概要
内田繁(1943-2016)は、日本のインテリアデザイナーである。1970年に事務所を開き、山本耀司の店舗を長年にわたり手がけた。1980年代からは茶室の設計に取り組み、竹、和紙、鉄といった材料で「受庵・想庵・行庵」を制作している。家具ではメンフィスに参加し、1977年の「セプテンバー」がメトロポリタン美術館に収蔵された。
バイオグラフィー
1943年2月27日、神奈川県横浜市に生まれた。桑沢デザイン研究所を1966年に修了している。
1970年、東京に内田デザイン研究所を設立した。商業空間の設計を主な領域とし、店舗、飲食店、ホテルを手がけている。
1970年代後半から山本耀司の店舗の設計を担当し、以後20年以上にわたって続いた。1980年代にはメンフィスに参加している。
1980年代後半から茶室の設計に取り組み、「受庵・想庵・行庵」を制作した。桑沢デザイン研究所の所長を1997年から2004年まで務めている。2016年11月21日、73歳で没した。
デザインの思想と方法
内田が扱ったのは、日本の空間の考え方を現在の建材と工法でどう成立させるかという問題である。茶室のような形式を再現するのではなく、その形式が何を条件としていたかを取り出し、別の材料で組み直す。
境界を線で示す
日本の空間は、壁で仕切るのではなく、柱や敷居や簾といった線状の要素で領域を示すことが多い。内田はこの構成を、鉄の細い部材や竹の骨組みで再構成した。面で閉じないため、内と外が完全には分かれない。
材料を置き換える
茶室「受庵」は竹、「想庵」は和紙、「行庵」は鉄で構成される。三つとも同じ寸法体系をとりながら、材料だけが異なる。材料が変われば透過性も重さも変わり、同じ形式が別の空間になることを示している。
時間の経過を条件に入れる
商業空間は数年で改装される。内田はこれを前提とし、恒久性を目標としない設計を行った。一方で茶室のように長く残る対象では、材料の経年変化を条件に含めている。
家具を空間の要素として扱う
家具の設計は、内装の仕事から生まれることが多かった。「セプテンバー」は細い鉄の枠で構成された椅子で、空間の中で面積を占めないことを条件としている。
メンフィス・ミラノの歴史や他の製品について詳しくはメンフィス・ミラノ ブランドページをご覧ください。
代表作にみる方法
セプテンバー(1977年)
細い鉄の枠で構成した椅子である。座面と背もたれは枠に張られ、部材の断面が細いため、空間の中で面積を占めない。メトロポリタン美術館が収蔵している(収蔵番号1988.192)。
山本耀司の店舗(1970年代後半〜)
20年以上にわたり同ブランドの店舗設計を担当した。什器を減らし、床と壁の仕上げで空間を構成する方向をとっている。衣服を展示する場として、要素を最小限に抑えるという条件があった。
茶室「受庵・想庵・行庵」(1993年)
竹、和紙、鉄という異なる材料で構成した三つの茶室である。寸法体系は共通で、材料だけが変わる。竹は透け、和紙は光を通し、鉄は閉じる——同じ形式が材料によって別の空間になることを示す構成にあたる。
ホテル イル・パラッツォ(1989年、福岡)
アルド・ロッシが建築を設計したホテルで、内田は内装を担当した。複数の設計者が分担する体制のもとで、客室と共用部の構成を決めている。
メンフィスへの参加(1980年代)
エットレ・ソットサスの誘いでメンフィスに加わり、家具を発表した。倉俣史朗、梅田正徳とともに日本から参加した設計者にあたる。
評価と影響
内田は一般に、1970年代以降の日本の商業空間の設計を確立した設計者の一人と評価されている。什器と仕上げで空間を構成する方向は、以後の店舗設計に影響を残した。
茶室の一連の仕事は、日本の空間の形式を材料の側から組み直す試みとして言及される。形式の再現ではなく、条件の抽出という点に特徴がある。
1997年から2004年まで桑沢デザイン研究所の所長を務め、教育にも関わった。メンフィスへの参加は、日本の設計者が国外の運動に加わった例の一つにあたる。
受賞・収蔵
受賞
- 1987年 毎日デザイン賞
- 2007年 紫綬褒章
収蔵
以下の収蔵が確認できる(Met=メトロポリタン美術館)。
- Met セプテンバー アームチェア(1977年) 収蔵番号 1988.192
MoMA、V&A、AIC では該当する収蔵は確認できなかった。英国コンラン財団の収蔵については照合手段がない。
作品一覧
| 年 | 区分 | 作品名 | ブランド / 場所 |
|---|---|---|---|
| 1977年 | 椅子 | セプテンバー | — |
| 1970年代後半〜 | 内装 | 山本耀司 店舗 | 日本各地 |
| 1980年代 | 家具 | メンフィスのための家具 | Memphis Milano |
| 1989年 | 内装 | ホテル イル・パラッツォ | 福岡 |
| 1993年 | 茶室 | 受庵・想庵・行庵 | — |
| 1990-2000年代 | 内装 | 店舗、飲食店、ホテルの内装 | 日本各地 |
| 1997-2004年 | 教育 | 桑沢デザイン研究所 所長 | 東京 |
プロフィール
| 生没年 | 1943年2月27日〜2016年11月21日 |
|---|---|
| 出身地 | 日本・神奈川県横浜市 |
| 国籍 | 日本 |
| 活動拠点 | 東京 |
| 分野 | インテリア、家具、茶室 |
| 主な協働ブランド | Memphis Milano |
Reference
- 内田デザイン研究所
- https://www.uchida-design.jp/
- 桑沢デザイン研究所
- https://www.kds.ac.jp/
- The Metropolitan Museum of Art Collection
- https://www.metmuseum.org/art/collection
- Memphis Milano
- https://www.memphis-milano.com/