バイオグラフィー

ノーマン・ロバート・フォスター男爵(Baron Foster of Thames Bank、1935年6月1日生)は、英国を代表する建築家であり、ハイテク建築の発展と密接に結びついた現代建築界の巨匠である。労働者階級の出自から、世界最大級の建築事務所Foster + Partnersを率いるまでに至った。

1935年、フォスターはマンチェスター近郊のストックポート、レディッシュに生まれた。父ロバートはメトロポリタン・ヴィッカーズ社の機械塗装工、母リリアンはパン屋で働いた。一家はレヴェンシュルムに移り、貧困の中で暮らした。一人っ子であったが、多忙な両親との時間は限られ、後年「私の両親はあまりに働きすぎて、彼らを本当に知ることができなかった」と回顧している。バーネージ・グラマースクールに通った内気な少年は、16歳で退学してマンチェスター市庁舎の財務部で見習いとして働き始める。アルフレッド・ウォーターハウスが設計したこのゴシック様式の建築が、若きフォスターに建築への情熱を植え付けた。1953年には英国空軍で兵役に就き、長年の趣味であった航空機への関心は、後の精密で技術志向の設計アプローチに影響を与えた。

除隊後、建築家ジョン・E・ビアズショー・アンド・パートナーズで契約管理者の助手として働き、優れた製図技術を認められて設計部門に昇進した。アイスクリーム販売員、用心棒、パン屋の夜勤などのアルバイトで学費を賄いながら、1956年にマンチェスター大学建築・都市計画学部で学び始める。1959年には風車の実測図面でRIBAシルバーメダルと105ポンドの賞金を獲得。1961年に卒業後、ヘンリー・フェローシップを獲得してイェール大学に進学して修士号を取得し、生涯の盟友となるリチャード・ロジャースと出会った。美術史家ヴィンセント・スカリーの勧めで、二人は1年間アメリカ中を旅して建築を学んだ。

1963年、英国に戻ったフォスターは、ロジャース、スー・ブラムウェル、ジョージー&ウェンディ・チーズマン姉妹とともに建築事務所Team 4を設立。ハイテク産業デザインで高い評価を受け、1967年完成のReliance Controls工場などを手がけた。Team 4は4年後に解散し、1967年にフォスターと妻ウェンディがFoster Associates(後のFoster + Partners)を設立する。ウィリス・ファーバー・アンド・デュマス本社ビル(1975年)やセインズベリー視覚芸術センター(1978年)で注目を集めた後、1979年に香港上海銀行(HSBC)本社ビルの国際コンペティションに勝利し、事務所設立わずか10年で世界的評価を確立した。1986年に完成したこの44階建ての超高層ビルは、当時世界で最も高価な建築物であり、構造を外部に配置する革新的な設計でフォスターの名を世界に知らしめた。

フォスターの私生活には喜びと悲しみが交錯した。1964年に結婚した最初の妻ウェンディ・フォスター(旧姓チーズマン)は1989年に亡くなり、4人の息子が残された。その後まもなく、フォスター自身も大腸がんと診断され、2000年代には心臓発作を経験するなど、健康上の困難に直面した。1991年にはインド生まれのサビハ・ルマニ・マリクと再婚したが、1995年に離婚。1996年には、スペイン人心理学者で出版社Ivory Pressの創設者であるエレナ・オチョアと結婚し、現在に至る。フォスターには5人の子どもと3人の孫がいる。

90歳を超えた現在も、フォスターは驚異的な活力を維持している。サイクリング、スキー、マラソンを愛好し、自家用飛行機とヘリコプターを操縦してロンドン、フランス、スイス、マーサズ・ヴィンヤード、ニューヨーク、マドリッドの自宅間を移動する。引退する意思はなく、Foster + Partnersの会長としてデザイン委員会を統括し、厳選されたプロジェクトに直接関与し続けている。マドリッドに拠点を置くノーマン・フォスター財団を通じて、若い世代の建築家、デザイナー、都市計画家の育成にも取り組んでいる。

デザインの思想とアプローチ

ノーマン・フォスターのデザイン哲学は、テクノロジー、持続可能性、人間中心主義の融合に基づいている。彼の建築は単なる物理的構造物ではなく、都市の文脈、環境への配慮、人々の生活の質を向上させる社会的存在として構想される。

