概要
佐藤オオキ(1977年生まれ)は、日本のデザイナーである。2002年にデザインオフィスnendoを設立し、家具、日用品、店舗、建築を扱う。一つの製品に対して、既存の前提をわずかに外す操作を一点だけ加えるという進め方をとる。フリッツ・ハンセン、カッペリーニ、グビ、ルイスポールセンなどと協働している。
バイオグラフィー
1977年12月24日、カナダのトロントに生まれた。10歳のときに日本へ移っている。
2000年に早稲田大学理工学部建築学科を卒業し、2002年に同大学院を修了した。同年、東京でnendoを設立している。
2005年にミラノに事務所を開き、国外のメーカーとの協働が始まった。
家具、照明、日用品、店舗、展示、建築と対象を限定せず、年間に多数の製品を発表している。国内外の美術館で展示が開かれており、ニューヨーク近代美術館、V&A、シカゴ美術館が作品を収蔵している。
デザインの思想と方法
佐藤の設計は、既存の製品が前提としていることを一つだけ外すという操作をとる。前提を多数変えれば別の物になるが、一つだけなら何の道具かは分かったまま、性格が変わる。この加減が設計の中心にある。
工程の途中を製品にする
キャベツチェアは、プリーツ加工した紙が製造の過程で出す端材を素材とする。円筒に巻いた紙に切り込みを入れ、外側から一枚ずつ剥がすと椅子になる。加工も接着も金具も要さず、剥がすという行為だけで完成する。工程の途中の状態を製品として扱う例にあたる。
前提を一つだけ外す
家具でも日用品でも、変えるのは一箇所に絞られる。脚の本数、面の分割、開閉の順序といった要素のうち一つだけを動かし、残りは既存のままにする。結果として、見慣れた形でありながら使い方が変わる。
数を出す
nendoは年間に多数の製品を発表する。一つの発想を長く練るのではなく、多数の案を並行して進める体制をとる。この進め方では、個々の操作は単純であることが前提になる。
対象を限定しない
家具、照明、菓子の包装、店舗、展示、建築と対象は広い。分野ごとに前提が異なるため、外すべき一点も変わる。方法は同じで、適用先が変わるという構成をとる。
フリッツ・ハンセンの歴史や他の製品について詳しくはフリッツ・ハンセン ブランドページをご覧ください。
代表作にみる方法
キャベツチェア(2007年)
プリーツ加工した紙の端材を円筒に巻き、切り込みを入れた椅子である。外側から一枚ずつ剥がすと座面と背が現れる。接着も金具も要さず、樹脂が紙に強度と弾性を与える。三宅一生からの依頼による展覧会のために制作された。ニューヨーク近代美術館、V&A、シカゴ美術館が収蔵している。
ピール(2009年)
果物の皮をむいたときの形を参照した器物である。シカゴ美術館が収蔵している(収蔵番号2012.449)。
ベル・オルゲル(2011年)
鈴の系列である。吊り下げ型、据え置き型、手持ち型が用意され、いずれも同じ発音の仕組みを持つ。シカゴ美術館が3点を収蔵している。
フリッツ・ハンセンのための家具
椅子と卓を設計している。既存の製品群に加わる位置づけで、単体としての新しさより、並べたときの整合が条件になる。
店舗・展示の設計
店舗の内装と展示の構成を多数手がけている。製品と空間を同じ事務所で扱うため、什器と空間を同じ判断で決められる。
評価と影響
佐藤は一般に、2000年代以降の日本のデザインにおいて、国際的に最も多くの製品を発表している設計者の一人と言及される。既存の前提を一つだけ外すという操作が、その方法として挙げられる。
キャベツチェアは、工程の途中の状態を製品として扱う例として繰り返し参照される。端材を素材とする点も、材料の調達の側からの解答にあたる。
年間に多数の製品を発表する体制も特徴として論じられる。一つの発想を長く練るのではなく、多数の案を並行して進めるという進め方をとる。
収蔵
以下の収蔵が確認できる(MoMA=ニューヨーク近代美術館、V&A=ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、AIC=シカゴ美術館)。
- MoMA キャベツチェア(2007年) 収蔵番号 1785.2008.1-2
- V&A キャベツチェア(2008年) 収蔵番号 W.2-2013
- AIC キャベツチェア(2008年) 収蔵番号 2011.276
- AIC ピール(2009年) 収蔵番号 2012.449
- AIC ベル・オルゲル 吊り鈴(2011年) 収蔵番号 2012.454
- AIC ベル・オルゲル 据え置き鈴(2011年) 収蔵番号 2012.453
- AIC ベル・オルゲル 手持ち鈴(2011年) 収蔵番号 2012.452
- AIC リンカク(2011年) 収蔵番号 2012.455
- AIC オッポペット(2011年) 収蔵番号 2012.459
Met では該当する収蔵は確認できなかった。
作品一覧
| 発表年 | 区分 | 作品名 | ブランド |
|---|---|---|---|
| 2007年 | 椅子 | キャベツチェア | nendo |
| 2009年 | 器物 | ピール | nendo |
| 2011年 | 器物 | ベル・オルゲル、リンカク、オッポペット | nendo |
| 2010年代 | 家具 | フリッツ・ハンセンのための家具 | Fritz Hansen |
| 2010年代 | 家具 | カッペリーニのための家具 | Cappellini |
| 2010年代 | 家具 | グビのための家具 | Gubi |
| 2010年代 | 照明 | ルイスポールセンのための照明 | Louis Poulsen |
| 2002年〜 | 内装・展示 | 店舗・展示の設計 | 各地 |
プロフィール
| 生年 | 1977年12月24日 |
|---|---|
| 出身地 | カナダ・トロント |
| 国籍 | 日本 |
| 活動拠点 | 東京、ミラノ |
| 分野 | 家具、照明、日用品、店舗、建築 |
| 主な協働ブランド | Fritz Hansen、Cappellini、Gubi、Louis Poulsen |
Reference
- nendo(公式)
- https://www.nendo.jp/
- The Museum of Modern Art Collection
- https://www.moma.org/collection/works/2325
- Victoria and Albert Museum Collections
- https://collections.vam.ac.uk/
- The Art Institute of Chicago Collection
- https://www.artic.edu/collection