概要

フィリップ・ニグロ(1975年生まれ)は、フランスのデザイナーである。1999年からミラノのミケーレ・デ・ルッキの事務所で働きながら、独立したデザイナーとしても活動してきた。2009年にリーニュ・ロゼから発表したソファ「コンフリュアンス」は、奥行きや背の高さの異なる座を組み合わせて一台とする構成をとる。リーニュ・ロゼ、エルメス、フォスカリーニ、バロヴィエ&トーゾなどと協働している。

バイオグラフィー

1975年、フランスのニースに生まれた。リヨンのラ・マルティニエール校で工業デザインを、パリのエコール・ブールで製品・家具デザインを学び、1997年にエコール・ブールを修了している。

1999年にミラノへ移り、ミケーレ・デ・ルッキの事務所に加わった。オリベッティ、ポルトローナ・フラウ、アルテミデ、アリアスなどのための製品、家具、照明、内装、展示の仕事に携わっている。

2005年からフランスの家具振興機関VIAの支援を受けて家具の試作を重ね、そのうちの「アンテルセクシオン」がリーニュ・ロゼのコンフリュアンス(2009年)として製品化された。2013年のミラノ・デザインウィークでは、エルメスの家具コレクション「レ・ネセセール・デルメス」を発表した。2014年のメゾン・エ・オブジェでデザイナー・オブ・ザ・イヤー(Now! design à vivre)に選ばれている。

デザインの思想と方法

ニグロの仕事には、形の異なる単位を重ね合わせて一つの物にまとめる構成が繰り返し現れる。単位をそろえて並べるのではなく、大きさや角度の違う要素を重ねることで、一つの製品の中に違いをつくる。

違いを重ねて一つにする

コンフリュアンスは、パズルのように重なり合う座の塊を組み合わせて構成する。座の奥行きと背の高さが場所ごとに異なり、体格や好みの違う人が一台を分け合うことを想定している。照明のニュアージュでも、非対称の五つのモジュールを重ねて一つの灯具としている。

メーカーの技術を前提にする

メゾン・エ・オブジェの選考では、デザインと手仕事の技術を結びつける姿勢が評価された。エルメスの家具では伝統的な指物と張りの技術で作り、バロヴィエ&トーゾの照明では同社のガラス成形の技法「ロストラート」を用いている。各メーカーが持つ工程を設計の条件として扱う。

代表作にみる方法

コンフリュアンス(2009年、リーニュ・ロゼ)

VIAの支援で試作したソファ「アンテルセクシオン」を原型とする。重なり合う座の塊の組み合わせ方によって、2人掛け、3人掛け、一人掛けなどの構成をつくることができる。座の奥行きと背の高さを場所ごとに変え、一台の中に異なる座り心地を用意している。

レ・ネセセール・デルメス(2013年、エルメス)

「必需品」を意味する名を持つ、エルメスのための家具コレクションである。ヴァレットスタンド、小物の整理具、補助的な腰掛けなどからなり、一つの家具が座る、収める、隠すといった複数の用途を兼ねる。2013年のミラノ・デザインウィークで、住まいの部屋を模した展示の中で発表された。

ニュアージュ(2012年、フォスカリーニ)

非対称の五つのモジュールを重ねた照明である。格子状の羽根が光を一定の角度で遮り、光源を直接見せずに光を拡散させる。単体でも、複数を組み合わせた構成でも使える。

オペラ(2021年、バロヴィエ&トーゾ)

パリのオペラ・ガルニエに着想を得た照明のコレクションで、吊り下げ灯、壁付け灯、卓上灯からなる。ヴェネツィアのガラスを多面の角柱状に成形する同社の技法「ロストラート」を用いている。

収蔵

4館のAPI(MoMA、V&A、Met、AIC)で照合したが、該当する収蔵は確認できなかった。

作品一覧

発表年 区分 作品名 ブランド
2009年 ソファ コンフリュアンス Ligne Roset
2011年 ソファ アンタイユ Ligne Roset
2012年 照明 ニュアージュ Foscarini
2013年 家具 レ・ネセセール・デルメス Hermès
2014年 ソファ コス Ligne Roset
2021年 照明 オペラ Barovier&Toso

プロフィール

生年 1975年
出身地 フランス・ニース
国籍 フランス
活動拠点 フランス、イタリア
分野 家具、照明、展示
主な協働ブランド Ligne Roset、Hermès、Foscarini、Barovier&Toso

Reference