ハイテク建築の先駆者

フォスターは、リチャード・ロジャース、レンゾ・ピアノ、ニコラス・グリムショーとともに、1970年代から80年代にかけてハイテク建築運動を牽引した。構造要素を視覚的に露出させ、産業美学を受け入れ、最先端のテクノロジーを積極的に採用するこの様式において、彼は鋼鉄とガラスが持つ透明性、軽快さ、工業的精度を建築言語として確立した。一方で彼は単なる技術至上主義者ではなく、「ハイテク」という分類を退け、ミース・ファン・デル・ローエの「スキン・アンド・ボーンズ」の原則や、技術が効率性を通じて徐々に背景に退くべきだとするバックミンスター・フラーの「エフェメラリゼーション」の概念に近いアプローチを好むと述べている。

持続可能性への先駆的コミットメント

フォスターの持続可能性への取り組みは、それが流行になるはるか以前から始まっていた。1975年のウィリス・ファーバー・アンド・デュマス本社ビルは、今日の基準から見ても環境配慮型建築の傑作である。「私の探求は、自然とのバランスを達成するホリスティックなアプローチにある。これは単なるファッションの問題ではなく、まさにサバイバルの問題だ」と彼は語る。彼の建築は、パッシブソーラー加熱、自然換気、自然光の最大活用、再生可能エネルギーの統合を通じて、エネルギー消費の削減と居住者の快適性を同時に実現する。

ロンドンの30 St Mary Axe(ガーキン)は螺旋状のアトリウムがパッシブ換気に貢献し、ガラスファサードが自然光を取り入れて空調の必要性を大幅に削減する。2006年のハースト・タワー(ニューヨーク)は、ダイアグリッド構造により通常の高層ビルより20%少ない鋼材で建設され、ニューヨーク市初のLEEDゴールド認証超高層ビルとなった。Foster + Partnersは「持続可能性マニフェスト」を発表して専門チームを設置し、プロジェクトのライフサイクル全体にわたる総炭素排出量を定量化して、設計の早い段階で炭素削減の判断を可能にしている。

人間中心の設計哲学

フォスターの建築哲学の中心には、人間の経験と社会的責任がある。「建築とは本当に人々のニーズについてのものだ。寒さや暑さから私たちを守る測定可能な物質的ニーズ、そして私たちを動かし、幸せで快適に感じさせる精神的な次元。それを美と呼ぼうと歓迎的と呼ぼうと、私たちに良い気分を与える何かであり、建築は社会的課題についてのものだ」と彼は語る。この人間中心主義は、オープンプランのオフィス、透明性を促す公共建築、人々が交流できる空間に反映されている。ベルリン国会議事堂の改修(1999年)では、一般市民が議員を見下ろすことができるガラスドームを設計し、民主主義における透明性と説明責任を象徴化した。

協働、テクノロジー、文脈への敬意

フォスターの成功の鍵の一つは、孤高の天才としてではなく多様な専門家との協働を重視する点にある。Foster + Partnersは、建築家、エンジニア、環境科学者、情報技術専門家、ロボット工学者らが協力する「温床」として機能する。とりわけバックミンスター・フラーとのパートナーシップ(1968年から1983年のフラー死去まで)は、自然とテクノロジーへのシステム的理解という点で彼の哲学に深い影響を与えた。フォスターは「バッキーは道徳的良心の本質そのものであり、常に地球と人間の脆弱性を守る責任について警告していた」と語る。

Foster + Partnersは建築におけるデジタルテクノロジーの先駆的採用者でもあり、CAD、Rhinoとグラスホッパーによるパラメトリックデザイン、風洞試験などを駆使して前例のない精度と複雑性を実現する。ガーキンの独特の形状も、風圧を低減するための流体力学的研究から生まれた。ただしフォスターにとって「テクノロジーは手段であって目的ではない」。またモダニストでありながら、彼は建築が存在する文脈と歴史を深く尊重する。国会議事堂の改修ではロシア兵士の落書きなど歴史的痕跡を保存して建物を「生きた博物館」とし、ニームのカレ・ダール(1993年)では建物の半分を地下に埋めることで、隣接する保存状態の良いローマ神殿との調和を図った。

