概要
セルジオ・ロドリゲス(1927-2014)は、ブラジルの建築家・家具デザイナーである。ブラジル産の広葉樹と厚い革を組み合わせ、太い部材で構成する家具を設計した。1957年のモレ(Mole)は、木の枠に革の帯を掛けて座面と背とする安楽椅子で、1961年にイタリアの国際競技設計で一等を得ている。
バイオグラフィー
1927年9月22日、リオデジャネイロに生まれた。ブラジル大学(現リオデジャネイロ連邦大学)で建築を学び、1952年に修了している。
1955年、リオデジャネイロに家具店「オカ」を開いた。ブラジル産の材料で作る家具を扱う店で、設計と製造も自ら行っている。
1957年にモレを設計した。1961年、イタリアのカントゥで開かれた国際家具競技設計で一等を得ている。
1960年代以降も家具の設計を続け、建築の仕事も並行して行った。2014年9月1日に没している。
デザインの思想と方法
1950年代のブラジルでは、家具は輸入品か、ヨーロッパの様式を模したものが中心だった。ロドリゲスが試みたのは、現地で調達できる材料と、現地の職人の技術で成立する家具をつくることである。
ブラジル産の材料を使う
ジャカランダをはじめとするブラジル産の広葉樹を用いた。これらの木は硬く重く、ヨーロッパの家具材とは性質が異なる。太い断面のまま使うことで、材料の性質がそのまま形になる。
革を掛ける
モレは、木の枠に厚い革の帯を掛けて座面と背とする。革は張り込まれず、荷重で自然にたわむ。詰め物を要さず、使い込むほど形が身体に沿う。
部材を太くする
枠の断面は、構造上必要な寸法より太い。この太さは強度のためではなく、材料の存在感と、腰掛けたときに手が触れる位置の感触を決めるためのものである。
設計から販売までを扱う
1955年に開いた「オカ」では、設計、製造、販売を一体で行った。外部の流通に依存しないため、材料と工法の選択の幅が広い。
代表作にみる方法
モレ(1957年)
木の枠に厚い革の帯を掛けた安楽椅子である。革は張り込まれず、荷重で自然にたわむ。枠の断面は構造上必要な寸法より太く、材料の存在感を残す。1961年のカントゥ国際家具競技設計で一等を得た。イタリアでは「シェリファ」の名で知られる。メトロポリタン美術館がオットマンと組で収蔵している(収蔵番号2018.64a, b)。
オカ(1955年〜)
リオデジャネイロに開いた家具店である。設計、製造、販売を一体で行い、ブラジル産の材料で作る家具を扱った。外部の流通に依存しない体制にあたる。
ディアマンチ(1960年代)
木の枠と革で構成した安楽椅子である。モレと同じ構成の考え方をとりながら、輪郭を変えている。
チャイゼ ロンガ
モレの構成を寝椅子に展開したものである。枠が長くなり、革の面積も増える。
評価と影響
ロドリゲスは一般に、20世紀ブラジルの家具設計を確立した人物と評価されている。輸入品やヨーロッパの様式の模倣ではなく、現地の材料と技術で成立する家具をつくるという方向を示した。
1961年のカントゥでの一等は、ブラジルの家具が国外で評価された早い例にあたる。以後、モレは同国を代表する家具として扱われている。
1955年に開いた「オカ」は、設計から販売までを一体で行う体制の例として言及される。設計者が流通を持つことで、材料と工法の選択の幅が広がる。
受賞・収蔵
受賞
- 1961年 カントゥ国際家具競技設計 一等(モレ)
収蔵
以下の収蔵が確認できる(Met=メトロポリタン美術館)。
- Met モレ アームチェア&オットマン(1957年設計) 収蔵番号 2018.64a, b
MoMA、V&A、AIC では該当する収蔵は確認できなかった。ブラジル国内の館については照合手段がない。
作品一覧
| 年 | 区分 | 作品名 | ブランド |
|---|---|---|---|
| 1955年〜 | 店舗 | オカ(設計・製造・販売) | リオデジャネイロ、ブラジル |
| 1957年 | 椅子 | モレ(シェリファ) | Oca / Lin Brasil |
| 1960年代 | 椅子 | ディアマンチ | Oca |
| 1960年代 | 寝椅子 | チャイゼ ロンガ | Oca |
| 1950-2000年代 | 家具 | 椅子・卓・収納の各種 | Oca / Lin Brasil |
| 1950-2000年代 | 建築 | 住宅・公共建築 | ブラジル各地 |
プロフィール
| 生没年 | 1927年9月22日〜2014年9月1日 |
|---|---|
| 出身地 | ブラジル・リオデジャネイロ |
| 国籍 | ブラジル |
| 活動拠点 | リオデジャネイロ、ブラジリア |
| 分野 | 家具、建築 |
| 主な協働ブランド | Oca、Lin Brasil |
Reference
- Instituto Sergio Rodrigues
- https://www.institutosergiorodrigues.com.br/
- The Metropolitan Museum of Art Collection
- https://www.metmuseum.org/art/collection
- Museu da Casa Brasileira
- https://mcb.org.br/