概要

オロフ・ベックストロム(1922-1998)は、フィンランドのデザイナーである。1967年、フィスカースのために鋏を設計した。刃は鋼、握りは樹脂という組み合わせで、握りの形を手の動きから決めている。工程を分けることで、鋏の製造に樹脂の成形を導入した例にあたる。

バイオグラフィー

1922年、フィンランドに生まれた。工学の教育を受けている。

1960年代、フィスカースの製品開発に携わった。同社は1649年創業の金属製品のメーカーである。

1960年から1967年にかけて鋏の開発を行った。刃と握りを別の材料で作るという構成にあたる。

1967年に製品化され、以後の同社の主要な製品となっている。1998年に没した。

デザインの思想と方法

鋏は通常、刃と握りを一体の金属で作る。握りの部分も金属のため、長時間使うと指が痛む。ベックストロムが行ったのは、刃と握りを別の材料に分けることだった。

刃と握りを分ける

刃は鋼、握りは樹脂とする。鋼は切れ味を保ち、樹脂は指に当たっても痛くない。それぞれに適した材料を使えるようになる。

握りの形を手から決める

握りの輪の形を、親指と他の指で異なるものにする。親指側は小さく、他の指側は大きい。手の構造に合わせることで、力が入りやすくなる。

成形の工程を導入する

樹脂の握りは射出成形で作る。同じ形を大量に作れるため、価格が下がる。金属の握りを削り出す工程より短い。

試作で形を確かめる

握りの形は、実際に握って確かめる必要がある。1960年から1967年まで、試作と修正が繰り返された。

代表作にみる方法

鋏(1960-67年設計、フィスカース)

刃を鋼、握りを樹脂とした鋏である。鋼は切れ味を保ち、樹脂は指に当たっても痛くない。握りの輪の形を親指側と他の指側で変えることで、手の構造に合わせている。ニューヨーク近代美術館が収蔵している(収蔵番号306.1977)。→フィスカース クラシック はさみ

鋏の展開

寸法と用途の異なる型が用意された。刃と握りを分けるという構成は共通する。

フィスカースでの製品開発(1960年代)

同社の製品開発に携わった。工学の教育を受けた立場から、製造の工程を扱っている。

試作の過程(1960-1967年)

握りの形は実際に握って確かめる必要がある。7年にわたり試作と修正が繰り返された。

評価と影響

ベックストロムは、刃と握りを別の材料に分けた鋏の設計者として言及される。それぞれに適した材料を使えるようになるという利点がある。

1967年の製品化から現在まで生産が続いている。握りの形と材料の組み合わせが変わっていない。

ニューヨーク近代美術館は1977年に収蔵した。工業製品としての評価にあたる。

収蔵

以下の収蔵が確認できる(MoMA=ニューヨーク近代美術館)。

  • MoMA 鋏(1960-67年設計) 収蔵番号 306.1977

V&A、Met、AIC では該当する収蔵は確認できなかった。フィンランド・ノルウェー国内の館については照合手段がない。

作品一覧

区分 作品名 ブランド
1960-1967年 什器 フィスカース クラシック はさみ Fiskars
1967年〜 什器 鋏の各型 Fiskars
1960年代 製品開発 フィスカースの製品開発 Fiskars

プロフィール

生没年 1922年〜1998年
出身地 フィンランド
国籍 フィンランド
活動拠点 フィンランド
分野 什器、工業製品
主な協働ブランド Fiskars

Reference

Fiskars
https://www.fiskars.com/
The Museum of Modern Art Collection
https://www.moma.org/collection/works/2325
Designmuseo Helsinki
https://www.designmuseum.fi/en/