作品の特徴

ノーマン・フォスターの建築とプロダクトデザインには、一貫した美学的・技術的特徴が見られる。

素材・構造・光の表現

最も顕著な特徴は、鋼鉄とガラスの大胆な使用と構造要素の視覚的表現である。香港HSBC本社ビルでは、外部に配置された鋼鉄トラスと柱が建物の骨格を明確に示し、内部に広大なオープンスペースを生み出している。建物がどのように機能し建設されたかを透明に示すこの「構造の正直さ」は、ハイテク建築の核心的原則である。ガラスファサードは透明性と内外空間の流動的な関係を創出し、1975年のウィリス・ファーバー・アンド・デュマス本社ビルの湾曲したガラスカーテンウォールは、日中は周囲を反射し、夜間は内部のオープンプランを照らし出す。

自然光の最大活用も重要な要素で、人工照明への依存とエネルギー消費を抑えながら居住者の健康と快適性を高める。ベルリン国会議事堂のガラスドームでは、鏡面仕上げの円錐形構造が自然光を議会ホールに反射し、太陽シールドが眩しさと熱を制御する。夜間にはこのプロセスが逆転し、ドームは内部を照らす光の灯台となる。機能主義者でありながら、フォスターの建築は強い彫刻的・象徴的品質を持ち、ガーキンの紡錘形シルエット、ミヨー橋の優雅な弧、国会議事堂の螺旋状ドームは、いずれも視覚的に印象的であると同時に深い意味を担っている。

パッシブ環境制御システム

フォスターの建築は、機械的システムへの依存を最小限に抑える洗練されたパッシブ環境制御戦略を組み込んでいる。ガーキンの螺旋状アトリウムは建物全体に自然換気を促進して空調の必要性を大幅に削減し、コペンハーゲン・タワーズ(2015年)ではアトリウム中央のオリーブの木の庭園が建物の「緑の心臓」として機能する。二重皮膜ファサード、グリーンルーフ、雨水回収システム、太陽光発電パネルなどの持続可能な技術が統合され、建物の環境フットプリントを最小化している。

プロダクトデザインにおける一貫性

フォスターの建築哲学は、家具やプロダクトデザインにも一貫して表れている。1986年のNomosテーブル(Tecno社製)は、「月面着陸船」や「バッタの細長い体と長い脚」に例えられる角張った金属フレームを特徴とし、中央の「脊椎」を通る電気ケーブル管理システムが現代のオフィスと家庭の実用的な問題を解決する。Walter Knoll社のためにデザインしたFoster 500およびFoster 501シリーズ(1990年代、ベルリン国会議事堂のロビー用に開発)は、堅牢なクロームフレームと幾何学的な革の表面によって、モダンクラシックとして認識されている。

主要代表作とその特徴

香港上海銀行本社ビル(HSBC Main Building)、香港(1979-1986年)

フォスターのキャリアの転換点となり、事務所を世界的なブランドへと飛躍させた作品。1979年にコンペティションに勝利し、事務所設立からわずか10年後に実現したこの44階建ての超高層ビルは、当時世界で最も高価な建築物であった。最も革命的な特徴は、構造を建物の外側に配置し、中心部をオープンプランのオフィスとアトリウムのために解放した点である。8つの4本柱グループが端に2列に配置され、そこから鋼鉄トラスが吊り下げられている。エレベーターと機械設備も外部に配置することで容易な保守と内部空間の最大化を同時に実現し、自然光を建物深くまで導く鏡面パネル、風水師の関与、地上の公共広場など、技術革新と文化的配慮が融合した社会的ランドマークとなった。

ベルリン国会議事堂(Reichstag)、ドイツ(1992-1999年)

ドイツ再統一後、フォスターは1992年の設計コンペティションに勝利し、焼失した国会議事堂の改修を委託された。最も大胆な介入は、建物の上に設置された螺旋状のガラスドームである。市民は螺旋状のランプを登りながら議会ホールを見下ろすことができ、文字通り代表者の上に立つという民主主義の理念を体現する。ドーム中央の鏡面仕上げの円錐形構造は自然光を議会ホールに反射し、コンピュータ制御の太陽シールドが眩しさと熱を制御する。夜間にはプロセスが逆転し、ドームは照らされた内部を示す光の灯台となる。建物は再生可能なバイオ燃料で発電して使用するよりも多くのエネルギーを生産し、ロシア兵士の落書きなど過去の痕跡を意図的に保存して「生きた博物館」として維持している。

