶といった材料の性質そのものを構造として使う方法をとる。2000年のハニーポップは、蜂の巣状に切り込んだ紙を広げて椅子とするもので、座ることで形が定まる。デザイン、建築、現代美術の展示を並行して行っている。

バイオグラフィー

1967年1月20日、佐賀県に生まれた。1986年に桑沢デザイン研究所を修了している。

1988年から倉俣史朗のもとで学び、1992年からは三宅一生の下で店舗と展示の設計を担当した。

2000年に自身の事務所を設立し、同年ハニーポップとトーフを発表している。

2007年のパネチェア、2010年前後からの結晶を用いた作品と、素材の探索を続けている。国内外の美術館で個展が開かれており、ニューヨーク近代美術館、V&A、シカゴ美術館が作品を収蔵している。

デザインの思想と方法

吉岡が扱うのは、材料そのものに構造を担わせるという問題である。骨組みを別に用意せず、紙や繊維の性質だけで荷重を受けさせる。この方法では、形は加工の工程と材料の性質から決まり、造形の選択の余地は少ない。

紙を積層して構造にする

ハニーポップは、薄い紙を蜂の巣状に切り込んで積層し、広げると立体になる。紙は一枚では荷重を受けないが、蜂の巣構造にすると圧縮に耐える。座ると身体の形に沿って部分的に潰れ、以後その形が残る。使い手ごとに形が変わるという状態が、材料の性質から生じている。

繊維を熱で固める

パネチェアは、ポリエステルの繊維を筒状に詰め、窯で焼き固める。繊維は熱で互いに接着し、全体として弾性のある塊になる。詰め物と構造の区別がなく、一つの材料で両方を担う。

結晶を成長させる

2010年前後からの作品では、水槽の中で結晶を成長させ、その形をそのまま作品とする。設計者が決めるのは核となる形と条件だけで、結晶の形は自然の過程が決める。制御しない部分を意図して残す方法にあたる。

光を素材として扱う

照明や展示では、光そのものを構成の要素とする。トーフやティアドロップは、拡散と反射のしかたで形が決まる。

代表作にみる方法

ハニーポップ(2000年)

薄い紙を蜂の巣状に切り込んで積層し、広げて立体とする椅子である。平らな状態では厚さ数センチだが、広げると座具になる。座ると身体の形に沿って部分的に潰れ、その形が残る。紙という材料の性質だけで構造を成立させた例にあたる。ニューヨーク近代美術館、V&A、シカゴ美術館が収蔵している。

トーフ(2000年)

樹脂の塊に光源を仕込んだ照明である。光は塊の内部で拡散し、面全体が発光する。名称は形と質感に由来する。ニューヨーク近代美術館とシカゴ美術館が収蔵している。

パネチェア(2003年)

ポリエステルの繊維を筒状に詰め、窯で焼き固めた椅子である。繊維は熱で互いに接着し、弾性のある塊になる。詰め物と構造の区別がなく、骨組みを持たない。ニューヨーク近代美術館が完成品と未加工の状態の両方を収蔵している。

メディアスキン 携帯電話(2004年)

auのために設計した携帯電話である。表面に触感を持たせた塗装を施し、機器としての質感を変えている。ニューヨーク近代美術館が収蔵している。

ヴィーナス 結晶の椅子(2008年)

水槽の中で結晶を成長させ、椅子の形にしたものである。核となる繊維の形と、結晶が成長する条件を設計者が定め、最終的な形は自然の過程が決める。制御しない部分を意図して残す構成にあたる。

評価と影響

吉岡は一般に、材料の性質そのものを構造として使う方法をとる設計者と評価されている。骨組みを別に用意しないため、形は加工の工程と材料の性質から決まる。

倉俣史朗のもとで学び、三宅一生の下で展示と店舗の設計を担当した経歴が、その仕事の前提にある。設計と展示の双方を扱う立場にあたる。

結晶を用いた作品では、設計者が形を決めない部分を意図して残している。デザイン、建築、現代美術の展示を並行して行う活動の形式も特徴として挙げられる。

収蔵

以下の収蔵が確認できる(MoMA=ニューヨーク近代美術館、V&A=ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、AIC=シカゴ美術館)。

  • MoMA ハニーポップ アームチェア(2000年) 収蔵番号 262.2002.1-2
  • MoMA トーフ ランプ(2000年) 収蔵番号 845.2005
  • MoMA パネチェア(2003年) 収蔵番号 881.2007
  • MoMA パネチェア 未加工の状態(2003年) 収蔵番号 922.2007
  • MoMA メディアスキン 携帯電話(2004年) 収蔵番号 578.2006.1-3
  • MoMA ティアドロップ ランプ(2007年) 収蔵番号 85.2009
  • V&A ハニーポップ チェア(2001年) 収蔵番号 W.5-2005、W.6-2005
  • AIC ハニーポップ(2001年) 収蔵番号 2007.111
  • AIC ハニーポップ アームチェア(2001年) 収蔵番号 2007.112
  • AIC トーフ ラージランプ(2000年) 収蔵番号 2012.29

Met では該当する収蔵は確認できなかった。

作品一覧

発表年 区分 作品名 ブランド
2000年 椅子 ハニーポップ 自主制作
2000年 照明 トーフ Yamagiwa
2002年 ベンチ ウォーターブロック 自主制作
2003年 椅子 パネチェア 自主制作
2004年 携帯電話 メディアスキン au design project
2007年 照明 ティアドロップ Yamagiwa
2008年 椅子 ヴィーナス 結晶の椅子 自主制作
2008年 椅子 インビジブルズ Kartell
2010年代 照明 ルイスポールセンのための照明 Louis Poulsen
2000年代〜 展示・建築 美術館・店舗の展示と設計 各地

プロフィール

生年 1967年1月20日
出身地 日本・佐賀県
国籍 日本
活動拠点 東京
分野 家具、照明、展示、建築
主な協働ブランド Kartell、Louis Poulsen、Moroso、Swarovski

Reference

吉岡徳仁デザイン事務所(公式)
https://www.tokujin.com/
The Museum of Modern Art Collection
https://www.moma.org/collection/works/2325
Victoria and Albert Museum Collections
https://collections.vam.ac.uk/
The Art Institute of Chicago Collection
https://www.artic.edu/collection