30 St Mary Axe(ガーキン)、ロンドン(1997-2004年)

ロンドンのスカイラインで最も認識可能なランドマークの一つとなった41階建ての商業用超高層ビル。1992年にIRAの爆弾で被害を受けたバルティック取引所跡地に建設され、独特の紡錘形シルエットから「ガーキン(きゅうりのピクルス)」という愛称を得た。この形状は美学的選択にとどまらず、流体力学的研究と機械テストにより、風圧を低減し従来の長方形タワーよりも風による偏向を抑えることが証明されている。ダイアグリッド構造(ひし形の鋼鉄管状要素の格子)が建物を包んで床を構造支持から解放し、螺旋状に配置されたアトリウムがパッシブ換気に貢献する。「ロンドン初のエコロジカル高層ビル」と評され、2004年にスターリング賞を受賞した。

ミヨー橋(Millau Viaduct)、フランス(1993-2004年)

フランス南部のタルン渓谷に架かるこの橋は、構造高343メートルを誇り、完成から20年以上を経た現在も世界で最も高い橋であり続けている。パリから地中海沿岸、さらにバルセロナへの直接高速ルートを提供するこの橋は、工学的偉業であると同時に優雅さの傑作でもある。7つの細いコンクリート柱が渓谷を横断して鋼鉄の道路デッキをケーブルで支え、設計は風洞試験と構造解析を経て強風下でも安定性を保つよう最適化された。ミヨー市長ジャック・ゴドフランは「建築家ノーマン・フォスターは、私たちに芸術のモデルを与えてくれた」と称賛した。

アップル・パーク(Apple Park)、米国カリフォルニア州(2009-2017年)

スティーブ・ジョブズが構想し、フォスターが実現した75ヘクタールに及ぶ本社キャンパス。直径約半キロメートルの円形建物「ザ・リング」は12,000人の従業員を収容し、周囲には約9,000本の樹木が植えられている。ハイテク革新と自然が調和する職場というジョブズのビジョンのもと、建物全体を囲む高いガラス窓と巨大な炭素ファイバー屋根の下に広がる空間は、100%再生可能エネルギーで稼働する。ジョブズの死(2011年)から6年を経た2017年4月に従業員へ開放されたこの建物は、フォスターとジョブズの緊密な協働の成果であり、テクノロジー企業の本社建築に新たなパラダイムを確立した。

大英博物館グレート・コート(Great Court of the British Museum)、ロンドン(1994-2000年)

ヨーロッパ最大の屋根付き広場となったこの改修プロジェクトは、長年中庭であった空間を鋼鉄とガラスの屋根で覆い、公共的な屋内都市広場へと変容させた。2,656枚の三角形ガラスパネルで構成された波打つ屋根が自然光を空間に満たし、中央の円形の読書室を囲む。歴史的建造物への現代的介入の模範的事例として、博物館の機能性を高めると同時に、過去と現在の対話を創出している。

香港国際空港(Chek Lap Kok International Airport)、香港(1992-1998年)

1998年の開港時点で世界最大級の空港建設プロジェクトであり、フォスターの「非場所を、旅の深い意味を再発見する場所へと変容させる」という哲学を体現している。広大な鋼鉄とガラスの構造が明るく開放的な空間を創出し、自然光、明確なサイン計画、効率的な動線、高度な技術システムの統合により、世界で最も利用者に優しい空港の一つとなった。フォスターは後に北京首都国際空港(2008年)でこのアプローチをさらに発展させた。

Nomosテーブル(1980-1986年)

1980年から1982年にルノーのために設計され、1986年にTecno社がライセンスを取得して生産したNomosテーブルは、1987年にコンパッソ・ドーロ賞を受賞した産業デザインの傑作である。外側に広がる脚を持ち、中央の「脊椎」から分岐する角張った金属フレームは「月面着陸船」や「バッタの解剖学的構造」に例えられるが、この彫刻的な美しさは純粋に装飾的なものではない。脊椎状の構造が電気ケーブルとコードを収容し、現代のオフィスと家庭の実用的な問題を解決している。フォスターは建築と同じ厳格な技術と機能の基準をプロダクトデザインに適用し、形態が構造から生まれる純粋な美学を創造した。

功績と業績

ノーマン・フォスターは、60年以上にわたるキャリアにおいて、建築界の最高栄誉をほぼすべて受賞している。

主要な賞と栄誉

  • 1983年:英国王立建築家協会(RIBA)ロイヤルゴールドメダル — 英国建築界最高の栄誉
  • 1990年:ナイト爵位授与 — エリザベス女王により建築への貢献を讃えられる
  • 1991年:フランス建築アカデミー金メダル
  • 1994年:アメリカ建築家協会(AIA)金メダル — アメリカ建築界最高の栄誉
  • 1997年:メリット勲章(Order of Merit) — 英国最高の栄誉の一つ
  • 1999年:プリツカー建築賞 — 第21回受賞者、「建築界のノーベル賞」と称される
  • 1999年:一代貴族(Life Peerage) — Baron Foster of Thames Bank として叙される
  • 2002年:プラエミウム・インペリアーレ賞(建築部門)
  • 2007年:アガ・カーン建築賞 — マレーシアのペトロナス工科大学の設計に対して
  • 2009年:アストゥリアス皇太子賞(芸術部門)
  • 2017年:ロンドン市の自由(Freedom of the City of London)

加えて、フォスターは複数回のスターリング賞(英国で最も優れた建築に授与される賞)を受賞しており、1998年にダックスフォードのアメリカ空軍博物館、2004年にガーキン、2018年にブルームバーグ・ヨーロッパ本社で受賞している。

学術的貢献と教育

フォスターは世界中で講演を行い、英国と米国で建築を教えてきた。ロンドン建築協会の副会長、王立芸術大学評議会メンバー、建築財団の創設理事を歴任している。2017年にマドリッドで開設したノーマン・フォスター財団は、若い世代の建築家、デザイナー、都市計画家が未来を予測するのを支援するため、持続可能な都市、気候応答型の都市計画、建築における人工知能とロボット工学の役割など、21世紀の課題に取り組む学際的な研究・教育プログラムを運営している。

Foster + Partnersの影響力

1967年に設立されたFoster + Partnersは、現在20カ国以上にプロジェクトオフィスを持ち、約1,500人の従業員を擁する世界最大級の建築事務所である。2024年時点で年間5億ドル以上の設計料を稼ぎ出し、従業員の平均年齢は32歳と若い。「孤高の天才」症候群に陥らず、数十年にわたり多分野協働の「温床」として運営されてきた。

同社は40カ国以上で250以上のプロジェクトを手がけ、都市のマスタープラン、公共インフラ、空港、文化施設、オフィス、私邸、プロダクトデザインに至る広範な作品群を生み出してきた。現在進行中のプロジェクトには、マンチェスター・ユナイテッドのオールド・トラッフォード・スタジアムのマスタープラン(2024年発表、収容人数10万人)、マイアミの超高層ビル、リヤドの高さ2キロメートルの超高層ビル、さらにはNASAとの月面・火星居住空間の協働研究が含まれる。

評価と後世への影響

建築史における位置づけ

ノーマン・フォスターは、20世紀後半から21世紀初頭における最も影響力のある建築家の一人として広く認識されている。1999年、ガーディアン紙は「フォスターのような建築家はこれまでいなかった」と評し、2025年にはニューヨーカー誌が彼について18,000語に及ぶプロフィールを掲載した。プリツカー賞審査委員長J・カーター・ブラウンは「20世紀モダニズムの偉大な伝統に根ざしながら、ノーマン・フォスター卿は分類を超越している」と述べ、審査委員ビル・レイシーは「彼の建築は現代技術を芸術的限界まで推し進め、デザインの卓越性の基準を設定している」と評した。

リチャード・ロジャース、レンゾ・ピアノ、ニコラス・グリムショー、マイケル・ホプキンスとともに、フォスターは20世紀最後の主要な建築様式であるハイテク建築運動を主導した。しかし彼の影響は様式的革新にとどまらない。環境配慮が流行になるはるか以前から持続可能な建築を実践し、技術的洗練と環境責任が相互排他的ではなく相乗的であることを実証して、業界全体の意識を変革した。

都市景観への影響

フォスターは、クリストファー・レン以来ロンドンに最も大きな影響を与えた建築家と評される。ガーキン、ウェンブリーアーチ、トラファルガー広場の歩行者天国化、ミレニアムブリッジ、大英博物館のグレート・コートなど、彼の作品はロンドンの都市構造に不可欠な要素となっている。この影響はグローバルに及び、香港、フランクフルト、ベルリン、ニューヨーク、北京など世界中の主要都市のスカイラインにフォスターの建築が屹立する。ビルバオの地下鉄入口を覆うガラスの「フォステリートス」、スタンステッド空港、北京国際空港、建設中のリヤド・キング・サルマン国際空港など、彼のインフラプロジェクトは都市の機能性と体験を根本的に変革している。

次世代への影響と時代を超えた関連性

90歳を超えた現在も、フォスターは世界中の建築家にインスピレーションを与え続けている。元パートナーで現在Make Architectsを率いるケン・シャトルワースは「彼は他の誰もやったことのないことをやり遂げた。年を取っても衰えるどころか、ある意味でより良くなっている。唯一無二だ」と語り、建築史家オーウェン・ホプキンスは彼を「自然の力」と評する。Foster + Partnersから独立した多くの建築家が世界中で活躍し、彼の技術革新と持続可能性へのコミットメントを引き継いでいるほか、ノーマン・フォスター財団を通じて若い世代を直接指導している。

気候変動、急速な都市化、社会的不平等という21世紀の課題に直面する中で、50年以上にわたる持続可能性へのコミットメント、技術革新、人間中心の設計哲学に根ざしたフォスターのアプローチは、ますます関連性を増している。「建築は価値の表現であり、私たちが建設する方法は、私たちが生きる方法の反映だ。そして今日、それは回復力、環境インテリジェンス、人間の尊厳について語らなければならない」という彼の信念は、より良い世界を構築するというビジョンを体現している。引退する意思のないフォスターは、建築を通じて未来を形成し続けている。

作品一覧

建築プロジェクト

年月 区分 作品名 所在地
1966年 住宅 Creek Vean House コーンウォール、英国
1967年 工場 Reliance Controls Factory スウィンドン、英国
1972年 オフィス IBM Pilot Head Office コシャム、英国
1975年 オフィス Willis Faber & Dumas Headquarters イプスウィッチ、英国
1978年 美術館 Sainsbury Centre for Visual Arts ノリッチ、英国
1986年 オフィス Hongkong and Shanghai Bank Headquarters (HSBC Main Building) 香港
1991年 空港 Stansted Airport ロンドン近郊、英国
1992年 通信塔 Torre de Collserola バルセロナ、スペイン
1993年 美術館 Carré d'Art ニーム、フランス
1995年 地下鉄 Bilbao Metro System ビルバオ、スペイン
1997年 博物館 American Air Museum ダックスフォード、英国
1997年 オフィス Commerzbank Headquarters フランクフルト、ドイツ
1998年 空港 Hong Kong International Airport (Chek Lap Kok) 香港
1999年 政府施設 Reichstag (German Parliament) ベルリン、ドイツ
2000年 文化施設 Great Court, British Museum ロンドン、英国
2000年 橋梁 Millennium Bridge ロンドン、英国
2002年 市庁舎 City Hall ロンドン、英国
2004年 オフィス 30 St Mary Axe (The Gherkin) ロンドン、英国
2004年 橋梁 Millau Viaduct ミヨー、フランス
2006年 オフィス Hearst Tower ニューヨーク、米国
2007年 スタジアム Wembley Stadium (Arch) ロンドン、英国
2008年 空港 Beijing Capital International Airport Terminal 3 北京、中国
2010年 美術館 Art of the Americas Wing, Museum of Fine Arts ボストン、米国
2012年 オフィス The Bow カルガリー、カナダ
2012年 空港 Queen Alia International Airport アンマン、ヨルダン
2013年 オフィス The Index ドバイ、UAE
2014年 オフィス 8 Canada Square (HSBC Tower) ロンドン、英国
2015年 市庁舎 Ciudad Casa de Gobierno ブエノスアイレス、アルゼンチン
2015年 オフィス Copenhagen Towers コペンハーゲン、デンマーク
2017年 本社 Apple Park クパチーノ、米国
2017年 小売店 Apple Michigan Avenue シカゴ、米国
2018年 オフィス Bloomberg European Headquarters ロンドン、英国
2018年 小売店 Apple Champs-Élysées パリ、フランス
2019年 美術館 Norton Museum of Art (Master Plan) ウェストパームビーチ、米国
2020年 小売店 Apple Marina Bay Sands シンガポール
2021年 美術館 Datong Art Museum 大同、中国
2022年 オフィス 425 Park Avenue ニューヨーク、米国
2022年 スタジアム Lusail Stadium ルサイル、カタール
建設中 オフィス JPMorgan Chase Headquarters (Supertall) ニューヨーク、米国
建設中 空港 Techo Takhmao International Airport プノンペン、カンボジア
計画中 スタジアム Old Trafford Stadium Masterplan (100,000 capacity) マンチェスター、英国
計画中 超高層ビル Two-Kilometer Skyscraper リヤド、サウジアラビア

プロダクトデザイン

年月 区分 作品名 ブランド
1986年 テーブル Nomos Table Tecno
1986年 デスクシステム Nomos Desking System Tecno
1990年代 椅子 Foster 500 Armchair Walter Knoll
1990年代 ソファ Foster 500 Sofa Walter Knoll
1999年 空港シーティング Airline Seating System Vitra
2002年 椅子 Foster 501 Armchair Walter Knoll
2002年 ソファ Foster 501 Sofa Walter Knoll
2002年 テーブル Foster 500 Table Series Walter Knoll
2003年 椅子 A 903PF Lounge Chair Thonet
2006年 椅子 RF1 Stacking Chair Randers
2011年 照明 FLO Table Light Foster + Partners
2013年 テーブル Teso Table Molteni
2013年 テーブル Nomos Table Special Edition (30th Anniversary) Tecno
継続生産 照明 Dash Lamp Steelcase
継続生産 椅子 20-06 Chair Collection Emeco
継続生産 デスク Shift Desk System Tecno

Reference

Norman Foster - Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Norman_Foster
Norman Foster | Biography, Architecture, Buildings, & Facts | Britannica
https://www.britannica.com/biography/Lord-Norman-Foster
Biography: Norman Foster | The Pritzker Architecture Prize
https://www.pritzkerprize.com/biography-norman-foster
Norman Foster | The Pritzker Architecture Prize
https://www.pritzkerprize.com/laureates/1999
Lord Norman Foster | Academy of Achievement
https://achievement.org/achiever/lord-norman-foster/
How Norman Foster became the most successful architect in history - Dezeen
https://www.dezeen.com/2025/05/29/norman-foster-most-successful-architect/
Norman Foster: The Architect Who Pioneered Sustainable Design - RTF
https://www.re-thinkingthefuture.com/know-your-architects/a10182-norman-foster-the-architect-who-pioneered-sustainable-design/
Norman Foster: Pioneering Modernism and Sustainability in Architecture
https://ugreen.io/norman-foster-pioneering-modernism-and-sustainability-in-architecture/
Norman Foster : My quest is for a holistic approach - Centre Pompidou
https://www.centrepompidou.fr/en/pompidou-plus/magazine/article/norman-foster-my-quest-is-for-a-holistic-approach-that-achieves-a-balance-with-nature
Twelve defining projects from Norman Foster's long career - Dezeen
https://www.dezeen.com/2025/06/01/norman-foster-twelve-key-projects/
Norman Foster architecture: a guide to his most notable buildings | Wallpaper*
https://www.wallpaper.com/architecture/norman-foster-architecture-ultimate-guide
Sir Norman Foster - "Nomos" Table - The Metropolitan Museum of Art
https://www.metmuseum.org/art/collection/search/487071
Nomos, Tecno | Foster + Partners
https://www.fosterandpartners.com/projects/nomos-tecno/
Norman Foster | Walter Knoll
https://www.walterknoll.de/en/designers/norman-foster
List of works by Norman Foster - Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_works_by_Norman_Foster
Foster and Partners - Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Foster_and_Partners